pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

読めよ薬剤師 第1弾 「『子供を殺してください』という親たち」

ツイッターで薬剤師がオススメ書籍を紹介するという企画が毎年実施されています。
kuroyaku.tokyo
ハッシュタグをつけて各々がオススメ書籍をツイート

自分は今まで参加(ツイート)したことがなかったのですが、体調不良で自宅療養中にいろいろ読みましたので(ぜんぶマンガだが…)、薬剤師にオススメの書籍を3冊選んでみます。
まずは一冊目。

「子供を殺してください」という親たち /押川剛 (著), 鈴木マサカズ (著)
www.shinchosha.co.jp

サスペンス系のマンガかなと思って手を出したら、ゴリゴリのノンフィクションでした。

世の中には精神疾患を抱え、生活に支障をきたしているけど、病識がないため病院を受診しない人たちがいます。そんな患者さんたちを支える、いや支えきれなくなった家族がトキワ精神保健事務所を訪れます。「適切な医療につなげてほしい!助けてほしい!」と。
トキワ精神保健事務所は対象者の状況を客観的に評価し、適切な治療を受ける必要があると判断されたら、対象者を説得し、精神科医療につなげます。

これが主なあらすじです。さまざまなケースが紹介されるのですが、自分のまったく知らない世界がそこに描かれていました。精神科の処方せんを調剤することはありますが、外来の患者さんは安定している方が多いと思いますので、このマンガで描かれているケースは未知の世界でしたね。適切な医療を必要としながら、フォローしきれていない患者さんが世の中にはいるのだということを思い知らされました。
医療従事者は必読のマンガだと思います。

医療保護入院、「廃止」を削除 精神科、厚労省が表現後退(共同通信) - Yahoo!ニュース
このニュースについて、原作者の押川先生は自身のブログでこのように述べておられます。
厚労省が「医療保護入院の縮減」の検討を発表したが、家族にとっては、病識のない患者に入院治療を受けさせる手段がいよいよなくなるということだ。違う見方をすれば、家族が当事者のサポートを放棄したところで、責任は問われない、ということでもある。自己責任で収まらない問題は、家族の枠からも漏れ、いずれ地域の問題となる。地域で活動する支援者においては、相当な支援力の底上げが必要だ。病識があって大人しい、“優秀な”患者さんばかりを支援の対象に選んでいては、地域の要として生き残ることはできない。」
講演会のお知らせ | 押川剛 公式ブログ

さまざまな問題に体当たりでぶつかってきた押川先生のような先生だからこそこのような問題提起ができるのでしょうね。
「子供を殺してくださいという親たち」 
過激なタイトルですが、めちゃくちゃ勉強になります。
マジで必読です。