pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

虫垂炎(Appendicitis)

自分は虫垂炎になったことがないのですが、胃腸炎と紛らわしい危ない病気ですよね。

Cope's Early Diagnosis of the Acute Abdomenという教科書によると、

①pain痛み(心窩部または臍まわり)
②anorexia食欲不振、nausea吐き気、vomiting嘔吐
③tenderness圧痛(腹部または骨盤内)
④fever発熱
⑤leukocytosis白血球増加

この順番に症状が出るのが虫垂炎の一般的な経過(もちろん例外もあると思いますが)。

痛みの位置は心窩部から右下腹部へと移動。
右下腹部へ移動し、圧痛や反跳痛が出たら、腹膜の炎症が示唆されます(内臓痛から体性痛に変化)。

虫垂炎の可能性を上げる所見は、
JAMA. 1996 Nov 20;276(19):1589-94.によると、
・移動する痛み
・腹痛→嘔吐の順

NEJM348;236-242.2003によると
・発熱
・反跳痛
・Psoas徴候(股関節を屈曲させて疼痛を誘発
・腹痛→嘔吐の順
・食欲不振


 腹膜刺激症状の有無を調べるにはheel drop test(つま先立ちから踵を落として腹痛が出現したら陽性)などがあり、腹膜炎を起こしているかどうかを見るのに参考になります。
 咳払いによって腹痛が増悪するかを見るcough testも腹膜炎を想起させます。咳のしすぎでお腹が筋肉痛になっているだけの場合もあるかもしれませんので、他の所見もとって確認したほうがよいのかなーと思います。

 ただの胃腸炎か、虫垂炎かを見極めるのは難しいですね。とくに虫垂炎の初期の段階は胃腸炎とそっくりです。虫垂炎でしぶり腹をきたすこともありますし…。

「痛みの位置が右下腹部へ移動した」「かかとが地面にあたるとき響いてお腹が痛む」などといった症状が出たらちょっと待った!という感じでしょうか。虫垂炎の臨床像、典型的な症状の順番くらいは頭に入れておいて、なんか変だなと感じ取れるようにはなりたいものです。