pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

【ダイエット】水 vs ダイエット飲料!!

永遠のテーマ、ダイエットです。
自分は自宅で毎日(1日1回就寝前 a.k.a.1×vds)飲んでいた氷結(チューハイ)を氷零orのんある気分(ノンアルコールチューハイ、カロリーゼロ)に置き換えるという作戦を実行中です。

そんななか、気になる論文を見つけました。

Effects on weight loss in adults of replacing diet beverages with water during a hypoenergetic diet: a randomized, 24-wk clinical trial. - PubMed - NCBI
Am J Clin Nutr. 2015 Dec;102(6):1305-12.PMID:26537940
http://www.irct.ir/trial/8217

さっそくRCTシートへ。

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この研究参加者はイランのNovin Diet Clinicで集められました。
日本でそんなものがあるのかどうか知りませんが、このClinicはprivate weight loss cinicとのことで、減量プログラムを実施している機関のようです。ここのスタッフがこの研究を実施、資金提供もこのclinicです。とくにダイエット飲料のメーカーなどは関与していないようですね。

では、RCTシートをご覧ください。

まあ、こまごまと気になる点はあるものの、そんなこまかいことはいい!
12%程度ドロップアウト(脱落)したものの、みんな減量プログラムを24週実施し、平均8~9kg減量したことを褒めちぎりたいところです。
みんなよくがんばった!!!!

ついアツくなってしまいました…。
では、冷静にみていきましょう。

まず論文の冒頭に記載されている「太っている人は、ダイエット飲料が減量に有用だと信じているが、栄養士は減量の際には"水"を勧める」というのを読んで、ま、マジか…と氷零を飲みながらつぶやきました。
ただ、「ダイエット飲料のかわりに水を飲むことが減量にどの程度有効なのかは不明」ということで、研究しようってことですね。こういう姿勢が大事ですよね。

研究参加者は、減量プログラムを受けたくてこのクリニックにきているので、「わたしダイエットするわ!」という強い意志をお持ちの女性だと思われます。6ヶ月以内に10%以上体重が落ちている女性は除外されているので、すでにガンガン減量中の方は除外ということでしょうか。あるいはなんらかの疾患で体重が落ちているという可能性もでてきてしまうので、体重が安定している方が対象です。

研究デザインは、2-arm, single-blind, randomized clinical trialと書かれていますが、単盲検って誰のことなんだろう??自分にはわかりませんでした。。。プロトコルにはNot blindedと書いてあるんだけど。。。
少なくとも参加者はわかっていたでしょうね。水の味をしたダイエット飲料なんて存在しないでしょうから。。

研究参加者は2週おきに栄養士さんと会っているようで、そこでダイエット飲料群はダイエット飲料をもらっていたそうです。

介入の違いはmain meal(lunch)のあとの一杯です。
ダイエット飲料250mlのところ、水250mlに置き換えています。なぜか、毎日ではなく、週5回のみ。
残りの曜日もダイエット飲料は全面禁止。スクラロースアスパルテームなどの低カロリー人工甘味料も禁止です。

サンプルサイズは計算されており、85%の検出力で67名。
達成してますね。ドロップアウトは20%を見越していたそうですが、結果をみれば、12%程度。
(みんなよくがんばった…!号泣)

脱落した人は解析から除外しているので、ITT解析ではありません。

結果的に有意差がついたそうですが、パッと見、その差は小さいように見えますね。
これは介入の違いによるものなのでしょうか…

この研究では総カロリーも記録(self-reportedですが)されています。

ダイエット飲料
総カロリー 2357→1871(24週目) 2438→1984(24週目)

ははーん。
ここで差がついているんですね。p=0.015ということなので有意差ありです。
まあ、これだけのカロリー差が、体重の差に繋がるのか、よくわかりませんが、栄養士さんのご意見を聞いてみたいところ。

さて、これが示唆するのは、なんだろう?
ダイエット飲料を飲むと、やっぱり、ちょこっと多く食べたくなっちゃうってこと!?
まあ、たしかに、のんある気分飲んでるとき、おつまみ食べちゃってるな…、そ、そういうことなのかァァ!!?

(この研究では、インスリン値や血糖値、コレステロール値なども測定されていますが、そこは興味がないので割愛。ご興味がある方は原著をご覧ください)

果物を摂取しても血糖値は上がりにくいというのはホント?

