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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

タバコにより骨折のリスクが増える?

整形外科 タバコ・喫煙

喫煙はがんや心筋梗塞COPDなどのリスクとなることは周知の事実かと思いますが、意外と知られていないリスクもあります。喫煙とあらゆる病気との関連について調べていきたいと思っています。

今回は骨折についてです。

喫煙は骨粗鬆症のリスクと言われています。
(抗エストロゲン作用と腸管でのカルシウム吸収抑制作用、尿中への排泄促進作用あり)

骨粗鬆症ガイドラインで引用された論文
Smoking and fracture risk: a meta-analysis. - PubMed - NCBI
喫煙による骨折リスクを調べたコホート研究

骨折 RR1.25(95% CI1.15-1.36)
骨粗鬆症性骨折(osteoporotic fracture) RR1.29(95% CI1.13-1.28)
股関節(大腿骨近位部)骨折(hip fracture) RR1.84(95% CI1.52-2.22)

愛煙家の方は、骨折のリスクが少し上がっても、命には関わらないだろうと思われるかもしれませんが、高齢での骨折はADLの低下をきたし、死亡率にも影響します。

Meta-analysis: excess mortality after hip fracture among older women and men. - PubMed - NCBI

50歳以上の股関節骨折(hip fracture)を対象とした前向きコホートのメタ解析

table1に骨折による死亡リスクのハザード比の記載あり

男性 女性
骨折後3ヶ月以内 RH7.95 (95%CI 6.13–10.30) RH5.75 (95%CI 4.94–6.69)
骨折後1年以内 RH3.70 (95%CI 3.31–4.14) RH2.87 (95%CI 2.52–3.27)
骨折後9年~10年 RH1.79 (95%CI 1.14–2.81) RH1.96 (95%CI 1.30–2.95)

figure2に各研究ごとのデータも記載されていますが、ほとんどの研究で死亡リスク上昇が認められています。

喫煙は骨粗しょう症による骨折のリスクとなり、高齢での骨折は生命予後を悪化させます。
自分は禁煙してから1~2年が経ちます。たまに吸いたくなることもありましたが、あらゆるデメリットを上回るメリットがあるとは思えません。吸いたくなった場合、このようなデータを思い浮かべることが自分にとっての禁煙維持の最良の方法となっています。