ちょっと気になったので…。
セララの添付文書
16.7相互作用
「エプレレノン100mg及びケトコナゾール(経口剤は国内未承認)200mg(1日2回)を併用投与した時、エプレレノンのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ1.7倍及び5.4倍増加した」
「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」(https://www.jsphcs.jp/file/asc1.pdf)によると、
ケトコナゾール200~400mg:IR1.0
AUC変化率=1/(1-CR×IR)
なので、
エプレレノンのCRは…
5.4=1/(1-CR×1)
CR=0.81
さて、添付文書に戻って、
7.1「CYP3A4阻害薬と併用する場合には、本剤の投与量は1日1回25mgを超えないこと」
※阻害の強さについては言及なし。
例えば、
①IR0.9の強い阻害薬と併用したらAUCは…
AUC変化率=1/(1-0.81×0.9)=3.69
AUC3.7倍という計算(あくまで推算値です。予測精度には限界があるとされています)
高血圧に対する用量だと100mgが上限量と記載されています。
3.7倍に増加しても25mg錠までなら許容範囲内という感じでしょうか。
(慢性心不全の用法は「25mg開始で50mgに増量」となっており、100mgまでイケるという記述はないので心不全への使用においては議論のあるところかもしれません…汗)
②IRが0.4の阻害薬だったら…
AUC変化率=1/(1-0.81×0.4)=1.48
添付文書7.1の文言には、CYP阻害作用の強さについては言及されていないので、それほどIRが高くない阻害薬との併用においても25mgまでしか使えないとなると十分な効果が期待できないケースもあるのではないかと感じました。
カリウム値などがコントロールできていれば、弱い阻害薬においては臨床上それほど影響はなさそうな気もしますが、添付文書に明記されている以上、どうしたもんかなって感じですね汗
実際エプレレノンってあまり出くわさない薬なので詳しくないのですが、添付文書7.1の"用量の縛り"についてみなさんどのように対応しているのでしょうか。ちょっとでも阻害するなら25mgを徹底して守る?それとも併用薬のIR次第で対応しているのでしょうか?
循環器領域に詳しいパイセンにお会いする機会があったら、質問してみようと思います。スペシャリストの見解はいかに!?
さて、相互作用は薬剤師の本分かなと感じておりますので、PK/PD、PISCSなどについてもっと勉強しないとなぁ~と思いました。しかしながら、相互作用の評価は、その薬の有効性と安全性の評価が必須ですので総合的な判断力が問われますね。勉強することが山積みですね。脳みそのスペックが足りねぇ…
(CR・IRの計算が間違ってたらすみません。大丈夫だと思うけど…。また、この推算方法においては誤差が生じうるとされておりますので、臨床応用においては各自ご精査のほどよろしくおねがいします)