本を読んでいたら、こんなことが書かれていました。


果物の果糖を抽出して摂取すれば血糖値は上昇するが、
果物そのものを食べても血糖値をそれほど上昇しない


なにィィィ!!??そ、そうだったんだ…。たしかにそんな話も聞いたことがあるような気がして、インターネットで検索してみると、似たようなことを主張してらっしゃる方もちらほら。

まあ、ありがたいことに自分が読んでいた本には引用文献がついていました!やったぜ!
(そもそも引用文献がついてない本は買わない)

引用されていたRCTはこちら

Effect of fruit restriction on glycemic control in patients with type 2 diabetes--a randomized trial. - PubMed - NCBI
Nutr J. 2013 Mar 5;12:29.PMID:23497350

さっそくRCTシートに。

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H30.11追記 すみません!記載ミスです。罹病期間12ヶ月以内が組み入れ基準でした!75パーセンタイルが4ヶ月以内だったのを見間違えました。失礼しました!

ご覧のとおり、比較的年配で肥満の新規糖尿病患者さんが対象です。
食事介入なので、盲検化はできず、オープンラベルとなっています。

介入方法は図解のとおり。
両群、制限されたとおり、果物摂取量が増減してます。

HbA1cはベースラインが若干ずれてるので、HbA1cの低下率はやや高フルーツ群のほうが大きいですが、有意差はないとのこと。(difference 0.19%, CI 95%; -0.23 to 0.62)

小規模RCTのせいか、ベースライン時の経口糖尿病薬服用者の割合が高フルーツ群のほうが高いという問題があり、それを調整した結果も載っています。調整HbA1cの差は、(difference 0.06%, CI 95%; -0.38 to 0.49)

体重やウエストは両グループともにやや減少。その程度は同じくらい。

さて、この研究結果を基に、果物は血糖値を上げにくいと判断していいのか?という問題です。

個人的には、この研究からはそれは断言できないのでは?という気がします。

その理由は、この研究では被験者の果物摂取量は調べていますが、総カロリー摂取量は測定していません。論文の著者も言及していますが、果物はあくまで食事のなかの一部であるため、果物摂取量が増減すると他の食事が変化している可能性があります。測定していないものの総カロリー全体としては同じくらいになったのではないかと著者は推察しています。

図解シートにも書きましたが、この研究の介入の違いは、

フルーツを多く!と指示
フルーツを少なく!と指示

です。
果物に関するアドバイスの内容を変更しただけで他の食事は自由です(注;といっても肥満患者に対しては、両グループともに総カロリーを制限するよう指示されていますが)。
他の食事は変更せずに、プラスで果物を多く摂っていいぜ!という介入ではないのです。

この研究の著者の結論は、「果物制限は血糖値、体重やウエストを改善しないので、果物の有益な効果を考慮して、2型糖尿病患者に果物を制限しないことを推奨する」となっていますが、果物だけに言及して、制限するように指示しても、他の食事で相殺されるので、必ずしも血糖値が改善するとは限らないということだと思いました。果物を制限するかわりに、ショートケーキとか甘いお菓子を食べてたりして…。

「糖尿病なんだけど、果物なら血糖値あがらないみたいなので、食べ放題だぜ、ウェーイ!」
となってしまうとちょっとまずい気がします。
フルーツジュースなどの加工されたものよりは食物繊維などが含まれている果物そのもののほうがいいみたいですが、やはり食べすぎは禁物なんじゃないかなぁ…と。

あとこの研究は3ヶ月ですが、半年、1年…と期限を延ばしたらどうなるんでしょうね。おそらくこの研究参加者は糖尿病と診断されたばかりで、こういった研究参加に同意するくらいですから、食事療法がんばるぞー!って人たちなんじゃないかな。総カロリーの制限をしっかり守ったんじゃないでしょうか。これが長期間になるとどうなっていくのか…、微妙に差がついてきたりして…。

あとはこの論文のFig2ですね。
すでにHbA1cはコントロールできている方が大半。ベースラインで7%を超えているのが各グループで4~5人です。9%越えもいます。高フルーツ群で3名、低フルーツ群で1名。みんな研究終了時にはガクンとさがっていますが、これはさすがに糖尿病薬による効果でしょう。HbA1cの変化を平均値でとると、このような大きな変化をもたらした被験者のデータに引っ張られる気がします。
このようなHbA1cがズバ抜けて高い人は除外したほうがよかったのでは?という気もしますね。薬の服用である程度、維持期に入っている患者さんだけにしたほうが良かったのではないかと。まあ、これは個人の見解ですが。

