pharmacist's record

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球形吸着炭(クレメジン®)の有効性は? ~EPPIC試験~

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Schulman G, Berl T, Beck GJ, Remuzzi G, Ritz E, Arita K, Kato A, Shimizu M. Randomized Placebo-Controlled EPPIC Trials of AST-120 in CKD. J Am Soc Nephrol. 2015 Jul;26(7):1732-46. PMID: 25349205

突然のビジアブ!
この球形吸着炭(クレメジン®)のビジアブは某症例討論会のスライドに盛り込む予定だったけど、アホだからスライド作りすぎて話が長くなってしまうので削ったスライドなんです。症例の主題は吸着炭ではなかったので、この薬についてはサーッと流したのですが、せっかく作ったので、ここに供養しておきます。

日本の承認用量は1日6gなので、本試験は承認用量よりも多いんですね。が、結果はネガティブであったと…。これを踏まえてCKDガイドライン2018では、「CKD患者への球形吸着炭の投与によるESKD,死亡の抑制効果は明確ではない」と記載されています。

この薬の立ち位置や使いどころって専門家のあいだではどうなっているんでしょうね。
専門外の私からすると、この薬が処方されていたら腎臓が悪い人なんだなと一発でわかるなぁ~って感じです。車のステッカーの「BABY IN CAR」みたいに、お薬手帳にクレメジン®と記載されていたら「アイアム CKD」ってことだなと。
お薬手帳の記載内容だけだとCKDだとわからない症例もありますよね?目立った薬は処方されてないけど、「腎臓内科」って書いてあるので、確認してみたら、GFR30くらいだった!なんてこともあり、CKDシールみたいなのがあればなぁ~と思った記憶があります。

おっと脱線しました。
吸着炭の有効性ってどうなんでしょうね。ハードエンドポイントは微妙そうな感じですが、尿毒症の症状軽減のエビデンスはあるんですかね?(調べてない)


さて、某討論会っていうのが以前このブログで取り上げた、↓こちらでしてね。
ph-minimal.hatenablog.com
自分は主要メンバーではないイチ参加者なのですが、せっかくなので話題提供してみたい!という謎の積極性がふつふつとこみあげて、おそるおそる手をあげたところ、発表の機会をいただきました。
いやぁ~、すごい先生方ばかりの会でお話しするのは超絶ド緊張ですねぇ~。
緊張しましたが、いろんな先生のお話を聞けてとても楽しかったです。
いつかリアルでお会いしたいものですm(__)m