pharmacist's record

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SGLT2阻害薬「ダパグリフロジン」、ループ利尿薬「フロセミド」、バソプレシン受容体拮抗薬「トルバプタン」投与後の細胞外液量は?

ヒトの水分は60%を占め、40%が細胞内液、20%が細胞外液(15%組織間液・5%血漿)と言われていますが、各種利尿薬はこのうちのどこから水を引っ張ってくるんでしょう…(素人感)
なんかの研修で、ナトリウム利尿は細胞外液から、水利尿は全体からって聞いたことがありますが出典みつけられず(大雑把に分けると…ってことだと思いますけど…)。

たとえばループ利尿薬はナトリウム利尿、バソプレシン受容体拮抗薬のトルバプタンは水利尿です。
トルバプタンは血管内脱水をきたしにくい[1]ということですが、ナトリウムの排泄を促進せずに”水”の排泄を促進するので血漿浸透圧が上昇し、血管外から水を引っ張ってくるってことでしょうか。サードスペースの水を引っ張ってくるのに有用なんですかねぇ~?

んで、自分が気になってるのはSGLT2阻害薬の利尿作用はどんな感じなん?っていうやつです。
SGLT2阻害薬は近位尿細管のSGLT2を阻害して、グルコース、Naの再吸収を抑制し、尿糖排泄による浸透圧利尿とナトリウム利尿をきたします。

そこでこんな研究がありました。

アブストに用量記載ナシ

Effects of the sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor dapagliflozin on fluid distribution: A comparison study with furosemide and tolvaptan
Ohara K,et al. Nephrology (Carlton). 2019 Sep;24(9):904-911. PMID: 30578654.

SGLT2阻害薬はフロセミドに比べると細胞外液を減少させず、トルバプタンよりは若干減少量が多いって感じでしょうか。ただ、細胞内液はSimilarだったと。

SGLT2阻害薬のナトリウム利尿作用は投与初期だけって聞いたことがありますが、この研究は7日間フォローで投与初期のデータではあるのですが、フロセミドほど細胞外液量を減らさないみたいですね。Na再吸収阻害といっても尿細管のどこの部位に働きかけるかによって違ってくるんですかね。SGLT2阻害薬はNaの再吸収をおさえても、もっと遠位で再吸収される方向に傾くんでしたっけ。SGLT2阻害薬の尿量増加効果は投与初期だけで、長くは続かないという報告もありましたね[2]。

いやあ~、病態生理や薬理をもっと勉強しないとなぁ~
(今回、雑ブログですみません。自分の備忘録としての垂れ流しでございます)

[1]循環器専門医2020 年 29 巻 p. 23-28
うっ血性心不全患者に対するトルバプタン治療の有効性の検討

[2]Yasui A,et al. Diabetes Ther. 2018 Apr;9(2):863-871. PMID: 29488164
Empagliflozin Induces Transient Diuresis Without Changing Long-Term Overall Fluid Balance in Japanese Patients With Type 2 Diabetes