pharmacist's record

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黒沢清監督「予兆 散歩する侵略者」を見た

連休!ということで、のんびりしています。映画もいろいろ見てしまいました。
映画見るの、ちょっとひさしぶりかも。
いろいろ見たんですが、異彩を放っていたのはこれですね。

(ネタバレしないよう、基本的なあらすじや設定だけにとどめてますが、内容はいっさい知りたくない!という方は読まないでください~)

これは黒沢清監督の「散歩する侵略者」のスピンオフ作品。
散歩する侵略者がおもしろかったので、これは見るしかない!って。


散歩する侵略者はですねぇ…、
ネタバレ無しでどう説明したらいいのかわかりませんが、こんな感じのお話。

地球にこっそりやってきた"侵略者"が一部の人間の体をのっとり(見かけは人間のまま)、人間の概念を奪いながら侵略していく…というお話。

概念を奪うっていうのが面白かったですね
内容あまり覚えてないので適当に再現すると
侵略者「へぇ。"家族"か…。それちょっとイメージしてみて。そうそう…」
で、人差し指でおでこをちょこんと突く。
侵略者「ああぁ、なるほど。これが家族かぁ~」
みたいな感じ。
(テキトーですみません)

奪われたほうは、家族という概念を欠落してしまって、父親とか母親とかわからなくなる。
そうやって、侵略者たちは興味のある概念をどんどん人間たちから奪っていく。

侵略者は別に凶悪そのものって感じじゃなくて、淡々と人々と接しながら興味を示した概念を奪っていきます。人間から手当たり次第奪っていくっていうような戦闘モードそのものって感じじゃないです。
探究心っていうか知的好奇心で動いているように見えなくもない。

でも結局は彼らの母体(どこにいるんだろ?宇宙で待機してるのかな?)は地球を狙っているのは間違いない。潜入した侵略者たちは敵地調査のスパイみたいな感じなんですね。
だから人間たちを攻撃することはないし、ただただ概念を奪うだけ。そして全員から奪うわけでもなく、ある程度、日常に溶け込みながら奪っていく。
しかも侵略する地球に住む人間のなかから1人「ガイド」になってもらってともに行動するっていうわけのわからない展開。「ガイド」は乗っ取った人間の身近な人であったり、まあいろいろですね。

ちなみに侵略者に体を乗っ取られた人(=つまり侵略者そのもの。外見だけ人間)を松田龍平さんが演じており、その妻が長澤まさみさん。
他にも侵略者はいて、そんな彼らに密着する記者(=ガイド)がシンゴジラで主役を演じた長谷川博己さん。こういう役もいいですね。終盤のあのシーン、個人的には最高でした!

サスペンスっぽさはちょっと薄くて、黒沢監督らしい不思議な空気感で物語は進みます。
侵略とか戦闘っていうのはテーマではなくて、奪われていく概念のほうがテーマなのかなぁ。
物語の終盤、侵略者は"ある概念"を奪うのですが…。

つづきは本編で。


で、話を戻して、スピンオフの「予兆」ですが、こっちのほうがサスペンス色が強かったです

侵略者に乗っ取られた外科医を東出昌大さんが演じていますが、こりゃあハマリ役ですね。とても良かった!イケメン俳優なのに、こんなにも自然に不気味な雰囲気を醸し出すとは…。おそるべしッ。
彼の"ガイド"を染谷将太さん(寄生獣の人かな?)、その妻の役を夏帆さん(Sweet Robots Ageinst the Machine!!)が演じてます。
今回ちょっと違うのは、夏帆さん演じる女性はなぜか概念を奪えないという特異体質の持ち主。
侵略者たちは研究対象として、彼女をサンプルとして生かすことにするのですが…。

うん、なんかもうストーリーどうこうってより東出さんがぜんぶもってったっていう印象。
この俳優さんはちょっと注目していこうと思いました。

あとちょこっとですが、大杉漣さんも出ていましたね。
面白い映画には必ずといっていいほど顔を出していたように思います。
ご冥福をお祈りいたします。


最後に監督の話を少し。
黒沢清監督は「CURE」で知りました。
その後もちょこちょこ見てましたが、ちょっと前の「クリーピー 偽りの隣人」というのがおもしろかった。
これも大好きな映画のひとつ。
こういう独自の路線を突っ走るのっていいですね。


最近、重い映画は疲れちゃって見られなくて、爆弾ドッカーン、銃弾バンバン、みたいなわかりやすい娯楽映画ばっかり見てるんですけど、サスペンス・ホラーはギリいけますね。
重い人間ドラマ、みたいなのは疲れちゃうんだよなぁ。。

でも、今回はそれ以外にもいろいろ見たので、機会があればまたご紹介しようと思います。