試験期間中の糖尿病薬の制限はしていないので、各グループの糖尿病薬の増量や追加についての比較も見てみたかったですね。パッと見、載ってないような…(HbA1cの差で調整したのはベースライン時の服薬)

ちなみに、身体活動性は両グループにおいてほとんど群間差はなかったようです。


さて、こんな書き方をすると、「やっぱり果物は食べちゃダメなのか…ううぅ」となってしまうかもしれませんが、この研究から、総カロリーをきちんと制限しておけば、フルーツは無理に制限しなくても良さそうだ。とも言えます。糖尿病治療中の方は主治医の指示に従いながら、極端な食事制限に苦しむことのないよう楽しい食生活を送って欲しいものですね。
そういう観点から、この研究は示唆に富む研究でした。○○はダメ!と制限しても、かわりに別のものを食べちゃいますからね…。

現在、ダイエット中の自分としては、身にしみる思いです(以前このブログで痩せる!と宣言したことがありますが、その後あっさり断念してお腹がヤバいことになりました…)
結局、続けられないならダメだと思って、今回は無理な制限はしてません。焼き鳥は食べますし、焼肉にも行ってます。量は減らしてますけどね。宅飲みやお菓子はほぼ断ち切ったので、それだけでよしとしましょう。全体的に制限はしているので、じわじわとお腹のヤバさが改善してきておりますよ。じわじわと…ですが。


さて、最後にご紹介しておきます。今回、自分が読んだ本はこちらです。

津川先生のこの本、話題になりましたよね(白熱してたのは白米の件ですが…)。SNSでのマーケティングも見事でした。本の感想や疑問点に関するみんなのツイートに、著者の津川先生がじきじきにリプを飛ばすというのも話題性を生むのに効果的だったでしょうね。

この本はエビデンスベースドな食事本(巻末に膨大な引用文献…)なのですが、なんと医学書ではなく一般向けの本となっています。エビデンスの階層(ガイドラインなどでよくお見かけするピラミッドのやつ)なんかも載っており、一般の方にもエビデンスという言葉が身近になっていくのかもしれないと思わせる内容でしたね。
まだ読み終わってないのですが、巻末には正しいネット情報の入手方法なんかも書かれていました。
一般向けの健康本というと、もうめちゃくちゃという印象でしかなかったのですが、このような本が出てくるとどうなるんでしょうね。出版社側も心を入れ替えるんでしょうか?


さて、今回自分はこの膨大な引用文献のなかから、たった一つ読んでみただけですので、私が今回書いたことはちょっと浅いかもしれません(ちょっとどころではない!?)。このRCTについての意見も単なるひとつの解釈に過ぎません。何が正しいとか何が間違っているという話ではありません。論文の解釈は多種多様だったりしますしね。
ただ、本やネット情報を読んでいて「おや?ほんとに?」と思ったら自分で原著論文を読んでみるというのは医療者としては大事だと思っています。そのあたりについては、臨床批評VOL.2 - No.2(※)にミニ丸名義で書かせて頂いておりますのでよろしければぜひ。


臨床批評 - aheadmap ページ!


一般向けに情報を広めていくのは、ほんとに悩ましくて、伝言ゲームのように話が歪曲し、いつのまにか「果物は血糖値に一切影響しない」なんていう誤った極論にすり替わっていく可能性もあるので怖いですよね。都合のいいように情報を受け止めたりする人もいますから。この懸念がとても大きい気がします。

かといって、煮え切らない主張(エビデンスってもやもやしがちですよね)は一般には受け入れられにくい気がするので、ある程度は、ビシバシと明確な言いまわしも求められる気がします。

情報発信って難しいよなぁということを再認識したところで今回は終わりにしたいと思います。
なにはともあれ、一般向けにこのようなエビデンスベースな健康本が出てきたのは喜ばしいことだと思います。
そもそも、本を紹介しといてなんですが、まだ読み終わっていないので読み進めなくては…!自分の食生活はめっちゃ不健康な気がするので、食事に関するエビデンスプリーズ!!(ただし、美味しいものに限る←これ重要)

ステロイド外用剤と皮膚軟化剤(保湿剤) どちらを先に塗る?

