pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

【慢性便秘】センナ vs 酸化マグネシウム vs プラセボ (アブストのみ)

エビアラで興味深いRCTがあがっていたので、チェック

f:id:ph_minimal:20201122200910p:plain
Senna Versus Magnesium Oxide for the Treatment of Chronic Constipation: A Randomized, Placebo-Controlled Trial
Am J Gastroenterol. 2020 Sep 22. PMID: 32969946.

アブストしか閲覧できない論文でしたので、ところどころ抜けがあります。
90人参加の3群比較なので、1:1:1なら30人ずつなのかも?

all completed the studyとの記述があったので脱落0人としておきました。

自発的排便回数(spontaneous bowel movement ;SBM)の詳細が気になるところですが、プラセボより有意だったということだけで、センナと酸化Mgに違いがあったのかどうか不明。

もし、そこに違いがないなら、刺激性下剤のセンナを使う前に、まずは浸透圧性下剤の酸化Mgから!っていう根拠として有用な知見となるでしょうね。

まあ、そもそも論として、刺激性下剤はなるべく1stで使わないということでコンセンサスが得られていたはず。。
日本のガイドラインは有料なので、米国(AGA Guidelines | American Gastroenterological Association)の方を見てみると、
We suggest a gradual increase in fiber intake, as both foods included in the diet and as supplements and/or an inexpensive osmotic agent, such as milk of magnesia or polyethylene glycol.
Depending on stool consistency, the next step may be to supplement the osmotic agent with a stimulant laxative (eg, bisacodyl or glycerol suppositories), …
https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(12)01545-4/fulltext

まずは食事、and/or 浸透圧性下剤
ネクストステップとして、刺激性下剤

だそうです。
全般改善率に差がないなら、やはりセンナよりもまずは浸透圧性下剤を試してみるのがよさそうですね。

余談ですが、AGAのコメントを抜粋したものの、なんでもかんでも食物繊維を増やせばいいってわけでもなかったような…
ph-minimal.hatenablog.com
便秘といってもさまざまですからね
そのあたりは↑こちらで少し触れているのでご確認ください~m(._.)m

音楽の話をしよう Francesca Belmonte - Stole

最近、YouTubeのアーティスト公式チャンネルが増えてきたので嬉しい!
堂々と紹介できる!

youtu.be

超かっこいい!
以上!

レーベル的にTrickyがらみでしょうね。
圧倒的な世界観。

Trickyは女性シンガーを妖しく輝かせる天才だと思います。

すっごく注目してたんだけど、その後、音沙汰なし。
新しいのつくってほしいなぁ。。。

マスクをつけたら低酸素症になる?

ちょっと前の話ですが、SNSかなにかでマスクで低酸素症になるんじゃないかという声があがっているとか…。N95は長時間つけると、けっこう息苦しくなるって話を聞いたことがありますが、ふつうのマスクで酸素不足になるなんてことがありえるのでしょうか?

これについては、JAMAにLetterがあがっています。
さっそくビジアブ!

f:id:ph_minimal:20201121195216p:plain
Peripheral Oxygen Saturation in Older Persons Wearing Nonmedical Face Masks in Community Settings
JAMA. 2020 Oct 30:e2021905. PMID: 33125030

ビジアブに示したとおり、マスク着用前後でSpO2の平均値に差はありませんでした。

呼吸状態の管理とかに詳しいわけではないのですが、そもそも普段健康な人が知らず知らずのうちに低酸素になるっていう状況がちょっと想像しがたいです(実際にはそういうこともあり得るのかもしれませんがサーベイしてません)。SpO2が臨床上有意と言えるくらい低下してくるのだとしたら、まずは「息苦しい!」という自覚症状が出るでしょうし、「呼吸数は増加する」と思います。実際、N95マスクは長時間つけると苦しいって聞いたことがあります(私はつけたことがないのでわかりませんが)。
また、息苦しいからといって、その時点でSpO2が低下しているとも限りません。SpO2が低下しないように、呼吸数を増加させて補おうとするわけですから…

というわけで、予想どおりSpO2は低下しないという結果となりました。


とはいえ、研究にはリミテーションがつきものです。
この研究は小規模な研究です。また、対象者は健康な高齢者でしょう。酸素吸入しているようなCOPD患者さんや、自分でマスクをつけたりはずしたりできないような要介護の患者さんも含まれていません。また、検証したマスクは1種類なので、どんなマスクでも同じ結果になるとは限りません。
1時間の着用ではなく、もっと長時間だとどうなっているのかが気になる人もいるかもしれませんね。


いろんなご指摘があるかもしれませんが、この研究結果を見る限り、少なくとも健康な人たち(高齢者含む)だったら、低酸素を恐れて、人と接するときにマスクをしないというのは、感染リスクというデメリットの方が大きいんじゃないかと思います。