pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

セルフ餌付けスケジュール

「未来が明るくて金に困っていなくて孤独じゃない社会」

…は、自殺のリスクが低いかもね、というようなお話を聞いて、なるほどなぁと。
すみません、その根拠があるのかは調べてませんが、まあ、一般論として、そういう傾向にはありそうな気がします。

未来が明るい→薬局業界は…以下略
$→とりあえず今は困っていない
孤独じゃない→……。(これは難しいな)

という感じでしょうか。

孤独じゃない状態っていうのがどういう状態なのか…、そもそも孤独しか知らない人は自分が孤独だとは自覚しないでしょうね。
孤独じゃない状態を知っているor頭に思い浮かべることができる人だけが孤独だと感じることができるのでしょう。

あ、なんか脱線しかけている気がしますので、元に戻しますと、まあいわゆる「寂しいなと思うことが少ない人たち」は孤独じゃないって感じなんですかね。
必ずしも一人でいることが多いからといって孤独だとは限らないのかも?
家庭を築いた方でも孤独だと感じているかもしれませんし。
このあたりは人それぞれですが、孤独じゃない状態を求めて、でも辿りつけずに落ちていく…というのはあるかもしれませんね。

まあ、難しい話は置いといて、
とりあえず、辛いけど、金には困ってないし…、ひたすら現状維持という人は多いかもしれませんね。
未来は暗いし、孤独だし…でもとりあえず生活していけるお金はあって…。
そして、ひたすら働くのみ。。

さてつぎにどのような問題が待っているかというと、

働くことが辛くてたまらない(全人類そうだろ!というツッコミは無しで)

みんなわかっているんですよ。生活していくためにある程度の金は必要なので、辛いから、辞めよう。とはなりません。じゃあ、お金どうする?ってなる。

ここで崩れていく人はそこそこ多いかも。辞めたあとどうする?って。
もちろん、行き着くところまで崩れ落ちた人は、辞めたあとのことなんて考えられなくて、今がどうしようもなく辛いからもう…となってしまうんだと思いますが。

さて、こうして追い詰められて徐々に徐々に蝕まれて…。そのような予備軍のような方がたくさんいらっしゃるのではないかという気もしてきます。

生活上、少しでも何か工夫できることはないのでしょうか。

エビデンスベースでないことばかりではあれなので、適当に文献を探ると、こんなものが。
Positive and negative life events and reasons for living modulate suicidal ideation in a sample of patients with history of suicide attempts. - PubMed - NCBI
J Psychiatr Res. 2017 May;88:64-71.PMID:28088052
P:自殺未遂の既往あり 338名
E/C:各種ライフイベント
O:suicidal ideation

アウトカムと負の相関があったライフイベントは、
family-related positive life eventのみ

正の相関(つまりリスク増)があったのは、健康関連のnegative life events

意外ですねぇ。仕事関連の出来事はそこまで影響が強くないんでしょうか…
負の相関があった唯一のイベントはfamily-related positive life eventですか…、一人暮らしの私はどうしたら…。まあ、そうは言っても家庭で揉めるというケースもあるでしょうから一概には言えないですけどね。

後ろ向きの解析であり一般化も難しいとアブストに記載されている通り、あくまで参考程度にとどめておきたいと思います。

個人的にはmusic-related positive events(この言い回しが正しいかどうかは知らん)についても調べて欲しい!


Life events and suicidal ideation and behavior: a systematic review. - PubMed - NCBI
Clin Psychol Rev. 2014 Apr;34(3):181-92.PMID:24534642
こちらはシステマティックレビューですが、アブストには詳しいことはなにも書かれていません。自殺念慮/自殺行動とnegative life eventsとの関連は一貫している模様。一方、positive eventsとの間に逆相関があるかというと、根拠が不足しているっぽいことが書かれています…。


暗い話になって参りましたが、個人的な話をしましょう。

自分は今月どうしても行きたいライブがあるので、そこだけに焦点を当てています。ああ、今日クッソ疲れたマジさいあく〜ってなっても前売チケットを眺めてニヤつく日々(←ただのヤベぇやつ)
もちろん、そのあとの自分の心のマネジメントとして、2月にも某ライブを予定しています。
綱渡りのように、ところどころに自分に餌を与えて進んでいくしかないのです。
自分に対するご褒美を定期的に設置していくこのやり方を「セルフ餌付けスケジュール」と名付け、これを実行することをオススメします。ゲームが好きなら、ゲーム発売日でいいですし、映画なら映画公開日、溺愛するお子さんのイベントでもいいでしょう。

嫌なことからは逃げられないので相殺するしかないですよね。
というわけで音楽関係のオーガナイザーの皆様、頑張ってください!!

