pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

腎臓

Na利尿と水利尿の違い

ph-minimal.hatenablog.com ループ利尿薬やサイアザイドはNa利尿、バソプレシンV2受容体拮抗薬のトルバプタンは水利尿。 どこから水を引っ張ってくるか 研修でNa利尿と水利尿の違いを生理学的な観点から教わったような気がするんですが、出典が見つからず…。…

SGLT2阻害薬エンパグリフロジン服用開始後の尿量変化と尿糖の量は?

SGLT2阻害薬は尿糖排泄とナトリウム排泄による利尿作用がありますが、尿量増加は長く続かないそうです。 尿量・尿糖の変化を調べた報告あり(国内の研究)。 Yasui A, et al. Diabetes Ther. 2018 Apr;9(2):863-871. PMID: 29488164 Empagliflozin Induces T…

SGLT2阻害薬「ダパグリフロジン」、ループ利尿薬「フロセミド」、バソプレシン受容体拮抗薬「トルバプタン」投与後の細胞外液量は?

ヒトの水分は60%を占め、40%が細胞内液、20%が細胞外液(15%組織間液・5%血漿)と言われていますが、各種利尿薬はこのうちのどこから水を引っ張ってくるんでしょう…(素人感) なんかの研修で、ナトリウム利尿は細胞外液から、水利尿は全体からって聞い…

標準化eGFR40以上の後期高齢者→推算クレアチニンクリアランスは?(日腎薬誌2021)

腎機能評価に関する薬局発の論文が出ていました。ぜひとも皆様に論文に目を通してもらいたいのでご紹介します。前置きとして、腎機能評価について簡単におさらい。腎機能評価のゴールドスタンダードはイヌリンクリアランス。これはイコール実測GFR 蓄尿によ…

【意識調査】腎機能に応じた用量調整(2014年発表の日本の報告)

Awareness and current implementation of drug dosage adjustment by pharmacists in patients with chronic kidney disease in Japan: a web-based survey BMC Health Serv Res. 2014 Dec 3;14:615. PMID: 25464858ADDR(adjustment of drug dosage accord…

球形吸着炭(クレメジン®)の有効性は? ~EPPIC試験~

Schulman G, Berl T, Beck GJ, Remuzzi G, Ritz E, Arita K, Kato A, Shimizu M. Randomized Placebo-Controlled EPPIC Trials of AST-120 in CKD. J Am Soc Nephrol. 2015 Jul;26(7):1732-46. PMID: 25349205突然のビジアブ! この球形吸着炭(クレメジン®…

RAS阻害薬でDKDの進行を遅らせる?/ 他の降圧剤との優位性は?

Early renin-angiotensin system intervention is more beneficial than late intervention in delaying end-stage renal disease in patients with type 2 d... - PubMed - NCBI Diabetes Obes Metab. 2016 Jan;18(1):64-71. 目的:糖尿病性腎疾患(DKD;diab…

ファムシクロビルの投与量は腎機能低下に応じて減量すべき?

帯状疱疹に対するファムシクロビルの処方 高齢者においては腎機能低下により用量調整が必要とされる場合があります。アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬は、帯状疱疹の高齢者によく用いられるが、有害事象として神経毒性が知…

酸化マグネシウム(MgO)と血清マグネシウム値

酸化マグネシウム製剤の適正使用の注意喚起がありました。 患者さん向けの注意喚起より抜粋 初期症状 吐き気、嘔吐、立ちくらみ、めまい、脈が遅くなる、皮膚が赤くなる、力が入りにくくなる、体がだるい、眠気でぼんやりする、うとうとする 長期服用、腎臓…

アムロジピンとベニジピンの違い

同系統の薬で処方変更があった場合、患者さんの情報を元にどのような処方意図かを考えます。今回は、CCBのベニジピンとアムロジピンの違いについて調べてみたいと思います。患者さんが気にするのは「どちらのほうが強いか?」 この質問を受けたことのない薬…

CKD、マグネシウム製剤による高マグネシウム血症

便秘薬として汎用されている酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症について2008年に厚生労働省より注意喚起がありました(医薬品・医療機器等安全性情報 No.252)。[Influence of impaired renal function and magnesium oxide administration on serum …

腎臓が悪くなると老廃物が溜まる?

腎臓の機能が悪くなってくると、体の外に排泄されるはずだった老廃物(尿毒症毒素)がたまってしまい、さまざまな症状を引き起こします。これを尿毒症と呼びます。尿毒症 <症状> 消化器症状 食欲不振、悪心、下痢、口臭 皮膚症状 掻痒、色素沈着、皮下出血…

腎機能低下例ではサイアザイド系利尿薬が効かない?

サイアザイド系利尿薬は、高血圧や浮腫の治療に使われますが、最近ではARBとの配合剤として用いられることが多いです。JSH2014ではサイアザイド系利尿薬(類似薬も含む)は常用量の半量程度の少量投与を推奨しており、少量であれば代謝への影響(尿酸値上昇…

ネフローゼと脂質異常症

ネフローゼ症候群の症例を一部アレンジしてお示しします プレドニゾロン5mg シルニジピン10mg トラセミド8mg ロスバスタチン5mg カンデサルタン8mg ジピリダモール150mg シクロスポリン50mg(処方追加) ネフローゼ症候群でステロイドに抵抗性…