pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

"疑義照会"の感度と特異度について

今回はこのイヤ~なテーマについて取り上げたいと思います。

薬局で働いている薬剤師のみなさまは疑義照会の悩ましさに気を使って神経をすり減らしていることでしょう。
処方せんを発行する医師のみなさまは薬局からの疑義照会をうっとおしいなぁ、煩わしいなぁと思っていることでしょう。

煩わしい疑義のほとんどが○○ベースド疑義照会なのですが、それについては今回はあまり触れません。
怒られそうですし。

○○に何が入るのかはお察しのとおり。
小中学生向けの塾の看板とかにデカデカと表示されているあの四文字です。

薬局としてもあとで自主返還になるのは嫌なので極めて重要性の低い確認作業もおこなわざるをえな……おっと誰かきたような気がするので、話を変えます。


疑義照会です。

SNSとかでも、ちらほら"文句"という形でポロリと実例があがってたりするようなしないような…

医師「○○処方したら薬局から疑義きたんだけど!!そんなことも知らないのか!」
薬剤師「こんな処方間違いがあった!!」

どっちもどっちであまり気分のいいものではないですが、勉強になったりするご指摘もあるかもしれないですね。

では、完璧な"疑義照会"しか行わない薬局ってあるのでしょうか?

完璧な"疑義照会"ってそもそもなんでしょう。

自分は完璧なものなどないと思います。
(というか、Drによって"完璧"の定義が異なる…)

え?そんなことはないって??
もちろんある程度の精度の差はあるでしょう。ですが、「完璧」はありません。
見落としてしまうことは誰にでもあるから完璧ではないってこと?と思われる方もいらっしゃるかもですが、そういう意味ではありません。


疑義照会とはスクリーニング検査みたいなものです。

検査は一概に「精度が高い・低い」とは言えないですよね?

検査には「感度」と「特異度」があります
(これらのワードはこのブログの読者さまは知っているものとして話を進めます。)

処方せんのうっかりミスを"病気"だと考えていただければイメージしやすいでしょうか。

たとえば、
医師「あの薬局はほんとくだらない疑義がないよね。本当に間違ってるところだけ指摘してくるよ」

これって感度が高いのではなく、感度を少し下げてでも特異度を高くして、疑義照会をしているのです(その病院には怖いDrがいるんですかねぇ)。
「若干、ひっかかる部分があるものの、これは"あえての"処方だと判断して疑義照会しなかった内容が実は間違いだったという可能性」をわずかながら孕んでしまうことになります。

一方、
医師「あの薬局はいちいち凄く細かいことまでわざわざ確認してくるんだけど、こんなわかりにくい処方ミスも指摘してきたよ。」

これは徹底的に感度を上げています。特異度を下げているので、「そんなことで疑義してくんじゃねぇ!」とDrから怒られるような内容でも念のため疑義照会で確認をとっているため、わかりにくいミスも防げます。万が一のミスを確実に食い止めるため、怒られるかもしれないというのを承知で感度を上げているんですね。


とても極端にたとえてしまったので、実際はそんな単純ではないのですが、ざっくりと伝わったでしょうか。
感度も特異度も100%の疑義照会はないのです。
「うっかりミス」なのか、「あえての処方」なのかを、確実に見極めるのは不可能だと思います。患者さんからの情報も曖昧ですしね。

ちょっと極論で語ってしまいましたが(極論で語る疑義照会!?)、なんとなくそういう部分もあるなぁって気がしませんか?

このような意味合いで、"完璧"な疑義照会はないと前述しましたが、個人的には"完璧"な疑義照会は、感度が高い疑義照会だと思っています。処方ミスなんてしないから些細な確認はやめてくれというDrにとっては、感度が高い疑義照会は迷惑極まりないんでしょうね。

Drにとっては迷惑かもしれませんが、万が一ということもあるので、個人的には感度を高めたいと思っています(ハイリスクな薬は特に)。怒られるのは嫌ですけど大事なのは患者さんですからね。

悩ましいのは漢方ですね。いろんな効能が入り混じって、さまざまな使い方があるので、微妙に主訴が異なるような気がするけど、そういう使い方もあるよなぁ…と悩みます。どーもひっかかるので、特異度低いけど念のため疑義しとくか!(処方間違いじゃなかったら怒られるかも!?ドキドキ…)→フタを開けたら間違いでしたー。みたいなことけっこうありますからね。

もちろん医療機関によってさまざまです。あそこは絶対処方を間違えないなぁっていう医療機関もあります。
あっ!別に処方入力ミスをする医療機関をディスってるわけではないですよ!人間だからミスは起こりえます。それを防ぎたくて細かい疑義をしちゃうかもしれないけど、それであからさまに機嫌悪い態度とられたら悲しいということです。
同じ医療従事者同士、仲良くやりましょうよって思うんですけど、いろいろ難しいですよねぇ。。。

まあ、そんなことより、○○ベースド疑義照会をなんとかしたいですよね。日本中の医療者の時間をなんだと思って……おっと誰か来たような気がしますので今日はここまで。


今回の内容、「はぁ?コイツなに言ってんだ!?」といった批判の声が殺到しそうな気もしますが、極論で語ってみただけですのでお手柔らかに。

ふと、昔、ラジオでトリッキーな発言を連発してたダウンタウンの松っちゃんが言ってたことが頭によぎりました
「こういう考え方もあるよっていうのをおもしろおかしくしゃべってるだけなんやから、そんな目くじら立てて怒んなや」
わかる、わかるよ松っちゃん!
疑義照会の感度と特異度ってなにわけわかんないこと言ってんだ自分って自己ツッコミしながら書きましたからね。まあダウンタウンと違って面白くはないですけどね…。