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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

ビールで太る?(ゲリラ抄読会に飛び入り参加!)

本日、午前は外回りのみ。ってことで、昼休みにのんびりとカップうどんを食べて、ボーッとしていたところ突如ゲリラ抄読会の開催を知り、拝聴させていただきました。


twitcasting.tv

「お昼休みにサラッと論文を読む」ですと!?
うどんを食べてボーッとしていた自分としては、ハッとする思いでした。

テーマは「ビールで太るのか!?」
これは酒飲みの方、全員にとって重要なCQではないでしょうか。

まずは論文を検索するところから

最近、自分はあまり使ってないのですが、PubMed Clinical Queriesで文献検索です

ビールを控えれば痩せられるのでしょうか?

「beer drinking obesity」で論文検索

とりあげた論文はこちら

Substitution Models of Water for Other Beverages, and the Incidence of Obesity and Weight Gain in the SUN Cohort. - PubMed - NCBI
Nutrients. 2016 Oct 31;8(11). pii: E688.
P:ベースラインで肥満のない成人
E/C:水と各種飲料を比較(アンケートで確認)
O:new-onset obesity 新規肥満発症
フォローアップ:4年間


募集したのは21686名

以下を除外
極端に摂取カロリーが少ない人、多い人は除外(2046名)
妊婦260名
がん、糖尿病、心疾患1096名
データ欠損513名
フォローアップアンケートに答えず、1706名
ベースライン時の肥満300名

最終解析:15765名

調整因子
multiple-adjusted model adjusted for the following potential confounders: sex, age, age squared, baseline BMI (kg/m2), physical activity (MET-h/week), smoking habit (never smoker, current smoker, former smoker), personal and family history of obesity, following a special diet, adherence to the Mediterranean dietary pattern, snacking between meals, weight change during the five years prior to baseline, and total energy intake from other sources than the exchanged beverages.
いろいろ調整されてますねー。


17種類の飲料をアンケート
The FFQ contained 17 beverage items (whole milk, reduced-fat milk, skim milk, milk shake, red wine, other kind of wine, beer, spirits, sugar-sweetened soda beverages (SSSBs), diet soda beverages, regular coffee, decaffeinated coffee, fresh orange juice, fresh non-orange fruit juice, bottled juice (any kind of fruit), tap water and bottled water).
ビール以外にもさまざまな飲料の摂取についてアンケートをとったようです。


Table1から患者背景をみてみると、
男女比はやや女性が多い
平均年齢は30代くらいでしょうか
BMIは23
Alcohol intake (g/day)4.5~5くらい(参考、ビール500mlでアルコール20gくらいでしょうか)


<結果>
肥満新規発症のORは?
PubMed Central, Table 2: Nutrients. 2016 Nov; 8(11): 688. Published online 2016 Oct 31. doi: 10.3390/nu8110688
ビールとソーダ類が有意差ついてて、水への切り替えでOR0.8くらい

体重変化は?
PubMed Central, Table 3: Nutrients. 2016 Nov; 8(11): 688. Published online 2016 Oct 31. doi: 10.3390/nu8110688
どれも有意差はついてないっぽいですが、
ビールから水への切り替えで0.33kgくらい減量
ソーダは0.2kgくらい減量

※詳細は原著をご確認ください。

なぜかミルクシェーキから水への切り替えでOR1.3と新規肥満増加の傾向(有意差無し)なのに、体重変化だと水への切り替えで0.4kg減量…。どっちも有意差はついてないのですが、逆転するんですかねぇ。水と比べてミルクシェーキのほうが体重は全体的に増える傾向だけど、肥満発症は減るかもってこと?
信頼区間の幅が広く、有意差はついてないから、逆転と判断するのもおかしいのかもしれませんが、なんかよくわかりませんね。

いろんな飲み物を調査してるので、"たまたま"ビールとソーダで肥満発症の有意差がついただけという可能性もあるかもしれませんね。
いろいろ調べればなにかしら有意差はつくかもなぁって気もします。


で、この各種飲料から水への切り替えの「量」がポイントかと思いますが、
1 serving/dayの切り替えとのこと。

1 servingの定義は
Serving size differed between beverages: coffee = 50 mL, wine = 100 mL, beer = 330 mL, spirits = 50 mL and, for the remaining beverages, a serving was equivalent to 200 mL.

