些細な心配事(気になる症状など)を薬剤師に相談なさる患者さんもいらっしゃいますよね。
診断はできないですし、疾患の除外もできないのですが、危険な疾患じゃないかどうかはある程度は疑えるようになりたいですし、医師に報告する際にはポイントとなる病歴はとれるようになりたいところではあります。
(そんなこといいから、薬の勉強しろや、ゴラァッ!というご指摘も重々承知しているのですが、まあ薬の勉強ばかりだと飽きるので…)
たとえば胸痛。
定期的に来局する患者さんは高血圧なり脂質異常症なり、なにかしら冠動脈疾患のリスクファクターがあり、ACS(acute coronary syndromes 急性冠症候群)が真っ先にマストルールアウトな疾患として想起されます(まあ、他にも胸痛で危険な疾患というと、肺炎、緊張性気胸、肺塞栓などいろいろありますが)。
Value and limitations of chest pain history in the evaluation of patients with suspected acute coronary syndromes. - PubMed - NCBI
JAMA. 2005 Nov 23;294(20):2623-9.
胸痛を呈する患者を対象とし、ACSを鑑別するにあたって有用となる病歴を検討
table2
positive LR(95%CI) | |
---|---|
AMIの可能性が高まる | |
Radiation to right arm or shoulder右腕・右肩への放散 | LR4.7(1.9-12) |
Radiation to both arms or shoulders両腕・両肩への放散 | LR4.1(2.5-6.5) |
Associated with exertion労作との関連 | LR2.4(1.5-3.8) |
radiation to left arm左腕への放散 | LR2.3(1.7-3.1) |
Associated with diaphoresis発汗 | LR2.0(1.9-2.2) |
Associated with nausea or vomiting | LR1.9(1.7-2.3) |
Worse than previous angina or similar to previous MI(以前の狭心症より悪いか、以前のMIと類似 | LR1.8(1.6-2.0) |
Described as pressure圧迫感 | LR1.3(1.2-1.5) |
AMIの可能性が低くなる | |
Described as pleuritic胸膜炎様 | 0.2(0.1-0.3) |
Described as positional 位置(限局的な?) | 0.3(0.2-0.5) |
Described as sharp鋭い痛み | 0.3(0.2-0.5) |
Reproducible with palpation触診で再現可能(圧痛?) | 0.3(0.2-0.4) |
Inframammary location乳房下部の位置 | 0.8(0.7-0.9) |
Not associated with exertion労作との関連なし | 0.8(0.6-0.9) |
ちょっと翻訳が怪しいのですが…。
Described as positionalは位置が明確ということでしょうか…?
指先でさししめすというよりは、手のひらやグーで胸全体をおさえるポーズをとることが多いと聞いたことがあります。
ただ指でさししめすような痛みを訴えても、可能性がゼロになるわけではないようですが…。
胸より下の位置の痛みを伴ってもほとんど可能性が低くならないようですね。下壁梗塞でしょうか?
完全に除外できる所見があればいいのですが、これらを組み合わせて判断することになります。
呼吸による痛みの変化がないか、労作性か、限局性か、痛みの性状、圧痛がないか、随伴症状(放散痛、冷や汗、嘔吐)などを確認したいところです。