pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

大建中湯の術後イレウス予防効果は?(コクランレビュー2018)

なんか社内勉強会らしきものをやったりしてるみたいなんですが、今度、漢方をテーマにやるらしいんですよね。

MRさんとか呼ばずに自分たちでやっちゃいたいので、やべー勉強しなきゃって感じなんですが!漢方わけわからん。

 

メーカーさん呼んだら、漢方サイコー!て話になるんでしょうけどね。

 

やっぱエビデンスベースでやりたいところ。

 

個人的には漢方で鉄壁のエビデンスといえば、術後患者さんに対する大建中湯なんですが、調べてみると…

 

あら!?コクランレビューが最近発表されてるじゃないですか!

 

Daikenchuto for reducing postoperative ileus in patients undergoing elective abdominal surgery.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29619778

Cochrane Database Syst Rev. 2018 Apr 5;4:CD012271.

 

言語制限なしで、さまざまなデータベースを用いて文献探索

UMIN Clinical Trials Registry (UMIN-CTR), ClinicalTrials.govあたりもチェックしており、未公表の研究もチェックしている模様。

 

選定基準;RCTのみ

 

<結果>

7RCT、計1202

そのうち4つはバイアスリスクが低く、3つは高い

 

<術後、最初の放屁flatusまでの時間

平均11時間短縮(2試験、症例数83名、エビデンスの質はvery  low

mean difference (MD) -11.32 hours, 95% confidence interval (CI) -17.45 to -5.19; two RCTs, 83 participants; very low-quality evidence

 

<術後、最初の排便までの時間

9時間短縮の傾向だが有意差なし(4試験、症例数500名、エビデンスの質はvery  low

(MD -9.44 hours, 95% CI -22.22 to 3.35; four RCTs, 500 participants; very low-quality evidence)

 

<術後、通常の固形食再開までの時間>

有意差なく、ほとんど差はない。

MD 3.64 hours, 95% CI -24.45 to 31.74; two RCTs, 258 participants; low-quality evidence

 

<薬剤関連有害事象>

有意差なし リスク差ゼロ(有害事象を報告している5つの試験より)

risk difference (RD) 0.00, 95% CI -0.02 to 0.02, 568 participants, low-quality evidence

 

<患者満足度>

不明。MDはほぼゼロ

patient satisfaction (MD 0.09, 95% CI -0.19 to 0.37; one RCT, 81 participants; very low-quality of evidence

 

<退院するまでの術後イレウスに対する再介入>

リスク比0.99 

(risk ratio (RR) 0.99, 95% CI 0.06 to 15.62; one RCT, 207 participants; moderate-quality evidence),

 

 

なるほど…。

たしかに腸を動かすみたいですね。術後の放屁や排便は早まるのかな…?

エビデンスの質は低いみたいですが…。

 

イレウス予防の効果はわかりませんね。発生率自体が低いんでしょうね。信頼区間の幅がめちゃ広い。

 

さて、これは長期服用する意義はどうなんでしょうね…。

 

あ、お昼休み終わる…orz

よってブログから離脱!!

 

急いで書いたので翻訳ミスがあったらご指摘お願い致しますm(__)m

 

 

追記

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29061775/

こんなのも出てるみたいですー

こちらはイレウスの予防を示唆する結果みたいですね

 

追記②

なんと、今回紹介したコクランレビューが論文取り下げとなっていました。

Daikenchuto for reducing postoperative ileus in patients undergoing elective abdominal surgery

PMID32212387

利益相反に関する理由だそうです。一応、ブログ記事は削除せずに残しておきますm(_)m

#ラストソング でつぶやいて ~音楽を必要としている人に音楽は届いているのか~

先日、SNSでおもしろい流れが。


#ラストソングとハッシュタグをつけて、ぞくぞくとみなさんのラストソングがツイートされました。
あー!その曲、自分も大好きー!ていうのもありましたね。

実は以前このブログに書いたことがありました
ph-minimal.hatenablog.com
なんと、マイナーなクラブシーンからこんな企画があったんですね。ラストソングをコンパイルしたCDがつくられていたなんて!
やはり考えることがエッジきいてますねぇ(←この表現自体が古臭い件。自分は最先端から程遠いニンゲンだということが判明)


さて、ここでSNSでやりとりしたことをメモ代わりに書いておきます。

自分の疑問というか質問

「高齢になると音楽を積極的に聴く人が少ない気がする」

これは親を見ていても思います。自分が子供のころは、好きな音楽を積極的に聴いていた気がする(車の中で、とか)。
最近は実家に帰ってもまったくそんなそぶりはないですね。
興味を失っていくのでしょうか。

そんななか、NMEからこんなものが…
"This is the age when you stop discovering new music"
www.nme.com

海外のストリーミイングサイト「Deezer」の調査です。
新しい音楽を積極的に求めなくなることを"musical paralysis"(音楽的麻痺)と称して、それが何歳くらいになったら発症(?)するかを調査しています。

"musical paralysis"という現象が起こりうるのは、30歳6ヶ月から。
理由はさまざまで「子供ができた」とか「新しく出てくる大量の音楽についていけない」などさまざま。

