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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

キノロンの制限でESBL産生菌の耐性率が減少?

Effects of fluoroquinolone restriction (from 2007 to 2012) on resistance in Enterobacteriaceae: interrupted time-series analysis. - PubMed - NCBI
J Hosp Infect. 2015 Sep;91(1):68-73
背景:医療関連感染を減少させるには抗生剤の管理が重要な要素となる
目的:腸内細菌の耐性に対するフルオロキノロンの制限の影響を記録・分析。フルオロキノロンに耐性の大腸菌として、ESBL産生菌に焦点を当てた

※ESBL:extended-spectrum β-lactamase

研究デザイン:time-series analysis(時系列研究)
フルオロキノロン制限前後の分離株を比較

<結果>
ESBL産生大腸菌のシプロフロキサシン耐性率が低下

リスク比
院内 RR0.473(95%CI 0.315-0.712)
市中(community settings) RR0.098(0.062-0.157)

 


<感想>
抗菌薬の使用制限で感受性が回復することを示唆した前後比較の研究です。
使用を制限することでここまで耐性率が減少することに驚きました(感染症に詳しい方からすれば当たり前? 汗)。

国内の文献を探してみました。
かぜ症候群とその周辺疾患 ~かぜ症候群を極める~
日本内科学会雑誌 Vol. 97 (2008) No. 1 p. 190-199
こちらの図2にて「抗菌薬を制限すると耐性菌を減らすことができる」ことを示唆するデータあり。
小豆島という閉鎖された地域でセフェムの使用を1/10に減らしたら肺炎球菌のAMPC耐性菌が消失したとのこと。

国内のキノロンの耐性状況についてはこちら
ESBL産生/キノロン耐性大腸菌の存在を見据えた高齢者尿路感染症の抗菌薬治療を考察する
日本老年医学会雑誌 Vol. 52 (2015) No. 2 p. 153-161
高齢者における尿路感染症の抗菌薬治療の比較検討です。尿路感染症にLVFXはよく処方される印象があります。
「LVFX群では15例中3例に治療前、また3例に治療後ESBL産生またはLVFX耐性の大腸菌が検出。」
「LVFXの投与では、使用前に検出されなかった耐性大腸菌が使用後に菌交替で現れることが多い」との記載あり。

キノロンはこちら(クラビット適応追加:結核(でも"結核疑い"に投与するのは危険?) - pharmacist's record)の問題もありますが、安易に乱用すると、いざというときに効果が期待できなくなってしまうかもしれませんね。