pharmacist's record

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リアルワールドでのNVAFにおける各種NOAC出血リスク

アメリカのデータを使用したコホート研究です。

Real-world comparison of major bleeding risk among non-valvular atrial fibrillation patients initiated on apixaban, dabigatran, rivaroxaban, or war... - PubMed - NCBI
Thromb Haemost. 2016 Aug 19;116(5).

研究デザイン:retrospective cohort study、Propensity score matched analysis
P:新規で抗凝固薬を処方された18歳以上のNVAF患者
E:NOAC[アピキサバン7,438(16.4 %), リバーロキサバン17,801(39.2 %),ダビガトラン4,661(10.3 %)]
C:ワルファリン[15,461 (34.1 %)]
O:入院を必要とする大出血

傾向スコアマッチングPropensity score matching (PSM) :age, sex, region地域, baseline comorbidities, and comedications


<結果>
vsワーファリン
apixaban (HR: 0.53; 95 % CI: 0.39-0.71)
dabigatran (HR: 0.69; 95 % CI: 0.50-0.96)
rivaroxaban (HR: 0.98; 95 % CI: 0.83-1.17)

rivaroxaban vs apixaban:(HR: 1.82; 95 % CI: 1.36-2.43)


<感想>
やはり、アピキサバンが出血リスクが少ないんですかねぇ。エドキサバンも出血が少ないと評価されている印象でしたので、エドキサバンのデータも見たかったです><

一番良い結果を出したアピキサバンのメーカーはBristol-Myers Squibb and Pfizer。
COIの項目に「This work was supported by Bristol-Myers Squibb and Pfizer」との表記。これは偶然でしょうか…?
ちなみにそのあと論文著者のCOIがいろいろ記載されていて、そちらにはバイエルやベーリンガーの記載もあります。
supportedということは資金提供をしたのはブリストルファイザーってことなんですかねえ?
(参考程度ではありますがCOIをチェックする癖がついてしまいました笑)

メソッドに
処方されたNOACの用量は標準用量(warfarin, apixaban 5 mg BID,rivaroxaban 20 mg QD, or dabigatran 150 mg BID)の症例を評価した、みたいなことがかかれていました。

おっと、日本の標準用量はリバーロキサバンが20mgではなく15mg。アピキサバンとダビガトランは同じ。これをどう解釈するか。
リバーロキサバンがやや出血リスク大という結果でしたが、日本では用量がやや少ないため、結局そんなにかわらないのかも?という気もしますね。

ただ、全部ワーファリンとの比較なので、ワーファリンのTTR次第ではいくらでもかわりそうな気はします。
NOACの日本のデータが欲しいですね~(エドキサバンも交えて)。