pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

ACEi/ARB投与により30%以上クレアチニンが上昇すると・・・

抄読会に参加(拝聴)しました。

zuratomo4.hatenablog.com

Serum creatinine elevation after renin-angiotensin system blockade and long term cardiorenal risks: cohort study. - PubMed - NCBI

気になっていたあの論文です。
みなさん、ブログのタイトルを見て、ピンときたことでしょう。

まず、PECO
P:Patients starting treatment with angiotensin converting enzyme inhibitors or angiotensin receptor blockers (n=122 363).
E:creatinine increases of 30% or more after starting treatment
C:without such increases
O:first time diagnoses of end stage renal disease, myocardial infarction, and heart failure, as well as all cause mortality.

プライマリケアのデータベース

アウトカムはICD10を元にしている
(日本のように○○薬を処方したいがために保険病名いれるみたいなことがイギリスで頻繁に行われているかどうか不明)

交絡因子の調整
Adjusted for age, sex, comorbidities (diabetes mellitus, myocardial infarction, heart failure, hypertension, arrhythmia, peripheral arterial disease, and chronic kidney disease stage), co-medications (β blockers, calcium channel blockers, thiazides, loop diuretics, potassium sparing diuretics, and non-steroidal anti-inflammatory drugs), lifestyle factors (smoking status, alcohol intake, and body mass index), socioeconomic status, calendar period, and time since first prescription.

結果は、原著を。
http://www.bmj.com/highwire/markup/940107/expansion?width=1000&height=500&iframe=true&postprocessors=highwire_figures%2Chighwire_math

まあ、びっくりといえばびっくりですが、どうなんでしょうね。

たとえば、
クレアチニンが30%以上増加した患者をピックアップし、
ACEi/ARBをそのまま継続した人と、
ACEi/ARBを中断した人を比較して、
死亡やESRDが増加したら、うわっ!やっぱ30%以上増加したらRASiを止めなきゃ駄目じゃん!という知見が得られるのですが、この論文はそういう示唆ではないですよね。

予後が悪そうな人が、ACEi/ARBクレアチニンが上昇しやすいのか、
ACEi/ARBクレアチニンが大幅に上昇すると予後が悪くなるのか、
自分にはどちらが正しいのかわかりません。
この論文ではこの決着は出ないのではという気がしますがどうでしょう?


さて、ここからは経験と知識が不足している私のたわごとですので、鵜呑みにはしないようお願いします。

ふと思い浮かんだのが、
心不全に対するβブロッカーです
以前は禁忌ではないかとされていましたが、現在では心臓の負担を和らげて、予後が良くなるとされていると思います。でもやはり徐脈になったら減量してある程度の脈は保ちますよね。
徐脈になったらβブロッカーをばっさり切るかというと、そういうわけではなく、減量で対応ではないかと。

ACEi/ARBクレアチニン上昇は、徐脈みたいなものではないかと(極端すぎ? さすがに専門の方から怒られちゃいますかね)
糸球体内圧を下げることで糸球体ろ過率が低下。すなわち、糸球体への過剰な負担をおさえることで、腎機能を保護し、長期的な腎機能低下を予防する。ということだと認識しています。
糸球体内圧が下がりすぎたら、ちょっとやりすぎってことで、悪影響かもしれない? じゃあ30%以上クレアチニンが増加したら、ACEi/ARBはばっさり切るのではなく、減量というのも選択肢として考慮すべきではないかなと。

いや、わかりませんよ。減量すら不要なのかもしれません。

私の理解の範疇を超えています。


まず、
「投与前後のクレアチニンのモニターは大事」
これはまあ異論はないですよね。

この論文を踏まえて、
クレアチニンが30%以上増加したら、投与ストップ!」
これはちょっと微妙ですよねぇ。安易に一律に決めてしまっては駄目なんだろうなぁ。
もちろんベースラインのクレアチニンがどの程度かというのも大事だと思いますが…。

Use of angiotensin-converting enzyme inhibitors in patients with heart failure and renal insufficiency: how concerned should we be by the rise in s... - PubMed - NCBI
ちょっと古いですが、こういう論文もあります
30%以上、上回らないなら投与中止しないことを推奨。

30%をカットオフ値として、本当に中断していいのかどうか悩ましい問題ですね。

今日はここまでとさせていただきますが、もう少し詳しく調べてみたいと思います。

いやぁ、腎臓のスペシャリストの先生方にみっちり教えていただきたいところですね!
腎臓は難しいッ!

