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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

腎機能低下例ではサイアザイド系利尿薬が効かない?

腎臓 循環器

 サイアザイド系利尿薬は、高血圧や浮腫の治療に使われますが、最近ではARBとの配合剤として用いられることが多いです。JSH2014ではサイアザイド系利尿薬(類似薬も含む)は常用量の半量程度の少量投与を推奨しており、少量であれば代謝への影響(尿酸値上昇、中性脂肪上昇、耐糖能低下)は少ないとされています。増量しても降圧効果は頭打ちとなりますが副作用は用量依存的に増加するので注意が必要です。

参考) 

トリクロルメチアジド(フルイトラン):添付文書1日2~8mg 推奨量は1日1mg以下

インダパミド(ナトリックス):添付文書1日2mg 推奨量は1日0.5~1mg

 

 薬理作用は、遠位尿細管でのNa再吸収阻害による利尿作用。循環血流量が減少し、末梢血管抵抗を低下させ降圧効果を示しますが、CCB等に比べると降圧効果に速効性はありません。

サイアザイドの利尿作用に伴う電解質の動きとしては、

  • K尿中排泄による低K血症
  • Na尿中排泄促進による低Na血症
  • Ca再吸収促進による高Ca血症(ループ利尿薬はCa排泄促進)
  • Mg再吸収抑制による低Mg血症

Caの排泄を抑えることが影響しているのかわかりませんが、骨折リスクの減少がHYVETで示唆されており、JSH2014では、他に積極適応がない骨粗しょう症の高血圧患者ではサイアザイド系利尿薬が推奨されるとなっています。

 

 腎機能低下例では、効果が期待できません。糸球体で濾過された原尿は近位尿細管で70%、ヘンレループで15%が再吸収され、遠位尿細管に到達するのは約15%ということで、原尿が少なければ、遠位尿細管まで到達する量も少なくなり、利尿作用が期待できなくなります。

サイアザイドの適応となる腎機能の指標は、

腎機能eGFR 30mL/分/1.73㎡以上(Cr2.0mg/dL未満)。CKDステージでいうとG1~G3に該当します。

G4~G5ステージではループ利尿薬、効果不十分であればループ利尿薬とサイアザイドの併用も認められていますが、低カリウム血症などに注意が必要です。