pharmacist's record

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食事のときに、野菜を先に食べる→血糖値は下がる?

食物繊維が豊富な野菜を先に食べることで食後血糖の上昇を抑制するっていう説がありますよね。自分も患者さんに話したりするのですが、その効果を検証したデータはあるのかな?ってことで調べてみました。

国内から、外来患者に対する摂取順序を重視した糖尿病栄養指導の血糖コントロール改善効果というタイトルの実践事例報告が発表されています。レトロスペクティブな観察研究のようです。
↓ざっくりまとめるとこんな感じ

外来患者に対する摂取順序を重視した糖尿病栄養指導の血糖コントロール改善効果
日本栄養士会雑誌53巻12号 p.1084-1091 2010年


介入群では管理栄養士さんの栄養指導あり
ビジアブのとおり、さまざまな指導が行われましたが、そのうちの一つとして、食事の順番を「野菜→炭水化物」にすることを推奨とあります。ほかは「よく噛んで食べる」「GI値の低い食品を推奨」です。

RCTではないので、介入群と非介入群の背景は違います。
介入群では、罹病期間が短く、まだ薬物療法を受けていない糖尿病患者さんが多かったようなので、介入群のほうが食生活改善で血糖値が低下する余地が大きい傾向にあったという可能性もあります。
因果関係を証明するRCTではないので、このようなバイアスの可能性は排除できませんが、「野菜を先に食べる」という介入や「よく噛んで食べる」といったとくに苦がなくできる対策なら試してみてもいいのでは?と個人的には思います。

因果関係(効果があるかどうか)を証明するためにはRCT(ランダム化比較試験)という前向きの試験を行うことになりますが、観察的なデータで有効性が示唆されることもあります。患者背景の違いによって生じた差かもしれませんが、期待できる効果が大きかったり、介入による不利益が小さいのであれば試してみてもいいかな~というのが個人的な見解です。
たとえば「野菜を先に食べる」というのは不利益がほとんどなさそうな気がします。
順番を変えるだけですからね。「好きなものを食べるな」と言われるわけでも、「好きじゃないものを食べろ」と言われているわけでもありません。費用(コスト)がかさむこともないでしょうし、安全性も問題なさそう。国の保険をつかってなにかを援助するわけでもないので、国全体としてのコストもかかりません。
こういう介入であれば、因果関係が証明されていなくても、試す価値はあるんじゃないかなと…。

医療者によって意見が分かれるかもしれませんけどね汗
みなさんはどう考えますか?(突然の呼びかけ)


※このテーマはこれで終わろうと思っていたのですが、このテーマでランダム化比較試験も実施されているようなので、この話は「次回へ続く」かも…?

追記
ph-minimal.hatenablog.com

こちらへ続きます!