pharmacist's record

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薬物相互作用の沼に溺れている件について

どうも、CR-IR法(PISCS)で沼っているブログ主です。

クラリスロマイシンって低用量だとIRはどのくらいになるんだろうかっていう疑問なんですけど。。。
実臨床では1T×分1って処方もよくありますからね。

Pubっても分1のデータはみつからないんですが、ふとひっかかったのがレパグリニドとのデータ。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11452245/
3Aが関与するという印象はなかったので添付文書を見たら、いろいろ併用データが載ってました。
 
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レパグリニドの添付文書から抜粋
 
レパグリニドはCYP2C8で代謝(一部CYP3A4で代謝
CYP3A4のレパグリニドの代謝への寄与は小さいが(in vitro )、 CYP2C8が阻害された場合、相対的に寄与が高まる可能性がある。
レパグリニドの肝臓への取り込みに、トランスポーターOATP1B1 の関与を示唆する報告がある

 

とのことで、シクロスポリンによるAUC増大はトランスポーターの影響ですかね。
データは割愛していますが、クロピドグレルは2C8阻害によりAUC増加します。

 

で、自分が沼ったのがCYP3A関連
CYP3Aのケトコナゾール(200~400mg)のIRは​1
イトラコナゾール(100~200mg)のIRは0.95
クラリスロマイシン(500~1000mg)のIRは0.88

IR最強のケトコナがあまり増えないのはなぜ?
クラリスロマイシンやイトラコナゾールは3A以外(2C8やトランスポーター)も関与してるの?
P-gp阻害はするでしょうけど、OATPも阻害するって話は自分は聞いたことないなぁ(忘れている可能性もある)

この3剤はCYP3A4の影響をみているんだと思いますが、ケトコナの影響が小さい理由がわからん。

 

↓こちらは、タダラフィル(ザルティア)のデータ
ケトコナゾール400mg(1日1回経口投与)とタダラフィル20mgを併用→AUC312%増加
ケトコナゾール200mg(1日1回経口投与)とタダラフィル10mgを併用→AUC107%増加​​​​​

ケトコナゾール200mg〜400mgのIRは1って話ですが、200mgだともうちょっと阻害率は低いのかな。200mgのデータをどう扱えばいいかわからなくなってきました。ほんとにIR1で計算していいのかな?

以上、沼の中からお送りしました