pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

オセルタミビル透析時の用量/ラニナミビルvsオセルタミビル(2010) 耐性ウイルス?

某メーカーのオセルタミビルQ&Aをぼんやりと眺めていました。

Q&Aがメーカーサイトに載ってるのはいいですよね。
コールセンターにはいろいろな質問が飛んできて、「ああ、それな。それよくある質問だわー」って思いながらお決まりの回答をしているのでしたら、事前にサイトにアップしとけば、コールセンターの業務が減るじゃんって思うのは短絡的なんでしょうか。

まず透析患者の投与量ってどうなんだっけ?と思ってメーカーサイトにとんだのですが、載ってますね。
添付文書的にはCcr10ml/min未満への推奨量は確立してないというお決まりの文句のあとに、
日本透析医会・日本透析医学会のガイドラインの推奨量が記載されており、
「治療にあたっては、オセルタミビル1カプセル単回投与、5日後症状が残っていた場合には、もう1回投与。」
だそうです。
知らなかった~。
CKD2012のガイドでもCcr10ml/min未満や透析においては、1回75mg単回投与と明記してあります。


まあ、それは今回の本題ではなくて…、
Q&Aをみていたらオセルタミビル耐性ウイルスについて記載がありました。
最近、耐性ウイルスの話題がでないなぁと思っていたら、
「2016/2017シーズンには、タミフル耐性ウイルスは流行しませんでした。」とのこと。

で、Q4のオセルタミビル耐性ウイルスにオセルタミビルを使用した経験があるか?という問い。
論文が引用され、
ラニナミビルとタミフルの無作為二重盲検比較試験では、996名の被験者中643名がタミフル耐性ウイルスに感染していた」
「有効性に関する主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間について、ラニナミビル投与群とタミフル投与群の間で比較した結果、同程度で有意差なし」

その論文とは、

Long-acting neuraminidase inhibitor laninamivir octanoate versus oseltamivir for treatment of influenza: A double-blind, randomized, noninferiority... - PubMed - NCBI
Clin Infect Dis. 2010 Nov 15;51(10):1167-75.
PMID:20936975
資金提供は第一三共
DB-RCT ラニナミビルがオセルタミビルに劣っていないかを検討した非劣性試験(マージンは上限18時間)
P:20歳以上のインフルエンザ患者、熱37.5度以上(36時間以内)
E:①ラニナミビル40mg(334名)②ラニナミビル20mg(326名)
C:③オセルタミビル添付文書どおり(336名)
O:症状緩和までの期間

結果
①73時間
②85.8時間
③73.6時間

で、40mg群は非劣性を示しましたよ、という論文なのですが、例のQ&A、気になりますよねぇ~。
「643名はオセルタミビル耐性ウイルスに感染していた。」
6割以上が対照薬耐性のウイルスだった???

じゃあ、ラニナミビルが有効と言えるか、微妙なのでは??

と、そんな示唆を与える内容が、オセルタミビルのメーカーのサイトに書いてあることに、なんといいますか、まあいろいろあるなぁと。。(以下略)

じゃあ、フルテキスト確認してみようってことで、その643名ってデータは記載してあるのかというとちょっと見当たらない。。。(といっても、643でサイト内検索しただけ)
サプリメンタリも存在せず

耐性ウイルス感染の患者数のデータはどこから出てきたんだろう。


ディスカッションにそれっぽいことが…

2008/2009シーズンは、世界中でH274Y 変異を有するオセルタミビル耐性H1N1が流行った。
予期せぬことに、本研究の約65%がH274Y変異を有するウイルスに感染していた(←これが根拠かな?参加者に0.65かければだいたいそのくらいの人数)
しかし、オセルタミビルの症状緩和期間は73.6時間で、他の研究での期間(オセルタミビル群70.0〜87.4時間、プラセボ群93.3〜116.5時間)と類似していた。
よって、ラニナミビルの有効性を確認できた、みたいなことが書いてある

さて、これはどうでしょうねえ。

たしかにラニナミビル低用量はやや罹病期間が長いので、やはり効いているとみていいのかもしれませんが、Fig2のグラフを見ると、ほぼ重なっているように見えて、大きな差はなさそう。3~5日目あたりは差がついているかな、という程度です。
ちなみに、4~5日目あたりはオセルタミビルよりもちょっとだけラニナミビル通常量のが寛解率が高いように見えますがその差は小さい。

