pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

「冬到来→血圧上昇→降圧剤増量! これを防ぐ工夫はありますか? 」 地域医療ジャーナル2017年12月号 vol.3  「”Good Death”について」

cmj.publishers.fm

12月号発刊です。
自分は冬といえば血圧でしょ、ということで表題のとおりのタイトルで書きました。とくに真新しいことではないですが参考までに。

今月号より看護師さんの連載がスタートしました。
今回は「看取り」がテーマとなっており大変興味深い内容でしたので、ぜひご覧いただければと思います。

Good Deathの文献(Ann Oncol. 2007 Jun;18(6):1090-7. PMID: 17355953 )
こんな研究報告があるんですね。これは重要なテーマだと思います。

寝ぼけた目で、流し見たところ、table2のStandardized regression coefficient が個人的に「はじめまして」なワードだったのですが、和訳すると"標準化回帰係数"ですか…。
アウトカムに影響する度合い、みたいなニュアンスでしょうか。寄与率みたいな。
この係数は0~1の間で表され、高いほうが寄与が大きいということのようです。

個人的にはまったく興味がないですが、Having faithの係数が0.95と一番高いですね。
どうせ海外のデータだろうと思っていたら、著者が日本人でした。
信仰ですか…。そういえば、「信じるものは救われる」という言葉もありますね。
自分が危ない状態になったら、信仰について勉強してみてもいいかもな…とちょっとだけ思いました。

余談ですが、Pokkuriというワードが出てきてびっくり
a.k.a."sudden death"ってことみたいです。
Pokkuriも悪くないですが、やはりdying as one sleepsがgood deathかなと個人的には思います。

どんなに医学が進歩しようとも、死から免れることはできません。
Good Deathを模索することは今後の課題となるのではないでしょうか。

初心者向け抄読会&レクチャーをやってみた

鉛よりも重い腰をあげて、初心者向け抄読会&レクチャーをやってみたのでご報告。

みなさん、身の回りで普及活動をしているみたいですが、どうやってるのか誰も開示してないですよね。
どんなスライドを用意してどんな流れでやってるんでしょうか…。

まあウチは隠すほどレベルのことはやってないので、スライドも抜粋してご紹介。
ところで、パワーポイントなんてろくにつかったことないので超適当です。べしゃりも適当でしたが。
みんな集まれるのなんて日曜しかないんだからね。日曜にまじめにレクチャーなんてするわけないんです。適当ですよ、適当。

さて、スライド(といっても機材なんてないので印刷配布です笑)は導入が大事なんじゃないかって気がするんですよね。
私がつくった1枚目はこちら

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架空の商品名を伏せたのは深い意味はありません。
で、これを踏まえて次の問いかけ
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いい感じに意見が分かれてくれてなによりでした。
「そもそも、このお客様の声ってのが疑わしい」というお手厳しい声があがるなか、
「この成分が配合されているなら飲んでみてもいい」という声も。ヘンな怪しい成分なら躊躇するけど、ビタミンやミネラルならまあ悪いことはないだろうという考え。なるほど。いろんな意見が出て、いい感じですね。

で、ひきつづいてこちら

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そして、ふたたび購入してみたいと思うかどうかの問いかけ。
けっこう効いているような感じがしますが…
プラセボ効果なんじゃないか!?」
お、出ました!プラセボ効果はけっこう有名ですよね。この概念は大事です。

さらにパワーアップして、

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で、購入してみたいかどうか。
……
このあたりでどんな意見がでたか私がメモるのを忘れてしまっているわけで。
年4回と6回だったら効果が微妙では?なんて気も。。

さて、こんな導入ではじめたのですが、
ざっくり言うと、
①は怪しい健康食品のサイトでありがちな内容ですよね。
要はいいとこどりのデータ。飲んだけど効かなかった人もたくさんいるのでは?ってなりますね。

②それならば効いた人、効かなかった人の割り合いを!
パッと見、けっこう効くんじゃん?って気がしますが…。
もちろんこれも微妙…。
ご指摘のとおりプラセボ効果もあるでしょう。こんなサプリを飲み始めればうがいや手洗いなんかも意識しだすかもしれません。
最大の問題点は、比較対照がないこと。飲んでいる人だけのデータなので、何と比較しているのか?という問題になる。で、何と比較しているかというと飲む前と比較している。前後比較ということですね。アウトカムが風邪なので、あらゆる因子がからんでしまいます。
観察期間が不明ですが、たとえば風邪流行期が過ぎた時点(春ごろ?)で試験開始すれば、自然と風邪引きにくくなったと感じてしまう購入者もいたりして…笑。
あとはYes/Noの自己評価なので、ちょっと評価があいまいですね。ますますプラセボ効果が出そうな感じ。
なんか効いてるかもぉ!って。

③このサプリを飲んだ人と飲まなかった人を比較だぁ!これでどうだぁ!!
まあ、飲まなかった人、ということなのでプラセボ効果は除外できません。
でも、ここで言いたかったのはその問題ではなくて。
おそらくこれがとっても大事なんだけど、ここが一番ご理解いただいてない部分かと。
この利用者100名と非利用者100名の背景がまったくわからないことが問題ですね。
これはいわゆる「ランダム化」をすればよいのですが、怪しい健康食品が載せてくるデータだとそのあたり適当かもしれません。非利用者が風邪をひきやすい集団かもしれませんよね。


で、ここから研究デザインについてのお話。
どこかのガイドラインから抜粋して、エビデンスレベルを。

ステマティックレビュー/メタアナリシス
ランダム化比較試験
コホート研究
症例対照研究(ケースコントロール
前後比較研究など対照群を伴わない研究
症例報告、ケースシリーズ
専門家の意見

まあ、だいたいちゃんとやれば、こんな順番になりますよと。
そして、簡単に各研究デザインについて解説。

では、最初のお題はどこに分類されるか?
①は症例報告かな?
②は前後比較
③は…前向きコホートでしょうか…。

症例報告の論文はとても勉強になりますし、おもしろいですが、あやしげな商品の売り込みに根拠としてつかっちゃ駄目って感じしょうか。

有効性を検討するならやっぱりランダム化比較試験だよってことで、論文へ。

まずこんなふうに読むんだよってことで、JJ CLIPの10分で読めるランダム化比較試験のワークシートを活用させていただいて、ACCORD試験を私主導で読んでみました
(青島先生、許可を頂きありがとうございます!)

Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. - PubMed - NCBI
N Engl J Med. 2008 Jun 12;358(24):2545-59. PMID;18539917

まあ、びっくり仰天した論文を選んだほうがいいかなってことでこれをピックアップ。
(しかし、これフローチャートが本文にないっていうね。あわててサプリメンタリを出して、みんなに見せるなど。)

ここで、PECO、真のアウトカム/代用のアウトカムなどを。リスク比とかNNTとか、信頼区間とか、ITT解析とか。そんな話をしましたかね。もう何を話したのか忘れつつありますが

このあたりでもう疲れてきましてね(誰が?→私が。)
大急ぎでシナリオへ。

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さて、ここでシナリオのPECOを考えて…

その日本の研究とはなんや?ってことで、見つけたのがこれ

Effect of vitamin C on common cold: randomized controlled trial. - PubMed - NCBI
Eur J Clin Nutr. 2006 Jan;60(1):9-17. PMID;16118650

これをまたワークシートをつかって読んでいこう!
ところが、適当に自分で選んでおいてアレですが、なんかややこしい論文でした。

アブストの結果は相対リスク0.34ですって!?
タイトルにいきなりRCTと書いてありますが、さてどうでしょう…?
プライマリアウトカムは??

と、ひととおり読んでみて、シナリオに戻ってどうする?
悩ましいですねぇ~。

ついてに他の研究ではどうだったのか気になるよねってことで、コクランレビューも紹介
ちなみにこれはvitamin c common coldでネット検索すれば1ページ目にあがってくる論文です。

Vitamin C for preventing and treating the common cold. - PubMed - NCBI
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jan 31;(1):CD000980. PMID;23440782

さて、このシナリオとビタミンC論文の解釈、現場への適用に関して、自分なりにいろいろお話したような気がしますが、それは秘密にしておきます(というか何を話したか忘れました)。

で、おひらき。

となると、なんだよ、もやもやして終わりかよってなりそうな不安もあり、実際、現場でどんなふうに一次情報を活用しているかっていうのをPCをつかってご紹介。
大学病院の処方で小児への適応外使用を例にあげて、小児用量を海外論文から引っ張ってきて妥当かどうか照らし合わせるのが検索で瞬殺だったよって話をしました。検索ワードも教えました。

ほかにも最近の事例をいくつか紹介し、手の届かないところにも一次情報なら手が届くっていうのを紹介して、全員疲れ果てたところで終了。おつかれーって感じでした。


いろいろと突っ込みどころがありそうですが、休日のゆる~い勉強会ですからね、こんなもんですよ。
事前にちゃんとお題論文読んでおかないといけないな、という反省はありました汗

なにはともあれ、勉強になりましたね。
説明するのって大変~。
また似たようなことをやるのであれば、もうちょっとブラッシュアップできるでしょうか。
別のメンバーを集めて、またやるのか。それとも第二回をやるのか…。
気の向くままにやるだけなので、とりあえずは終了!

音楽の話をしよう Massive Attack × Young Fathers

massiveattack.tokyo

行ってきました。

豊洲PIT

はじめての箱

こんなところにライブをやるところがあったとは…。

まずはYoung Fathersのライブ。めちゃくちゃかっこいい。
Young Fathersのことはリアルタイムでは知らなかったのですが、彼らが始動したのは2014年くらいから。これをスルーしていた自分のアンテナが完全に折れていることを自覚。

まだ観てないのですが、トレインスポッティングの続編に起用されたと聞いて、まさにトレインスポッティングの世界観にぴったりだなと。
Young Fathers大好きになりました。


そして、帝王Massive Attack
ホレスアンディも登場。もうテンション高まる。
2010年のフジロックも最高でしたが、今回もやはり彼らは裏切らない。
彼らの音はやはり唯一無二。圧倒的。

Young Fathersもふたたび登場し、Voodoo In My Blood
血液が妖しく煮えたぎっていくような…。

もう戻れないところまでつれてってくれ!て感じでした

そして、ラストは大好きなSplitting the Atom
もうね、生きてて良かったと思いました。

彼らのすばらしい音楽をぜひきいてみてほしいです
Mezzanine - Massive Attack
ホープ・サンドバル参加の「The Spoil」のMVが見れます。
なんと、ケイト・ブランシェットが出演。

そして、冒頭の東京公演のホームページで閲覧できる、Voodoo In My Bloodはここ数年でもっともインパクトがあるMVでした。
この演技…、無名の人ではないだろうなと思って調べてみたら、出演は映画『ゴーンガール』のロザムンド・パイク

さすが、Massive AttackともなるとMV出演者が豪華すぎますね。

さて…、
ライブが終わり、もう完全に抜け殻です。

そういえば、Massive Attackのライブ冒頭で、スクリーンに「なんのために生きているのか」と日本語で表示されてドキッとしました。
ここ最近ずっと考えていたことだったので心臓止まるかと思いました。

答えは…ひとつしかない。
それは質問を投げかけてきた彼らが教えてくれました。