pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

インフルエンザ迅速キットの精度は?

いやー、行き詰まりました。いまとりかかってる11月号の連載記事が行き詰りましたので気分転換にブログを書きます。

今の私を形成したといっても過言ではないJJ CLIPにハマったきっかけは…?と遡ってみると、これを録画で拝聴したときだったと思います
syuichiao.blogspot.jp
感度、特異度…?なんじゃそりゃ?と思いながら何回か聴きなおしてようやくイメージできたかと思いきや、その後も何度かの混乱を招き、自分なりにたとえを考えてようやく落ち着いた感度と特異度。
SNSでウケがよかったので一応書いておくと、
感度が高い・特異度が低い→検挙率高いけど、無実の人や別の事件の犯人も誤認逮捕(濡れ衣!)してしまう。
感度が低い・特異度が高い→逮捕した容疑者は真犯人の可能性が高いが、誰も逮捕できずに迷宮入りになりやすい。

これでようやく定着したわけですが、自分の理解度の悪さに辟易したのを思い出しました。

さて、このインフルエンザの検査について面白い論文があったのでご紹介

Near-patient assays for diagnosis of influenza virus infection in adult patients. - PubMed - NCBI
Clin Microbiol Infect. 2009 Mar;15(3):267-73. PMID19183404

table1がおもしろいのでココだけ見てみましょう。
インフルエンザ迅速検査のキットのメーカーさんの情報だと感度も特異度もめちゃ高い。
で、実際、臨床研究やってみたらどうだったかがtable1に一目瞭然。
特異度はやっぱり高いです。95%以上。
でも感度が…
メーカーさんが90%越えをアピールしてても実際やってみたら、ある製品は59~80%(3つの研究より)、ある製品は81%

まあ、症状出てからの時間が短すぎると感度が下がりますし、もしかしたら手技の問題もあるかも(←すみません、これただの予想です、根拠なし)、そのあたりの影響だろうとは思いますが、実際、患者さんはソッコー受診したりしますし、リアルワールドだと感度けっこう下がるんじゃないかなって気もしますよね。
メーカーさんは完璧にやったんでしょうけど、実際、そううまくはいかないでしょうから、このように感度めちゃ高いとはいえないかもよっていうのが示されると参考になるのでとても良いですね。

JJ CLIPで取り上げられたのは、2014年の論文(Factors influencing the diagnostic accuracy of the rapid influenza antigen detection test (RIADT): a cross-sectional study. - PubMed - NCBI PMID24384898)なので、この研究には含まれていませんが、これもやはり感度は低めでした(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3902527/table/BMJOPEN2013003885TB2/)。こちらはRapidTesta FLU IIという商品を使ったみたいですが、メーカーさんのサイトだと感度85~95%くらいになってますね(www.sekisuimedical.jp)。

はぁ~。インフルエンザの記事を書いていたら憂鬱になってきました。まだ残暑ですが、秋を過ぎて冬になったら…。またインフルエンザが猛威をふるう時期がやってくるんですね。私の妄想でなければ、すでにどこかでインフルエンザの症例が出たとか…(あれ?ニュース探してもヒットしない。夢だったのかな。最近、夢と現実の区別がつかないので)
私の近隣ではとくに噂はないですが、いろんな意味で我々に襲い掛かるあの悪魔ウイルスをなんとか社会から締め出したいものです。

さて、気分転換は終わりましたので、11月号のほうにとりかか…。いや、その前に、ちょっと出かけましょうかね。今日はせっかくの夏休みなわけですから!
(出かけるといっても、おそらく、近隣のスーパーに行って終了)