pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

マンモグラフィー検査の痛みにアセトアミノフェンは有効?

乳がん検診のマンモグラフィーって痛いっていいますよね。
YAH○O検索でマンモグラフィーって打ったら、「痛い」が真っ先に予測検索で挙がってきました。

Pain experienced by women attending breast cancer screening. - PubMed - NCBI
Breast Cancer Res Treat. 2000 Apr;60(3):235-40.PMID;10930111
こちらでは、マンモグラフィーを実施した女性1200名にアンケート
954名がアンケートに回答。そのうち689名の女性が軽度~重度の痛みがあったと。
痛みを訴えなかった方と比較して、
痛みと関連があったのは、「不安感」や「乳房疾患の家族歴」、「以前マンモグラフィーで痛みの経験があった」などが挙げられ、
関連がなかったのは、「年齢」、「乳房の大きさ」、「ホルモン剤の使用」

痛みを感じた女性のうちの少数の方(few woman 2.7%)は、その痛みが将来のマンモグラフィー(再検査)を妨げうると回答したそうです。


マンモグラフィーでの痛みはなんとか解消したい問題ですね。やっぱ痛いのは嫌ですよね。

その痛みの軽減の介入について、コクランレビューがでています。
Interventions for relieving the pain and discomfort of screening mammography. - PubMed - NCBI
Cochrane Database Syst Rev. 2008 Jan 23;(1):CD002942. PMID;18254010
さまざまな介入を試みた7つのRCTがレビューされています。
・乳房クッションの使用は痛みを軽減するが、介入群で画質が2%損なわれた
アセトアミノフェンの前投薬は不快感(discomfort)に効果がなかった
など、さまざまな結果が得られています。
胸部圧迫のコントロール次第なのでは?という気もしますが、それについて検討したRCTもあるようですね。

詳細はコクランレビューの原著を見ていただくこととし、アセトミノフェンの前投薬について取り上げましょう。

2008年のコクランレビューでは上記のような記載となっていましたが、今年2018年に新たなRCTの結果が発表されています。

Double-blind placebo-controlled randomized clinical trial on the use of paracetamol for performing mammography. - PubMed - NCBI
Medicine (Baltimore). 2018 Mar;97(13):e0261.PMID:29595685
とりあえず真っ先に論文の結語を見てみると、
アセトアミノフェンマンモグラフィーの軽度の痛みを軽減できる」と書いてあります。
へぇ~。
では、研究デザインと結果を図にまとめてみましょう!

f:id:ph_minimal:20180516212757j:plain
 ※痛みのVASは数字が大きいほうが痛みが強い
(転記ミスがあったらすみません。。。詳細は原著をご確認ください)

さあ!どうですか!
エクセルをまともにつかえないわたくしの渾身のイメージ画像は!!
なんというか、色合いのセンスがないですね。。。

まあ、それはさておき、どうやら軽度の痛みに効いたというのはサブ解析みたいです。たまたまいい結果になっているところを抜き取ったって気が…(ごにょごにょ)
0~10で評価した痛みの平均値に差がない(というか、むしろややプラセボ有利?)ようなので、まあ患者さんが期待するほどの効果は得られないのかな…という感じです。
不快感(discomfort)も改善してないですね。
イメージ図には詳細は記載しませんでしたが、不快感については、
「no discomfort(不快感なし)」「uncomfortable(不快)」「very uncomfortable(とても不快)」「Intorelable(耐え難い)」
の4段階評価でした。
原著のTable3を見ると、Intorelable(耐え難い)の人数が載ってますが、Intorelableはアセトアミノフェン2.7%、プラセボ0.7%です。
うーむ。。。やはり、アセトアミノフェン事前投与はルーチンで推奨するものではないような気がします。

<よくわからなかったこと>
ところで図に載せた参加者のBra sizeですが、原著は単位無しで平均43~44となってました。これはインチですかね。。。インチなのかなと思ってセンチに直したのですが、それで正しかったのかどうか不明。単位の解釈が間違っていたらすみません。
(ていうか、単位くらい載せといてよ!見落としてないと思うんだけど!あと、サブ解析のフォレストプロットの字がちっちゃすぎて読みにくいよ! ブツブツ…)

まあ、論文の結果を詳しく吟味したい方は原著論文をご参照ください。

自分が今回ためしたかったのは、イメージ図(A4サイズにおさまる大きさ)で1つのRCTをまとめることでした。
こうすれば、PECOは一目でわかるし、ITTかどうかも記載不要ですよね。そもそも自分はITTというワードを探したりせず、解析人数をチェックするようにしてます。

ですが…、なんか色合いとかデザインがかっこよくないですよね。
うーむ、これはセンスの問題なので、なんともしがたい…。

しばらく、この企画は続けてみる予定。
あくまで予定。