pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

NSAIDs服用中の変形性膝関節症(膝OA)→中止→【プラセボ&CBT vs メロキシカム】

高齢者のスタチン中止のRCTがでたときに、今後は薬を中止(プラセボに切り替える)するRCTが増えてくるだろうと勝手に思っていたのですが、痛み止め(NSAIDs)の中止っていうRCTがでました。

f:id:ph_minimal:20200913182438p:plain
Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs vs Cognitive Behavioral Therapy for Arthritis Pain: A Randomized Withdrawal Trial  JAMA Intern Med. 2020;e202821. PMID:32702101

アブストのみ
(脱落人数や各群のスコアはアブストには記載がないので、群間差のみ記載)

興味深い研究に限ってフルテキストがオープンアクセスじゃないっていうね。

OAに対してNSAIDsをつづけることの長期的な有用性を裏付けるデータがない一方で、有害事象のリスクが気になる…。じゃあ、薬を中止しても大丈夫かっていう研究ですね。
こういう研究、好きです。

試験参加者が服用しているNSAIDsを中断し、プラセボかメロキシカムに切り替え。
プラセボ群は4週経過後に認知行動療法CBTを開始して10週間継続。
合計14週ですね。

結果はというとプラセボ&CBTの非劣性は示されず。

なんだかんだNSAIDs(メロキシカム)はプラセボよりは痛みは軽減するってことです。
ただ、その差は小さいので、薬の中断も視野にってことでしょうか。

しかし、膝が痛いっていうのはほんと困る。そのわずかな差でも患者さんにとっては有意義なのかも。
NSAIDsのベネフィットとリスクのバランスを考えるのは悩ましい問題ですね。