pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

AHEADMAP(アヘッドマップ)の勉強会に行ってきた!(弾丸京都日帰り研修)

aheadmap.or.jp
アヘッドマップ、それはエビデンスと人とを繋ぎ、新しい価値と幸せを紡ぐ未来を描くNPO法人、そしてブログ主をエビデンスの沼に溺れさせた張本人!この出会いがなければ、自分が医学書を書いたり、学会のシンポジウムにお呼ばれすることもなかったでしょう。

共同代表の御三方がNPO開設前から行っていたJJCLIPというオンライン論文抄読会に参加したのがブログ主のすべての始まりでした。
振り返れば…(長いので省略)…、ということで毎年、研修&総会を開催しているものの、いつも土曜日開催で、土曜は原則仕事…、自分自身も締め切りとか締め切りとかもろもろあるし、一度も参加したことなかったのですが、今年は仕事がなぜか休みになっていたので弾丸京都日帰り参加を強行しまいsた。

テーマは生成AI

4名の演者の先生のお話をシンポジウム形式で拝聴

なんとスペシャルゲストとして片岡先生登壇
chugaiigaku.jp

これは自分も買いました。

詳細な内容は伏せますが、共同代表の青島先生がお話していた「翻訳家、実は需要増加傾向」の件

生成AIの登場で翻訳は丸投げできる!機械翻訳があれば翻訳家は不要になるのでは!?という話。
自分もそう思っていたのですが、なんと翻訳家の需要は増えているらしいです。

あらためて、この話題をChatGPTパイセンに聞いてみると…

「需要の構造自体が拡大・シフトしているという実態がある」
「AIによる機械翻訳が第一案(下訳)を生成し、それを人間がチェック・修正する“ポストエディット”という作業は増加傾向」

つまり、機械翻訳により、世界中の情報を簡単に日本語で入手できるようになったのですが、機械翻訳はあくまで翻訳するだけであって、機微なニュアンスを表現できていない。これを人間が最終チェック・編集するというポストエディットの需要が増えたとGPTパイセンもおっしゃっています。

海外の超有名小説を機械翻訳で日本語にしても、おそらくおもしろさを100%還元できないですよね。
機微なニュアンスを表現するには機械翻訳では限界があるので人間によるポストエディットが必要とされるということです。

では、これを薬剤師に置き換えてみるとどうでしょう?

現時点でもググって得た情報がデタラメすぎて、ネット情報のポストエディットは必要でした。
(しかし、そこまで積極的にネットで調べようというのは比較的若い世代かも。)

今後AIを誰もが(そこそこ上の世代の方も)使うようになったら…
薬や病気のことをAIに聞けばなんでも教えてくれるので、インターネットのGoogle登場時よりもさらに一般の患者さんが簡単に医療情報を入手できるようになるのかもしれません。

医療情報の需要は増えて薬剤師の需要は増えるのか?
それとも、AIで十分だから薬剤師に聞かなくてもいいや!と需要は減るのか
それとも、高齢者中心だから生成AIに誰も興味を示さず、あまり変化がないのか

どうなるでしょうね。

薬剤師に聞かなくてもいいや!というのは、ちょっと危険な兆候かもしれません。
現時点でも自分でググってネット情報を鵜呑みにした結果、健康を害することをしてしまっているという現象が多発してます。
これがGoogleからAIに置き換わったらどうなるのか…。AIは常識を覆すようなデマは利用者に提供しないのではないだろうかと考えられているようです。AIはしばしば利用者に”忖度”して、利用者が求める情報をサジェストしてくるのですが、あからさまなデマであれば否定してくれるらしいです。ただし医療情報は機微なニュアンスが大事になってきます。微妙な方向性のズレを誰かが修正しなくてはいけない場面もでてくるかもしれませんね。


医療情報を提供する側の薬剤師の立場で考えると、
AIのまとめた情報の妥当性を評価し、それを目の前の患者に外挿して個別評価をするスキルが必要となりそうです。与えられた情報をそのまま鵜呑みにしている薬剤師はAIでもよいということになってしまうのかもしれませんね。

うーむ…、それって、臨床研究で得られたデータを評価して患者にあてはめてどうかを考える、つまりEBMなのでは?アヘッドマップを通じてEBMの泥沼に飲み込まれてよかったのかもしれないですね(いまでも溺れながらジタバタしていますが)。AIが登場してもやることは似ているような気がするので、EBMレーニングは無駄ではなかったのかも。
添付文書に書いてあることをルール通り対応しているだけなら、AIを活用してもAIの出力通りに対応することになり、機微なズレが生じることはあるかもしれません。

もちろん薬剤師の仕事はそれだけじゃないですけどね
在宅訪問で大活躍の先生方は今後も需要増大だと思います。AIは文章から人の気持ちを汲み取る的な共感力は高いと言われていますが、バーチャルで患者と直に対話できるようになるまではもう少し時間がかかりそうです(といっても数年で登場するかもしれませんが)。患者さんとの信頼関係の構築に長けている薬剤師の需要が減ることはないと思います。

というわけで生成AIの登場で薬剤師は不要になるのか!?という巷でチラホラ耳にするテーマについていろいろ考えさせられました。


こんな感じで、我々は将来どうなるんだろうか…ともやもや考えながら、弾丸京都日帰り研修は終了しました。

生成AIの実践的なワークショップとかもおもしろそうですね。みんなでPC持ち寄って、なんらかのテーマをPC使って調べて…みたいな。
みなさんのいろんなAIの使い方を共有してみたい今日この頃です。