これは、個人的にも気になる話題。

Does Order of Application of Emollient and Topical Corticosteroids Make a Difference in the Severity of Atopic Eczema in Children? - PubMed - NCBI
Pediatr Dermatol. 2016 Mar-Apr;33(2):160-4.PMID;26856694
アトピー性皮膚炎のお子様に、ステロイドと皮膚軟化剤のどちらを先に塗布するのが良いのか?という研究です。
アブストの結論を見てみると、どちらを先に塗っても良いのではないかと著者は結論づけています。好きな順番で良いと。

どっちでもいいっていうのは、人によっては嫌がりますが、個人的には好きですね。どっちでもいいなら気楽だなと。こだわらなくてはいけないことが増えると大変ですから。


まあこの結論だけ見て終わり…でもいいのですが、ちょっと中身が気になる論文なのでちゃんとチェックしてみましょう。
RCTシートにまとめました。
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ふむ。。。
実はこの研究のRCTシート作成から、日にちが経っているので研究内容を忘れてしまっているのですが、このシートでまとめておくと、比較的パッと思い出しやすいですね。まあ、数日経ったらまた忘れるのでしょうけど。
一応、PECOにして介入と対照に分けているものの、この研究はどちらが対照群ってわけでもないので、介入1、介入2にしたほうがよかったかもしれませんね。
まあ、作成裏話はここまでにして、補足解説していきましょう。


研究参加者に対しては盲検化されていません(investigator blind)。
使用する薬剤は同じで、あくまで順番を変更するだけなので、オープンでもさほど治療効果に影響は与えないような気がします(個人の見解)。

ステロイドと皮膚軟化剤の塗布間隔は15分。
15分もあけたら塗るのを忘れてしまいそう…。ていうか、自分なら忘れちゃうなぁ。

かゆみ止めの飲み薬(H1RA)や経口ステロイドは試験中は禁止
点鼻ステロイドや吸入ステロイドアセトアミノフェン、経口抗菌薬は必要に応じて許可。


使用された外用ステロイドは部位にあわせて下記の2種類

顔;hydrocortisone acetate 1% cream(酢酸ヒドロコルチゾン)
今は日本で販売されていない。かつてはコルテス®という製品(ランクはweak)があったらしい。ロコイド®、キンダベート®(ランクはmediam)よりも弱いステロイド

体;Clobetasone Butyrate 0.05% cream
いわゆるキンダベート®

ともに、剤形はクリームを使用したようです。


皮膚軟化剤Emollient は、
「Aqueous cream」
Aqueous cream - Wikipedia
ウィキペディアによると、英国の薬局方に収載されている皮膚軟化剤だそうです。
一般的な成分は
liquid hydrocarbons
white soft paraffin wax
purified water
emulsifying wax containing sodium lauryl sulphate
cetostearyl alcohol
chlorocresol

乳化剤のsodium lauryl sulphateラウリル硫酸ナトリウムも入ってるみたい。
これについては、NICEのガイドラインにてアトピー性皮膚炎に対して使用するにあたっては皮膚刺激の懸念ありとしています。
Atopic eczema in under 12s | Guidance and guidelines | NICE

↓こちらも参考になります。
Aqueous cream: may cause skin irritation - GOV.UK

試験に用いた製剤を軽く調べてみたら、「そもそもアトピー性皮膚炎のお子様にAqueous creamを皮膚軟化剤として使用することに意義あり!」な様相を呈してきましたね。
これについてもっと深入りしたいところですが、戻ってこれなくなりそなのでこの話題はこのあたりで打ち止めにしておきましょう。
(こぼれ話として、NICEガイドラインでラウリル硫酸ナトリウムはアトピー性皮膚炎に積極推奨はしてないという情報を得ることができたのでよしとしましょう!)

