チペピジンってDrによって投与量に幅がありますよね(なんかみた)
添付文書的には、
小児には、チペピジンヒベンズ酸塩として1日1歳未満5.54~22.1mg(同5~20mg相当量)、1歳以上3歳未満11.1~27.7mg(同10~25mg相当量)、3歳以上6歳未満16.6~44.3mg(同15~40mg相当量)を3回に分割経口投与する。
です。
ざっくりですねぇ~。
これより多く使うDrもいるようです。
たしかにメーカーさんに使用実績のデータなどを聞くと、もう少し多い量でつかっていたりするらしいです。ここには書きませんが、もっと細かい情報が知りたい方はメーカーさんに問い合わせてみてください。
(文献はネット上に落ちてない…)
かなり多めに使う方もいらっしゃるようですが、チペピジンなんて安全でしょ、ていうか効かないでしょ、みたいなことなんでしょうか。多めにいこうぜ!みたいな?
まあ、そうは言っても薬ですからね。有害事象ゼロなんてことはないです。
Tipepidine hibenzate intoxication. - PubMed - NCBI
Pediatr Int. 2011 Oct;53(5):779-781.PMID:21955016
健康な3歳男児、体重14kg
咳、鼻づまりで上気道感染症の診断にて、カルボシステイン400mg/日、メキタジン1.5mg/日、チペピジン40mg/日処方。これらがシロップとして混合されており、1日3回服用 6日間処方
チペピジンの用量は添付文書でひっかからないギリギリの用量ですが、体重あたりで計算すると、2.8mg/kg
最後の投与から1時間後に突然興奮しだしてしまったと(suddenly grew agitated)
用量がいけなくてオーバードーズになったわけではないのですが、このお子さんがなぜオーバードーズになったか…
ちょっと推測してみてください。
おそろしい結末がまっていますよ。
結果から言うと、この症例のチペピジンの血中濃度は、成人単回投与の22倍になっていたのですが、その原因は…。
これは薬剤師の領域の問題です。
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はい、スペースをあけて、焦らしてみましたが、カーソルで一瞬で移動できるので無意味でしたね。ていうか、うぜぇっ!て思われるだけ…。はい、失礼しました。
シロップなので、パッと思いつくのは、測りとる量を間違えたとか、おいしくて(おいしいかどうかしらんけど)子供が誤飲してしまった…なんてことが思いつくんですが、そうではありません。
お母様のお話より、
「最後に投与した際、ボトルの底部に厚い沈殿物を含んでいた」
チペピジンはあの白く濁ったシロップですが、沈殿したり固まったりすることがありますね。
ずっと上澄みを飲んでいて、最後の最後に大量のチペピジンを投与したことになったと推察され、血中濃度を測定したら案の定…という結末でした。
20倍ってすごいですね。
救急に到着したときのお子様の様子は、delirious,crying loudly!!!
そして、「きみの名前は?」とか「歳はいくつ?」ってな感じの簡単な質問にも答えられず。。
まあ翌日には回復して問題なく退院したそうでなによりでしたが、これは薬剤師としては教訓とすべき症例でしょう。
チペピジン(アスベリンシロップ®)の添付文書には、はっきりとこう書いてあります。
薬剤交付時
(1) シロップ及びシロップ「調剤用」を患者に投薬する時は、「均一となるように振盪し、沈殿が生じていないことを確認してから服用」するように指示すること
ぐぬぬ…、添付文書大事ッ
はっきりと説明しなさいと書いてあります。
これを怠って、本症例のような副作用が起きたら薬剤師の責任でしょうね。
あとは配合変化をしっかり確認するように、というところでしょうか。
配合変化についてはまったく詳しくないので、ちょっと勉強しなくては!