NEJMのカナグリフロジンが話題になっていますね。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1611925
2つのRCTを統合したその意図とはなんでしょうね?まあなんとなくお察しするところではありますが…。
個人的にはやっぱ性器感染症は増える傾向にあるな~と思いました。その一方で尿路感染症は増えていない。
EMPA-REGもそうだったので、この傾向はSGLT阻害薬に共通のものと認識して良さそうだなと思いました。
例の下肢切断については…、うーん、どうでしょうね。
NNH計算すると、そこそこのインパクト。。。
国内は足病変は欧米と比べて少ない気もしますが、切断ってめちゃくちゃ強烈なアウトカムですよね。
さて、SGLTはこのあたりにしておいて、個人的に「へぇ~」と思った抗菌薬の話を取り上げてみたいと思います。
(あくまで個人的に、です。感染症詳しい先生方にとっては常識なのでスルーしてくださいね!)
抗菌薬の選択においては、原因微生物の感受性だけでなく、感染臓器への薬の移行性も大事ですよね。
ちょっと前立腺炎について取り上げてみましょう。
前立腺への移行性はどうでしょうか?
Penetration of antimicrobial agents into the prostate. - PubMed - NCBI
Chemotherapy. 2003 Dec;49(6):269-79.
「βラクタムは前立腺への移行性が悪い。」
「テトラサイクリン、マクロライド、キノロンなどは前立腺への移行性が良い。」
とのことです。
では、βラクタムを前立腺炎に使用することはないのかというとそういうわけでもないようです。
Treatment of bacterial prostatitis. - PubMed - NCBI
Clin Infect Dis. 2010 Jun 15;50(12):1641-52.
急性細菌性前立腺炎の抗菌療法の項目
「急性の炎症を起こしている前立腺には、ほとんどの抗菌薬が移行する。」とのこと。
サンフォードを見てみると、急性前立腺炎の治療薬としてセファロスポリンの薬の名が挙がっている一方で、慢性前立腺炎ではセファロスポリンの名はありません。
おお、やはり炎症の急性期ならβラクタムも有効なんですね。炎症があると移行性がよくなるのは、血管透過性の違いなどによるものでしょうか?
今日、学んだこと
「同じ臓器でも炎症の有無によって抗菌薬の移行性が異なる」
どうも久しぶりにブログを書くと、ノリが掴みにくいですね。いつもこんな感じだったかなぁ?
今後はなるべく更新頻度を増やそうかなと思ってますが、なるべく短い内容でゆる~く続けて生きたい今日このごろ。
がっつりとしたレビューは地域医療ジャーナルのほうをご覧ください~。