H31.2追記
Aqueous creamについていろいろ調べていたところ、どうやら必ずしもラウリル硫酸ナトリウムを含んでいるわけではないっぽいです。
この研究はマレーシアで実施された研究なのですが、Aqueous creamの製造メーカーは不明。
ためしに、マレーシア・Aqueous creamで検索するとこんなものが
https://shopee.com.my/Pharmaniaga-Aqueous-Cream-500g-(EXP-08-2019)-i.67991234.1165216550
マレーシアの通販サイトでしょうか
この製品の材料をみると、前述のWikiの情報と違ってラウリル硫酸ナトリウムは入ってないですね。この製品が用いられたのかは不明ですが…。Aqueous creamに含まれる成分がなんなのかなんともいえないですね
以上、補足でした。



研究のほうに戻りましょう。

一次アウトカムはEASIスコア

EASI(Eczema Area and Severity Index)
0~72点(点が高いほうが重症)
重症度分類は下記のとおり[1]

寛解(clear) 0
ほぼ寛解(almost clear) 0.1-1.0
軽症(mild) 1.1-7.0
中等症(moderate) 7.1-21.0
重症(severe) 21.1-50.0
最重症(very severe) 50.1-72.0

6.6点改善すれば、臨床的に有意な差と言える[2]

[1]
What the Eczema Area and Severity Index score tells us about the severity of atopic dermatitis: an interpretability study. - PubMed - NCBI
Br J Dermatol. 2015;172(5):1353-7. PMID;25580670

[2]
EASI, (objective) SCORAD and POEM for atopic eczema: responsiveness and minimal clinically important difference. - PubMed - NCBI
Allergy. 2012 Jan;67(1):99-106. PMID:21951293


さて、これを踏まえて参加者のベースラインのデータを見ると、中等症のアトピー性皮膚炎の患児のようですね。
結果を見ると(RCTシート参照)、有意差はついていないものの、保湿剤を先に塗ったほうがなんとなく良さげな印象…。
EASIやBSA(面積%)のベースラインが両群で少しズレてますが、これが結果に影響してしまった可能性もあるのでしょうか?ランダム化してもこの程度の症例数だと多少はズレてしまうんですかね…?

ちなみに、この研究はサンプルサイズを計算しており、80%の検出力で中程度のエフェクトサイズを達成するのに必要な症例数は154名と見積もられているものの、参加者は46名です。症例数がぜんぜん足りてないですね。試験完遂率もあまり高くないようですし、有意差がつかなかった理由が、パワー不足のためである可能性も否定できないといえるかもしれません。

どっちでもいいと断言していいのかなぁ…ともやもやする感じがしました。パワー不足でなんともいえない感じですね。保湿剤の種類も日本では違ってくると思うので、そのあたりも外的妥当性に欠けるかもしれません。

ただ、この結果を見ると、もし自分がアトピー性皮膚炎だったら、保湿剤を先に塗るかな…。


あとは…、
そんなことよりね。15分も時間をあけなきゃいけないのか!?ってことのほうが知りたいです。

自分はアトピーではないですが、このような軟膏をけっこう使っているので、患者目線でいろいろ思うところがあります。

まず、塗り薬を塗るのって超めんどくさいです。
可能な限り、一箇所に塗るのは1種類の薬だけにしてほしい!
内服の合剤って「ナニソレ、需要あるの?」って思っちゃったりするんですが(ごめんなさい、怒らないで。1錠飲むのと2錠のむの、そんなに手間はかわらないでしょ。嚥下機能が悪くて1錠でも服用錠数が少ない方が良いという方もいらっしゃると思うのでそのへんはケースバイケース)、塗り薬は一度で済むなら超ありがたいです。2種類の軟膏を15分あけて塗るとか、マジでかんべんしてほしい。そんなの無理。
この領域で合剤っていうと、乾癬に使われるステロイドビタミンD製剤の合剤くらいでしょうか?あれはすばらしい開発ですよね。患者さんたちは喜んだはずですよ。
それ以外だと処方箋で混合指示を出して、薬局で混合することになるでしょう。薬局としては軟膏・クリームの混合は配合変化が~とかいろいろあるでしょうけどね…。
でも、2種類塗るのってめっちゃ大変ですからね!患者さんを代表して言わせてもらいますッ

というわけで個人的には塗る順番よりも、「別々に時間差をあけて塗る」のと、「同時塗布(可能なら混合製剤)」の比較について検討して欲しいです。同時塗布でいいなら、順番とかあんま関係なさそうですしね。できれば混合製剤で検討して欲しいけど…。もしかしたら、すでにそのような研究が実施されているのでしょうか!?今後、調べてみよう!
(今後、調べる=二度と調べない… /今までの筆者の傾向より)