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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

骨粗しょう症治療薬の有効性の比較(2012ネットワークメタ)

整形外科

2012年ということでちょっと古いレビューですが参考までに。

Clinical review. Comparative effectiveness of drug treatments to prevent fragility fractures: a systematic review and network meta-analysis. - PubMed - NCBI
J Clin Endocrinol Metab. 2012 Jun;97(6):1871-80.
イントロダクション:50歳以上のアメリカ人1000万人が健康を害する代表的疾患である骨粗しょう症脆弱性骨折は毎年150万人に発生。脆弱性骨折を防ぐための治療法として、ビスホスホネート、PTH analog(テリパラチド)、デノスマブ、SERM(selective estrogen receptor modulators)、カルシウム剤+ビタミンDなどがあり、骨折リスクの軽減が示唆されている。その効果は少ないイベント数で見積もられており、不確実性もあるとされる。脆弱性骨折予防効果を比較するためシステマテックレビュー/ネットワークメタアナリシスを実施した

研究デザイン:骨粗しょう症治療薬の有効性を比較したネットワークメタアナリシス
介入:bisphosphonates (alendronate, risedronate, zoledronate, and ibandronate), PTH 1-34 (teriparatide), SERM such as raloxifene or bazedoxifene, denosumab, and calcium and vitamin D
アウトカム:脆弱性骨折fragility fractures

資金提供:This review was partially funded by a contract from The Endocrine Society(内分泌学会)

<Eligibility criteria>
①RCT
骨粗しょう症(またはそのリスクあり)患者が対象
③1つ以上の介入と、プラセボまたは他の治療薬と比較した試験
脆弱性骨折fragility fractures(脊椎vertebral、股関節hip、非脊椎nonvertebral)をアウトカムとした試験

<除外>
・骨折のデータがない試験
・bone metastases骨転移の治療
・患者の大部分が試験開始前に平均3年間のビスホスホネート療法を受けている試験

<評価者バイアス>
2名のレビュアが独立してタイトルとアブストラクトの適格性を評価。少なくとも1名が適格と判断した場合、フルテキストを2名で評価。
意見の不一致についてはディスカッションにより決定。
"Study selection and data extraction (focusing on judgment of quality indicators) had adequate chance-adjusted interreviewer agreement above 0.80"(→レビュアの同意率が0.8で、選定は適切だった…ということでしょうか…?翻訳に自信がありません、すみません)

<出版バイアス>
言語制限なし
ファンネルプロットで評価している。"We assessed publication bias by examining funnel plots symmetry and by conducting Egger's regression test"
→結果は、Egger's regression test >0.05

<結果>

116RCT(139,647名、年齢中央値64歳、女性86%、白人Caucasians88%、フォローアップ中央値:24months)
治療薬同士のhead to headの試験は少ない

バイアスリスク:低~中
試験の品質は中等度
54% of the trials reporting adequate allocation concealment
73% reporting blinding patients and caregivers
資金源:"The source of funding included for-profit sources in the majority of the trials"(for-profitで営利目的の意があるので、ほとんどの試験が製薬メーカーのサポートによるものだったと解釈しました)


骨折リスク(vs.プラセボ)(odds ratio 95%CI)

Hip fractures Vertebral fractures Nonvertebral fractures
テリパラチドTeriparatide 0.42(0.10-1.82) 0.30(0.16-0.55) 0.50(0.32-0.78)
デノスマブDenosumab 0.50(0.27-0.86) 0.33(0.19-0.65) 0.74(0.56-0.94)
ラロキシフェンRaloxifene 0.87(0.63-1.22) 0.57(0.39-0.83) 0.90(0.76-1.03)
ゾレドロン酸Zoledronate 0.50(0.34-0.73) 0.35(0.20-0.64) 0.69(0.55-0.84)
リセドロン酸Risedronate 0.48(0.31-0.66) 0.46(0.31-0.68) 0.68(0.55-0.81)
イバンドロン酸Ibandronate 0.49(0.21-1.20) 0.62(0.37-0.98) 0.88(0.43-1.64)
アレンドロン酸Alendronate 0.45(0.27-0.68) 0.50(0.33-0.79) 0.78(0.66-0.92)
Vitamin D 1.13(0.94-1.34) 0.96(0.59-1.58) 1.01(0.85-1.20)
Vitamin D + calcium 0.81(0.68-0.96) 0.99(0.74-1.41) 0.94(0.84-1.02)
Calcium 1.14(0.82-1.59) 0.71(0.45-1.12) 1.00(0.83-1.22)
バゼドキシフェンBazedoxifene - 0.61(0.32-1.18) 0.85(0.65-1.10)

※ゾレドロン酸:国内では骨粗しょう症の適応はない(H28.5)、今後販売予定?(骨粗鬆症治療剤「AK156」(ゾレドロン酸水和物)の国内製造販売承認申請について | プレスリリース | 旭化成株式会社 年1回投与の点滴静注、2007年に米国で承認。)


テリパラチド、ビスホスホネート、デノスマブは脆弱性骨折を減らすのにもっとも効果的。有効性の違いは小さいので、治療の決定は有害事象やコストに基づいて決定するべきであるという結語です。

イベント(骨折)の数が少ないことや、head to headのような直接比較試験が少ないことなどがlimitationとして挙げられるようです。
talbe1~3に薬剤間の比較データも載っていますが、直接比較のデータはどれくらいあるのでしょうか。
Referencesよりタイトルから抽出してみると…、

The effect of teriparatide compared with risedronate on reduction of back pain in postmenopausal women with osteoporotic vertebral fractures. - PubMed - NCBI(Osteoporos Int. 2012 Aug;23(8):2141-50)
↑アウトカムはback pain

Zoledronic acid and risedronate in the prevention and treatment of glucocorticoid-induced osteoporosis (HORIZON): a multicentre, double-blind, doub... - PubMed - NCBI(Lancet. 2009 Apr 11;373(9671):1253-63)
↑アウトカムはlumbar spine bone mineral density

Effects of teriparatide versus alendronate for treating glucocorticoid-induced osteoporosis: thirty-six-month results of a randomized, double-blind... - PubMed - NCBI(Arthritis Rheum. 2009 Nov;60(11):3346-55)
↑プライマリがはっきりしない。複数の評価項目のなかにfracture incidenceあり

以下はがんの骨転移が対象
Lancet. 2011 Mar 5;377(9768):813-22.
J Clin Oncol. 2011 Mar 20;29(9):1125-32.
J Clin Oncol 28:5132–5139

ということで、大規模なhead to headの試験はほとんどないようです。


↓こちらは閉経後の女性が対象ですが、ネットワークメタっぽい内容のレビューです。
The relative efficacy of nine osteoporosis medications for reducing the rate of fractures in post-menopausal women. - PubMed - NCBI
BMC Musculoskelet Disord. 2011 Sep 26;12:209
こちらは、プラセボでのイベント発生率やNNTなどの記載もあります(ごちゃごちゃしてややこしいことになってますが汗)
teriparatide, zoledronic acid,denosumabなどがもっとも効果的との結語で、2012のレビューと似たような結果となっています。



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