なるほど
ビールだと350の缶よりやや少ない程度でしょうか。
摂取量に比例して体重変化も大きくなるかどうかは不明ですが、ビール350ml1本程度なら、4年で0.3kgくらいって感じですかね。

自分はビール派ではなくチューハイ派なので、チューハイのデータが欲しいですが、そのデータはないですね。
まあ、チューハイもビールと同じくらいの変化だと仮定すると、
体重を気にしてアルコール控えようとするには、自分にとってはこのデータはさほど破壊力はないかな。。。
その程度の差なら飲んじゃいますよね。


脱線しますけど、昔、テレビとか見てたころ(地デジじゃなかった頃)、バラエティ番組とかで、水着写真集出してるようなアイドルが体重は秘密です♪とか話してるのを見ると、はぁ???って思ってました。

ダイエット的なことを取り扱う場合、
真のアウトカムは「見た目」ですよね。
体重なんて、代用のアウトカムだと思うわけですよ。

がっつり自分の身体を見せ付ける商品を販売してんだから、真のアウトカムははっきり晒してんのに、代用のアウトカムは明かせませんとか完全に逆転してませんかね。ま、どうでもいいですけど。

女性ならスリーサイズとか、男ならウエストのほうが真のアウトカムに近い代用のアウトカムだと思うので、個人的には減量を扱う試験は、体重をアウトカムとするのではなく、ウエストをアウトカムにしてほしいですね。勝手な個人の意見ですけど。


というわけで、減量中の自分ですが、体重はまったく測ってません。こんなの代用のアウトカムですからね
真のアウトカムである自分の体系を鏡で見て、「おかしいな、こんなはずではないのだが…。あっというまに身体が締まっていくはずなのだが…」と首をかしげる毎日です。

ブログなんて書いてる場合じゃないですね。
腹筋しなくては!!!!


(すみません、ダーッと書いたので、論文の読み間違い・解釈間違いなどあればご指摘ください。)

人工甘味料は脳卒中/認知症リスク?

みなさん、人工甘味料を意識して摂取していたりするのでしょうか?

人工甘味料ならカロリーを気にせずに甘いもの飲み放題(味は別として)!
身体にも良い!
だなんて、そんな都合のいいことがあるんだろうか…と思っていた矢先、こんな論文が発表されたようです。

Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia | Stroke
研究デザイン:A Prospective Cohort Study(community-based Framingham Heart Study Offspring cohort)
P:2888 participants aged >45 years for incident stroke (mean age 62 [SD, 9] years; 45% men) and 1484 participants aged >60 years for incident dementia (mean age 69 [SD, 6] years; 46% men).
E/C:人工甘味料の摂取量
O:認知症脳卒中
(アウトカムごとにそれぞれ2つのコホートを10年サーベイ


調整因子
Model 1 is reported in the online-only Data Supplement.
Model 2 adjusts for age, sex, total caloric intake, the dietary guidelines adherence index, self-reported physical activity, and smoking status.
Model 3 adjusts for age, sex, total caloric intake, systolic blood pressure, treatment of hypertension, prevalent cardiovascular disease, atrial fibrillation, left ventricular hypertrophy, total cholesterol, high-density lipoprotein cholesterol, prevalent diabetes mellitus, and waist to hip ratio.