個人的には外部環境の変化という影響が大きいような気もしますが、どうなんでしょうね~。
結婚したらおこずかい制度により、音楽を購入するとか、ライブ行くとかありえないよ!とかいう話を聞いたことがあるとかないとか。

そして、この調査ではなんと60%の人たちが、すでに知っているアーティストの音楽しか聴かないと。
なるほど、これはちょっとわかる。すでに知っているアーティストが新しいのを出したら聴くという感じでしょうか。

自分が最後に聴いた、新しいアーティスト(かつ、大好きになったやつ)って誰だろう。
Young Fathersかな。
音楽の話をしよう Massive Attack × Young Fathers - pharmacist's record

四つ打ちは新しいものをどんどん好きになりますが、バンド系っていうと、既存のやつばかり聴いてるかも。
新しいバンドはまったく知らないけど、好きなのはギリ追えてるって感じ。

さて、このNMEの記事ですが、最後の締めくくりがイイですね。

「musical paralysisを防ぐため、NMEを読んで新しい音楽をチェックして!」

素敵なオチでした。



さて、話を戻しますが、自分の疑問「高齢になると音楽を積極的に聴く人が少ない気がする」について。

これにはいくつか反応を頂きました。
・積極的には聴こうとしないけど、いろいろ音楽を流すと懐かしいなぁなどと反応あり
・新しい曲でも音楽のリズムを楽しんでくれたりする
・ただ、機械の操作が面倒?
・音楽の媒体の変化についていけない?(昔はラジオ、レコード、テレビとか? 今は、ネットでのストリーミングなど)

技術的な問題で遠ざかっているだけで、いろいろ聴いてみたいという需要があるなら提供したいですよねぇ。

介護施設を訪問したりすると、「楽しみなことがなにもない」とかおっしゃる方もいらっしゃいます。
音楽を楽しめればいいんじゃないかなぁと思うのですが、これは人それぞれでしょうね。
先日、「音楽聴いたりしないんですか?」とたずねてみたら、興味なかったみたいで…。なにかリクエストの曲でもあれば、スマホでストリーミングとかね、一緒に1曲くらい聴いてから帰るってのもいいなと思ったんですが(そんな時間ないだろって話ですが、最近午後入りの日をつかって行くので自分の出発時間次第ですから余裕なのです)。

認知症の方に対する音楽療法も興味があります。
「音楽は忘れない」のでしょうか?
個人的には音楽療法士の佐藤由美子さんの動画(※)がけっこう衝撃的だったのですが。。。
音楽には反応を見せるっていうね。すごいな、と思いました。

その一方で、
(脳のしくみについてまったくの無知なので適当なことは言えないのですが)
GlobeのKeikoさんはSAH(くも膜下出血)の後遺症として高度脳機能障害で療養中ですが、小室さんが「音楽に対する興味は減っていった」とおっしゃっていましたよね。
このあたり本当に興味を失ってしまったのか、「ピッチャーが腕を故障したからもう野球はできない→興味はない」というように、昔のように歌えないから意識的に遠ざけてしまうのか(涙)。。。そのあたりはわかりませんが、脳の障害となると、「必ずしも音楽だけはずっと…」というわけにはいかないのかもしれないという気もしました。脳のどのあたりがやられるかによってかわってくるんでしょうね。

本当に興味がないのであれば無理に音楽を聴かせる必要はないでしょうけど、前述のとおり、興味は残ってるけど、入手方法や機械の操作が問題となって遠ざかっているだけなのであれば、まわりから提供するのはアリだなと思いました。


www.kango-roo.com
www.youtube.com

薬の飲み合わせ第6回「肩凝りで整形外科を受診した患者さん」 地域医療ジャーナル2018年6月号 vol.4 「釣り合うこと 」

cmj.publishers.fm

地域医療ジャーナル6月号です!
あいかわらずイントロがかっこいい!!

自分はひきつづき飲み合わせシリーズ。
今回はとても有名なやつなので、仮想症例の内容を見たら一目でわかるでしょう。
薬剤師ならタイトルを見ただけで、「ああ、それな」てなるかも汗。

とてつもなく血中濃度が跳ね上がる相互作用なので一般の方々にはインパクト大なのではないかと思って取り上げました。


今回も興味深い記事が多いのですが、「おっ!」と興味を引いたのがこちら

cmj.publishers.fm

ハンモックに揺られる気だるげなモデルさんの画像に釘付けになってしまいました。自分もハンモックに揺られて昼寝したい!

それはさておき睡眠薬抗不安薬の話です。
実は自分も以前、似たテーマで記事を書いたなぁ…と遠い目をして過去の記憶を辿ったわけですが、この記事の中で私の過去記事も紹介してくださっておりました。ありがとうございます!

どうやら、ベンゾジアゼピン睡眠薬・安定剤)の減薬に関する新しいレビューが出たみたいですね。
あの有名なコクランレビューです!

その詳細は、地域医療ジャーナル本編でお楽しみください~~