図1 ねこ薬剤師とトンガリ君
「トガっている」という言い回しがあります。
具体的にはどういう意味なのでしょうか。
好戦的?
協調性がない?
我を貫く?
ズケズケとものを言う?
ザッとこのような印象が浮かびますが、これが良いか悪いかはさておき、「トガっている」はどちらかというと揶揄するような悪い意味で使われることが多い印象です。
トガっている部分は鋭利なので、ときに周囲を傷つけますからね。
トガりちらしてでも周囲を”わからせる”必要がある場面もあるかもしれませんが、物事はなるべく穏便に運びたいところ。
一方で、トガり続けるというのもいばらの道です。
上記のトンガリ君の人生を観察してみましょう。
トンガリ君の顔のような、トガった部分の多い物体が人生という道を転がっていくのを想像してください。
鋭利な部分が周囲を傷つけながら転がっていくのですが、トンガリ君のトガった部分も削れていきます。川の下流に転がっている石ころってたいてい丸いですよね。トガりちらかした石ころなんてほとんどないと思います。トガっている鋭利な部分って実は脆いんですよ。トガってる石ころは、周りを傷つける攻撃性を持っていながら、鋭利な部分は自滅していくんです。そして、立派な球体になる。球体こそがもっとも完成されたカタチであり、もっともダメージを受けにくいんです。
「大御所」みたいな人って、とても強いのに人当たりは穏やかで性格は丸く見えたりしますよね(パッと連想するのは尾身茂先生とか)。「○○さんは昔は怖かったけど、年をとって丸くなった」って言われたりして…。これって、年老いたってことではなくてさまざまな苦労を経験した結果なのではないでしょうか。以前はトガっている部分もあったかもしれませんが、さまざまな経験をするうちに鋭利な部分は削ぎ落とされて、もっとも忍耐力のある球体に変化していった(丸くなった)のだと思います。
図2 人生とはこういうものである
もちろん時と場合によって鋭利に主張しなくてはいけないときもあるかもしれないので、必ずしも「トガってる」をディスってるわけではありません。トガり散らかすのはアナタ自身も消耗しますのでご注意を!ってことです。
というわけで、まとめると…
トガっている人→周囲を傷つけやすいが自分自身も傷つきやすいので打たれ脆い。
まるい人→ちょっとしたことではヘコたれない芯の強い人
(鋭利な部分を保持したまま削ぎ落とされることなく人生を突き進む圧倒的強者もいると思いますけど…汗)
以上、トガっていることに対するアホなブログ主のバカタレ考察でした!
~参考書籍~
森博嗣「今はもうない」 ノベルス版 P16
以前に比べれば、犀川はずいぶん丸くなった。「丸くなった」という日本語の定義が萌絵にはよくわからないが、自分で何度もその表現を使った。角ばった岩が転がって、角がとれるという意味なのだろうが、元来弱い部分だから取れるのであって、丸いことは、つまり強い部分が残った形だ。「人間が丸くなる」というのもそれと同じことだろうか?