※注意
楽しかったことすらもう楽しく感じない、など、普通ではない落ち方の場合には受診なさることを強くオススメします。

うつ病の症状については参考までに
ph-minimal.hatenablog.com

「インフルエンザワクチンは打つべきですか? 」 地域医療ジャーナル2017年11月号 vol.3

cmj.publishers.fm

今回はインフルエンザワクチンについて取り上げました。
おそらく、過去最大のボリュームになってしまっているので、お時間のあるときにでもお読み頂けたらと思います。

ちなみに、わたくし、先週接種しました。
ちょっと早いかな?と思いましたが、ちょうど時間があったので。

注射がとてもお上手な先生なので、あまり痛くなかったですね。ゆっくり注入してくれるから痛みが軽いんですかねぇ。おかげさまで、号泣せずにすみました。

注射後の局所の圧痛は多少気になりますが、しょうがないですね。これも巡り巡って患者さんを守ることになると期待して我慢します!


さて、地域医療ジャーナル編集後記でご紹介がありましたが、新たに看護師の記者さんが参加なさるとのこと。
看護師さんの視点は、薬剤師とはまた違った角度での論考となると思いますので、とても楽しみにしています。


地域医療ジャーナルをご存じない方はこちらをご覧ください。
薬で音感が狂うことがありますか? 地域医療ジャーナル 2016年12月号 vol.2(12) - pharmacist's record
気になる記事がたくさんあるかと思いますので、ご興味があれば是非読者登録をお願いいたします。

髪の毛の色を黒く染めたら真面目になりますか?

大阪の高校で、生まれつき茶髪なのに黒染めを強要された女子生徒が訴訟を起こしたそうです。

私は倫理観そのものが欠落しているので、教育とは、なんてことを論じるつもりはないのですが、生まれつきなのに黒染めを強要した教師はなんのためにそんなことをしたんでしょうか。黒く染めることでどんな良いことがあると考えたんでしょうね。

"生まれつき"という点は置いといて、茶髪に染めた子に対して髪の毛の色を元に戻せっていう教育的指導について考えて見ましょう。

P:茶髪に染めた子
E:教師が黒染めを強要し、黒髪へ。
C:放置
O:???

アウトカムがパッと浮かびませんが…
学習態度が改善するか、真面目になるか(真面目ってなんなのかがそもそもわかりませんが)、とかですかね。
このあたりは教育側の方々が自由に決めていただいていいでしょう。

今までこのような介入を教育側が繰り返してきたのでしょうけど、その介入の効果はきちんと検討できているのでしょうか?そして、その効果は"誰が"評価してきたのでしょう?

なーんてことを考えてしまうわけですね。なにもかもEBMっぽく考えてしまう病です。

でも、これは大事なことですよ。
無駄な介入をしている可能性がありますからね。

まあ、個人的な感覚からしたら、こんな介入無意味だろって思います。
めちゃくちゃ不真面目な子は茶髪に染めているという相関関係はあるかもしれませんが、それを無理やり黒染めさせることでその子が真面目になるだろうっていうのはちょっと無理があるのではないかと思います。

オジサンたちが若い子が茶髪に染めるなんてけしからんっていう気持ちもわからなくはないですけどね…。
自分も学生のころから、茶髪に染めることの意義はまったく理解できていなかったので、なんで染めるんだろう…と口をポカーンと空けて茶色く染まった同級生の頭を眺めていました。

もしかして…、
染めたらモテるというエビデンスあるの!?(←そんなものはない)

いや、有害事象の検討も大事です!
父親の髪の毛が自然消失していくという減少を目の当たりにしている自分としては、髪染め!?頭皮へのダメージ!ダメ、ぜったい!!!と断固拒否でしたね。若いころに髪の毛で遊んでいた方の将来の髪の毛の量の相関を検討したエビデンスもプリーズ!!(←そんなものはない…と思う…。あったら教えて!)