フローチャートを見ると、フォローしたのは、
脳卒中コホート2690名
認知症コホート1395名
(examinations 5 (1991–1995), 6 (1995–1998)のどちらのデータもない例は除外している)

アブストより
97例の脳卒中、81名の認知症が発生

結果は、
When comparing daily cumulative intake to 0 per week (reference), the hazard ratios were 2.96 (95% confidence interval, 1.26–6.97) for ischemic stroke and 2.89 (95% confidence interval, 1.18–7.07) for Alzheimer’s disease

おー、なかなかですね。

本文のTableを見てみると、Sugarと違って、人工甘味料ははっきりと差がでています。
Sugarでは差が認められていないところが気持ち悪いですね。人工甘味料ってやっぱアレなのかな、という懸念がふつふつと。

ただ糖尿病などの脳卒中認知症リスクとなる疾患をお持ちの方々が人工甘味料を積極的に摂取しているだけなのでは?という気もします。Model3ではDMも調整因子と入っていますが…。

気になったのは調整因子の数です。model3は12個くらい。こんなにたくさん調整して良いのでしょうか。イベント発生数は脳卒中認知症も100未満。
調整因子の数=イベント数÷10までじゃなかったでしたっけ…?
(↑間違ってましたら、ご教授いただけるとうれしいです。)


あと今までずっと疑問に思っていたのですが
このような観察研究を見ると、有意差がついた疾患だけを取り上げて論文化しているのかな?という気もするのですがそのような傾向はあるんでしょうか。
影響なかったよ!というデータも同等に取り扱ってほしいですね。アクセプトされにくくなってしまうのかもしれませんが…。

・「あっ」と驚くような観察的データのみを取り上げて論文化。
・別のコホートでは同様の暴露・アウトカムについて解析しても有意差ないけど、インパクトないので論文化はされない。

こんな感じになってたりしたら、物事の評価がわけわからなくなってくるような気がします


うーん。やはり観察研究の評価はよくわかりませんね。

ただ、個人的にはこの論文結果はなんだか気持ちが悪いので、人工甘味料はちょっと控える方向になりましたね

自分は缶チューハイや炭酸ジュース(主にジンジャエール!)をしばしば飲みます。
近年、お腹まわりになにか余分なもの(認めたくはないが"脂肪"かもしれない…認めたくはないが!)がついており、カロリーを気にして氷○ゼロ!みたいなのを手にしていましたが、この論文が出てから、なんとなく普通のチューハイしか飲まなくなりました。ジンジャエールもオリジナルのみ。

観察研究の評価は難しいとは思うのですが、
・そもそも人工甘味料メインのカロリーオフの飲み物は美味しくない
・カロリーを気にするなら、食事量を減らせばよい
この2点から、人工甘味料メインの清涼飲料水は最近飲んでいません

カロリーオフってつい手にしてしまいますが、減量したいなら普通に食事量を減らすなり、カロリーの低いものを食べればいいんですよね。
というわけで、ここに明言しておきますが、私、減量開始しました。
職場スタッフにも宣言したので、ぜったい痩せます!焼肉控えます!お酒は控えませんが!

もしどなたかリアルでお会いしたときに、私のお腹が出ていたら、腹パンチしてください。

過敏性腸症候群にオススメの食事は? 地域医療ジャーナル 2017年5月号 vol.3

cmj.publishers.fm

地域医療ジャーナル5月号です。

音楽療法士の佐藤由美子さんの連載が始まりました!

音楽療法というとみなさんどのようなイメージを持っているでしょうか?
介護施設にお薬をお届けにあがったりしたときに、入居者と施設のスタッフ全員で手をたたきながら歌を歌っているというような光景を目にしたことがありますが、みなさんこれを音楽療法と思っている方が多いのではないでしょうか?

自分もそのように思っていましたが、これは完全に誤解で、音楽療法というのはこのようなレクリエーション的なものではないそうです。
詳細は佐藤さんの記事をご覧ください!


さて、ヘンなことを言いますが、音楽はとても力を持っていると思っています。
ですが、その力は解明できてはいない。そんな印象です。

ph-minimal.hatenablog.com

こんな臨床研究も出ていますし。
面白いですよね。
今後、音楽を絡めた研究も進んでいくのでしょうか。楽しみです。


さて自分はというと、ひきつづき過敏性腸症候群IBSをテーマに食事療法について書きました。
話題のFODMAP、どうでしょうね。
このあたり、患者さんの価値観に大きく左右されると思います。
くわしくは地域医療ジャーナル5月号をご覧ください。

6月号もほぼ書き終わっているのですが、テーマをがらりと変えて、もっと身近でコモンなものを取り扱いますのでお楽しみに。