DUの定理[1]が話題になったのは記憶に新しいところですが、、、
と思ったら、記憶に新しいというのは自分の錯覚で、もう2年も前の話でした。
どういうこと?
時間の流れるスピードが速くなってない?
そりゃあ、歳をとるわけだ…。
(DUの定理についてご存知でない方は↓こちらをどうぞ)
[1]日経メディカル ナーシング 忽那賢志先生の「感染症相談室」
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/anursing/kutsuna/201512/545029.html
第3世代のセフェム(セファロスポリン)のバイオアベイラビリティの低さを、こんなふうに表現するとは!
まあ、それはさておき、なんだかんだ第3世代のセフェム系抗菌薬の処方頻度は多いと思います。
そこで、今日の素朴な疑問。
膀胱炎に第3世代セフェムってどうなんだっけ?
膀胱炎には第3世代のセフェムはアリなんですかね。キノロンと第3世代セフェムの処方が多い印象ですが。。
そんな中、膀胱炎になんでもかんでもキノロンっていうのに釘を刺す通達がFDAから出てましたよね。
FDA Drug Safety Communication: FDA updates warnings for oral and injectable fluoroquinolone antibiotics due to disabling side effects
単純性(合併症のない)尿路感染症に対して、他の治療の選択肢がないときに限り、キノロンの使用を考慮しなさい的な感じです。
おいおい、じゃあどうすんの?って感じですが、たとえばこのレビューだと…
Diagnosis and management of urinary tract infections in the outpatient setting: a review. - PubMed - NCBI
JAMA. 2014 Oct 22-29;312(16):1677-84. PMID:25335150
ファーストラインはこれだ!
Trimethoprim-sulfamethoxazole (160/800 mg twice daily for 3 days), nitrofurantoin monohydrate/macrocrystals (100 mg twice daily for 5-7 days), and fosfomycin trometamol (3 g in a single dose)
ニトロフラントイン…?そんなものは日本にねぇ!!
ホスホマイシン…trometamol…??日本のホスホマイシンはホスホマイシンカルシウム水和物ですが、ほぼ同じとみなしていいんですかね?BAとかどうなんでしょうか。気になるところですが、これについては後日調べましょう(←これ、調べずに終わるパターン)
というわけで、ST合剤なんですが、感染症プラチナマニュアル[2]でも、ST合剤を推奨してますね。もしくは"第1世代"のセフェム。
[2]感染症プラチナマニュアル 著:岡 秀昭 先生
ふむ…。ただ、ST合剤ってなんだかんだ抵抗があるっていうか、PCP予防で使うことが多い印象でして、プライマリケアの先生が普通の膀胱炎にポンポン処方しているのは見たことがないです(すみません!自分の狭い世界での話ですが)
では、第1世代のセファレキシン(ケフレックス®)かっていうと、そもそも採用がなかったりして、、、
なんだかんだ第3世代のセフェムを使っていることが多いような気がします。
ところで、単純性尿路感染症の起因菌ってなんでしょうね。
サンフォードをみると、
大腸菌(E.coli)が多数、あとクレブシエラ(Klebsiella)などなど。
ついでにサンフォードだと第1選択薬は、
ST合剤(これもなんだかんだ耐性菌が増えているらしい[3])、ニトロフラントイン
[3]
Clinical Management of an Increasing Threat: Outpatient Urinary Tract Infections Due to Multidrug-Resistant Uropathogens. - PubMed - NCBI
Clin Infect Dis. 2016 Oct 1;63(7):960-5.PMID:27313263
で、サンフォードの第2選択薬がCPFX、LVFX、AMPC/CVA、CEX、CFDNなど
(ちなみに、MFLXはダメらしい。尿中濃度が低いから。)
おっと、ここでCFDNの登場だ!
セフジニル(セフゾン®)ですね。
となると、第3世代はゼッタイダメってわけでもないんですかねぇ…。
そこで見つけたのが、この論文。
Cefpodoxime vs ciprofloxacin for short-course treatment of acute uncomplicated cystitis: a randomized trial. - PubMed - NCBI
JAMA. 2012 Feb 8;307(6):583-9.PMID:22318279
セフポドキシム(バナン)ですね。最近、あまり見かけないですが、バイオアベイラビリティは経口第3世代のセフェムの中では高いほうだったかと。
JAMAという有名なやつに掲載された論文なので、まとめてみましょう。
プライマリアウトカム(一次評価項目)が30日後の評価ってのは、この手の臨床試験では一般的なのでしょうか…。このあたり背景知識がなさすぎて、ここまで読んでくださった方々に申し訳ないところ。
ただセカンダリはfirst follow-up visitでの評価なので、治療から 5 to 9 daysくらいの時点でもきちんと評価されてます。
PubMed Central, Table 2: JAMA. 2012 Feb 8; 307(6): 583–589. doi: [10.1001/jama.2012.80]
↑こちらにまとまってますね
どうやらアブストの臨床的治癒率は、
Intent-to-treat analysis, imputing values for patients without follow-up visits as having clinical cure.
でのデータらしいです。
シプロフロキサシンのが効いてる印象ではありますが、短期間での臨床評価("Early clinical cure")のほうが群間差が小さいんですね。また、"Early microbiological cure"ははっきりとシプロフロキサシンのほうが優れてるようです。
この試験の結論として…、
この試験は非劣性試験ですが、セフポドキシムは、シプロフロキサシンに対する非劣性を示せませんでした(一応、補足しておくと、この非劣性試験は非劣性マージンが10%で設定されてるので、信頼区間の上限が10%を超えたら非劣性示せず、ということになります)。
そうなると…、もっとBAが低い3rdセフェムだとどうなるんでしょうね…、という疑問が沸いてきます。
そのあたりについて検討されている試験も他にありそうですが、今回はこのあたりで終了とさせていただきます。
今週めちゃくちゃ疲れたので、ビジアブ作成と同時に燃え尽きました。
なんだか文章が雑で申し訳ないです(「いつもだろ!」ていうご指摘は、ヘッドホンでアンダーワールドとイギーポップの曲を聴いている筆者の耳には届きません。)
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アンダーワールドの音にイギーポップのスピーチがのっかっててめっちゃかっこいい!