Awareness and current implementation of drug dosage adjustment by pharmacists in patients with chronic kidney disease in Japan: a web-based survey
BMC Health Serv Res. 2014 Dec 3;14:615. PMID: 25464858
ADDR(adjustment of drug dosage according to renal function):腎機能に応じた薬剤投与量の調整
日本のWEB調査の報告です!
「ADDRを実施している」と答えた割合は薬局薬剤師より病院薬剤師の方が多いという結果。
調査実施期間は2013年の5月ということで8年前のデータですね。
2021年現在だとどうでしょうね。この差は縮まっているのでしょうか?
WEB調査なので、回答してくれた薬剤師はADDRに関心がある傾向にあるかもしれませんので、実際はもっと低いという可能性もあるでしょう。2013年のころの自分はどうだったかな…?と思い返してみたのですが、まったく記憶にございませんでした。昨日、何を食べたのかも覚えていない私が2013年の業務状況を覚えているはずがないのですッ。
ADDR実施にあたっての障壁となる原因として、病院と薬局で大きな違いが見られたのは、「クレアチニン値などの患者の腎機能に関する情報が入手できない」です。たしかに!
ただ、最近では処方箋に検査値を載せている病院もあり、この問題はゆくゆくは解決するかもしれませんね(先の話になるかもしれないけど)。
腎機能低下例に対する不適切な用量によって副作用を起こした症例を経験している割合は、病院薬剤師の方が圧倒的に多いです。
入院患者さんの方が、副作用を起こしやすい重篤な症例が多いでしょうし、使用する薬剤も外来とは異なるでしょう。注射の抗菌薬など、薬局では扱わないような腎機能に注意が必要な薬の使用が多いことも一因かと思います。
しかし、私はそれだけが理由ではないと思っています。「薬局では副作用を起こしてしまったことを知らないままである」という懸念がありますね。例えば過量投与で別の病院に搬送されたりしたら、フィードバックがない限り、副作用を起こしたことを知らないまま…という可能性があります。
過量投与で副作用に繋がってしまった経験があれば、ADDRを実施する意義がその身に深く刻まれると思います。クレアチニンなどの情報の入手が困難な場合があるのは確かですが、その意義を知っているかどうかで、「患者情報入手困難」といった障壁を乗り越えようと努力するかどうかが変わってきますよね。「この薬を過量投与するとマジでヤバい」ということを認識できているかどうかは重要だと思います。
というわけで失敗例から学ぶ的な意味で、副作用症例をしっかりと情報共有することが大事なのかなと思いました。私も最近ちょくちょく腎関連の研修や勉強会に参加していますが、バラシクロビルの処方箋を見ると、反射的にビビってしまうカラダになってしまいました。自分自身が副作用症例を経験していなくても、教育を受けたことで、過量投与するとヤバイ薬だということが、この身に刻み込まれたのです。この太り始めたカラダに「バラシクロビルは腎機能に要注意!」という紋章が…!
というわけで、やっぱり意義を理解することが一番大事なのかなぁ~というのが個人的な印象です。
本研究は全文フリーの論文であり、ほかにもさまざまなデータが載っていますので、ぜひとも原著論文をご覧くださいm(._.)m