そろそろ突っ込みが入りそうですね。
髪の毛の色そのものを問題視しているわけではない!校則を守れないということを問題視しているのだ!!!
と。

ふーむ。なるほどぉ。
そういう視点はあるかもしれないですね。
社会にでたら、どうでもいいルールがたくさんありますから、その予行練習ってことですかねぇ。

でも学生さんはバカではありません。
そんなことわかっとるわ!10代の楽しい時期だけは自由にさせてくれ!!!
と。

うーむ(←考えているフリ)。
校則を守ることの重要性は自分にはよくわかりません(←考えることを放棄した一例)。


ただ、校則を守るということで考えると…
おそらく髪の毛を染めてはいけませんっていう校則ですよね、だったら、生まれつき茶髪の子は対象外では??
その学校、どんな校則だったんでしょう…。黒髪じゃないとダメって校則なんですか?(なにそのヤバい校則!?)
校則的に、生まれつき黒髪じゃない子は黒染めしないと入れないような学校なら行かなくいいって思っちゃいますけど。

ちなみに、髪の毛を染めてはいけないっていう校則なら、白髪が混じってきた先生方も黒染めは不可になるのかな?美的観点から白髪の混じった教師が黒染めするのはアリってなったら、生徒から、ウチらも美的観点から染めてるの!って言われたら言い返せないと思いますけど。

髪の毛の色なんかでモメてないで、学校という舞台ではもっと大事なことがたくさんありそうですけどね(しらんけど)。


さきほどのPECOに戻りますが、
髪の毛を染めてはいけないとされながらも髪の毛を染めた子に対して、どんな介入が有効なのかをきちんと考えることは大事でしょう(そもそも有効って何?って感じではありますが)。必ずしもなにもかも放置でいいってわけではないと思います。

髪の毛を染めるという行為の裏にどんな心理が隠れているのかってことですね。
めちゃくちゃ真面目だった子が一転して、茶髪になったら、「ど、どうした!?」てオトナたちは気にしますよ、やっぱり。
その裏をきちんと探って、悪い方向へ向かおうとしているなら、教育者の力の見せ所でしょう。正しい道へ促してあげて欲しいです(簡単ではないでしょうけど)。なんだその髪の色は!って叱って強制的に黒髪に戻させるなんていう行為は教育ではありません。なぜそんなことをしたのかと優しく気にかけてくれたら、いい先生ですよねぇ。おせっかいだと生徒から嫌がられるでしょうけど汗。

教育なんてまったくわからないのに適当なことを書いたら教育に携わる方々から怒られてしまいそうですね。現役時代にも怒られていたというのに…
ちなみに思い返してみると、自分が怒られる理由は「やる気がない」でしたね(←いまも継続中。まるで成長していない…)。教師としては憎たらしい生徒だったことでしょう。担任の先生から顔をバーンってされましたしね。平手打ちではなく角ばった手の甲のほうで笑
で、その行為がどんな結果を生んだかというと、なにも変化はありませんでした。反省したかっていうと、そんなことはいっさいなかったですね。かといって、今となって恨んでいるかっていうとまったくそんなことはなく、まあ手も出してしまうくらい憎たらしかっただろうなぁって感じです。


私のように教育的指導が無になってしまう覇気のない人間もいますが、ひとつひとつの教育的指導が本当に良い結果を生んでいるのかきちんと評価することは大事だと思います。なんとなく指導により生徒が更生したと一方的に捉えてしまっていてはだめですよね。ただ単に生徒が見かけ上更生したように見えるようになっただけかもしれません。つまり上手に演じている…ハッ、それはそれで社会を上手に生き抜く術を学んだということに!

教育とはなんなのか…まったくわからずじまいですが、今日はこのあたりで締めます(締まってないけど)。