pharmacist's record

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抗凝固薬投与によるAF患者の出血リスクの評価法 HAS-BLEDスコア

HAS-BLEDスコア
抗凝固薬投与による出血リスクの評価法として、欧州心臓病学会(ESC)より提唱されたスコアリング

Hypertension 高血圧 1点
Abnormal renal/liver function 腎機能障害、肝機能障害 各1点
Stroke 脳卒中 1点
Bleeding history or predisposition 出血歴、出血傾向 1点
Labile international normalized ratio 不安定なINR 1点
Elderly 高齢者65歳以上 1点
Drugs/alcohol concomitantly 薬剤(抗血小板薬・NSAIDs)、アルコール 各1点

高リスク:3点以上
※腎機能障害:慢性透析や腎移植、血清クレアチニン2.26mg/dL以上
肝機能異常:慢性肝障害(肝硬変など)又は検査値異常(ビリルビン値>正常上限×2倍、AST/ALT/ALP>正常上限×3倍)

Validation of CHA₂DS₂-VASc and HAS-BLED scores in Japanese patients with nonvalvular atrial fibrillation: an analysis of the J-RHYTHM Registry. - PubMed - NCBI
7,384人のNVAF患者(日本人)を対照とした前向きコホート
mHAS-BLEDとして、アルコールを除外したスコアリングで評価。
スコア別リスクがfigure3に記載あり

年間出血イベント率

mHAS-BLEDスコア ワーファリンあり ワーファリンなし
0点 0.3% 0%
1点 0.7% 0.2%
2点 1.0% 0.6%
3点 2.4% 1.1%
4点 3.6% 2.5%
5点 2.9% -

AFの抗凝固療法、とても悩ましいですね。
HAS-BLEDのスコアリングにあるとおり、高血圧は出血リスクとなりますので血圧コントロールが大事です。
抗凝固薬や抗血栓薬投与中の血圧管理に関しては、頭蓋内出血予防のため、虚血に注意しながら、血圧130/80未満を目指すとなっています(JSH2014より)