pharmacist's record

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認知機能低下を予防するサプリメントは? (Ann Intern Med 2018)

今年、6月のAnn Intern Medより
軽度認知障害MCI/アルツハイマー認知症サプリメントについてのシスティマテックレビューです。

Over-the-Counter Supplement Interventions to Prevent Cognitive Decline, Mild Cognitive Impairment, and Clinical Alzheimer-Type Dementia: A Systemat... - PubMed - NCBI
Ann Intern Med. 2018 Jan 2;168(1):52-62.PMID:29255909

認知機能低下を予防するサプリメントは…、

「ない」

以上です。

ツイッターより短いブログ記事になってしまいました。


この論文の結語を直訳すると、どんなサプリメントも認知機能低下を予防するために推奨できるエビデンスはないって感じですね。
エビデンス不十分だと。

このシステマティックレビューでは、Over-the-Counter Supplementってことで、ω-3 fatty acids, soy, ginkgo biloba, B vitamins, vitamin D plus calcium, vitamin C or β-carotene, multi-ingredient supplementsなどが取り上げられていますが、強く推奨できるものはなかったようです。

まあ…、「ですよね~」という感じ。


自分は衛生用品を買うときなどにドラッグストアに行きます(生活必需品はたいてい手に入る!!あざっす!)。ただ、光の速さで目当ての商品を見つけて、レジに直行するので、薬や健康食品の売り場はまったく見てないんですよね。調剤業務だけでなく、一般品の売り上げアップのために、敵陣調査ということでいろいろチェックしておくべきなのかもしれませんが、そういう発想は自分の頭にはまったく浮かばないものです。
サプリメントや健康食品コーナーには、物忘れ防止を謳っているかのような(法的には謳ってはいけない)商品が並んでいたりするんですかね?
今後、ちょっと見てみようかな。


やたらと認知症(MCI含め)の早期発見早期発見って言いますけど、日常生活においてあまり困っていない段階で早期発見したあとどうしろというんでしょうか。進行を遅らせる介入が多々あるなら、早期発見する意義がありますが、少なくともサプリメントについてはあまり期待できないっぽいですよね…(このSRの元論文をそれぞれきちんと吟味する余地はありますが…)。


認知症は避けては通れない問題ですが、フランスでは認知症治療薬が保険対象から外れるというニュースもありましたし、これからどうなっていくんでしょうね。CureではなくCareってことなのかもしれませんが、その"ケア"が十分に行き届いているのかどうか…。フランスの判断がどうなのかわかりませんが、あのジャンルの薬剤に多大な医療費がかかっているのは間違いありません。この医療費を"ケア"にあてたほうがいいという声もあるかもしれませんね。

自分はこの領域の"前線"にはいないので適当なことは言えませんが、いろいろ考えさせられますね。フランスに続く国があるのかどうか…。今後の動向も気になるところです(サプリメントの動向はべつにどうでもいいけど…。どうせ期待できなそうですし><)。