過敏性腸症候群の新薬は有効ですか? 地域医療ジャーナル 2017年4月号 vol.3

地域医療ジャーナル4月号が出ました!

cmj.publishers.fm

私は過敏性腸症候群(IBS)についてとりあげました。…が、内容を詰め込みすぎてパンクしてしまい、記事を2つに分けさせていただきました(汗)

IBS関連の薬をいくつかレビューしてみたのですが、いい訓練になりました。私にとっては何度も投げ出したくなるくらい大変だったのですが、執筆のお仕事をしている医師薬剤師の方々はこういったレビューをサラッと書き上げてしまうのでしょうね。
今回のように類似薬をまとめてレビューするのはトレーニングとしてなかなか良いなぁと思った次第ですので、機会があればまたやってみたいと思っています。


それはさておき、今月号のタイトルは、「変質しつづける学びのカタチ 」です。

ふむ。
学び方は変わってきているのでしょうか。

そもそも私は大学を出てから、ひゃっほーいと遊び呆けてしまい、「学び」から完全に脱落した経緯がありますので、学び方そのものを忘れてしまっておりました。

今はどうでしょう。このようなブログを開設し、まさか自分から発信することになるなんて思ってもいませんでしたが、学んでいるという感覚はあまりないですね。
学びたいという気持ちも皆無です。
“研修”と聞くと、うわぁ~嫌だなぁ…と思いますし、“勉強会”と聞くと、うへぇ、はやく帰りたい!って思います。

これは紛れもない本心です。

じゃあ、なんで文献漁ったり外部研修に参加したりするようになったのか…?

それは簡単です。

知りたい

この一言に尽きます。
この欲求が、めんどくさいとか勉強は嫌だとか、そういう負の気持ちを吹っ飛ばす勢いがあるから論文を読み続けているのでしょう(というほどあまり読めてはいませんが汗)。

知りたいという気持ちがなくなったら、いっさい論文を読むのをやめるでしょうね。知的欲求がすべてです。

みなさんはどうでしょう?まったく違いますかね?

もちろん患者さんのために調べ物をすることもありますが、それだけでは自分の行動に説明がつかないですね。患者さんのために、だけではなく、一番深い根っこのところに探究心というか、そういったシンプルな欲求があるんじゃないかなぁと思うのですが…。


まあ、今後も好きなように好きなことを調べて、気が向いたらブログにアップしていこうと思います。

そして時間に余裕があればもっと遊びたいし、もっと眠りたいし、もっと遊びたいですね!
いや~、時間がいくらあっても足りないですね!

不眠症と2型糖尿病の関連

なんか見た!という感じのタイトルですが、20年フォローのコホート研究が発表されているみたいなので取り上げてみます。

Insomnia symptoms as a cause of type 2 diabetes Incidence: a 20 year cohort study. - PubMed - NCBI
BMC Psychiatry. 2017 Mar 16;17(1):94.

不眠症症状の累積暴露と2型糖尿病発生に因果関係があるかどうか評価した研究です。

ベースライン時に糖尿病のない方を対象にした20年フォローのコホート研究。
人数は1000名程度。
アウトカムの糖尿用発生は血液検査、(HbA1c ≥ 6.5% or 48 mmol/mol)と定義

調整した交絡因子は、喫煙、食事、肥満、飲酒、職業などなど。


結果は、OR1.34 (95% CI: 1.06-1.70)

あれ!やっぱ関係あるの!?と思ったら、未調整のオッズでした。

交絡を紐解いていくと、
OR1.08 (95% CI: 0.85-1.37)

結局、不眠症は糖尿病のリスクとなるという説は交絡によるものなんでしょうか…?

そうなると糖尿病を予防するために睡眠薬を、というのはますます許容しがたくなります。


このテーマに関して、他の文献も調べたわけではないのでなんともいえませんが、因果関係があるという観察研究もあるんですかね?もし、因果関係あり、とする観察研究が発表されているのであれば、交絡はどこまで補正されているのでしょうか。


観察研究の結果を見る上では、交絡という問題はつねに頭の片隅にいれておかないといけないですね。
ありとあらゆる交絡がありそうで、因果関係を暴くのは難しいような気がします。

うーん、観察研究の評価って本当に難しいですね。
という今日この頃。