やはり疑問として残るのは、
オセルタミビル耐性ウイルス感染率がこんなに多くなければオセルタミビルに負けていたのでは?
ということです。
オセルタミビルの症状緩和期間は既存研究とほぼ同じなので…みたいな間接の間接の比較みたいな感じで、有効性確認っていうのは無理があるような気も。

ラニナミビル発売当初、どんなマーケティングをかけていたかまったく知らないのですが、オセルタミビル耐性ウイルスの話って当時話題になってましたかねぇ?ラニナミビルは耐性の問題がないし(発売当初)、ザナミビルと違って単回投与だよ~っていうマーケティングをしていたとか?
どなたか覚えているかたいらっしゃいますかね?
もしそんなマーケティングをして、医師もそれにのっかってオセルタミビルではなくラニナミビルを使っていたのだとしたら、この論文はダブスタってやつになるかもしれませんね。
オセルタミビル耐性ウイルスの懸念があるから、オセルタミビルはやめようっていうのはちょっとヘンですよね。この研究では対象者の65%が耐性ウイルスに感染してても、罹病期間が同程度なんですから。
耐性ウイルスが流行してないなら、むしろオセルタミビルのほうが効きそうだなって思ってしまいます。

まあ、以上は有効性のみに着目した話なので、安全性は度外視してます。
たとえば、嘔吐は以下のとおり
For vomiting, the rates were 0.3% (1 of 337 patients), 0.3% (1 of 326 patients), and 2.4% (8 of 336 patients),
(40-mg laninamivir octanoate, 20-mg laninamivir octanoate, and oseltamivir の順です)


さて、ちょっともやもやしたので書いてしまいました…。
どうも、海外でラニナミビルのRCTがネガティブだったという話を思い出してしまいますね。

あのオセルタミビルのQ&Aの記載は、こんなふうに思う人がいるだろうということまで、予測した上での記載だったんじゃないかと思ってしまいますね。これも競合品同士の熾烈な宣伝合戦の一環なんじゃないかと邪推してしまいました。

まあ他にもいろいろ論文はあるかと思います。
ディスカッションにおいて、小児だとH274Y変異株に対する効果はオセルタミビルよりラニナミビルのほうがよかったみたいなことが書いてあったりして、そちらの論文も気になるところなのですが、お時間も限られているので今回はこのあたりでおしまいにします。
本来はありとあらゆる論文を踏まえて吟味すべきなんですけどね…。今日は日曜日だし…。

プソイドエフェドリンの血圧・心拍数への影響は?

CQ「プソイドエフェドリンの長期使用の安全性は?」

長期使用の安全性ってことで検索してみたら、血圧、脈拍への影響を検討したメタアナリシスがあったので、ブログ表題のCQへスイッチ。
まあ、結局、気になるのは"そこ"ですもんね

Effect of oral pseudoephedrine on blood pressure and heart rate: a meta-analysis. - PubMed - NCBI
Arch Intern Med. 2005 Aug 8-22;165(15):1686-94.
PMID: 16087815
2005年ってことで、かなり古いですね。
プソイドエフェドリン配合のディレグラ®が日本に登場したのはまだ数年なので、海外では経口プソイドエフェドリンが古くから使われていたのでしょうか。
(このあたり背景知識がないのでなんとも…)

背景
鼻炎や鼻漏によく使われているが、血圧や心拍数への影響は不明
MEDLINE, EMBASE, and the Cochrane Library をつかって、英語限定で、成人の試験を対象にプラセボ対照RCTをサーチ
元論文はJadadスコアで評価(いまはあまりつかわれないですが、これ2005年ですからね。)
ランダムエフェクトモデルを使用
weighted mean differencesってことですが、測定尺度の単位はまったく同じものですもんね。SMDじゃなくてOK(そんなのあたりまえだろ、ふざけるなって声も聞こえますが、このあたり自分自身よくわかってない部分なので、復習としてメモがわりに書いています)

24試験、n=1285
SBP (0.99, mm Hg; 95% CI, 0.08 to 1.90)
HR (2.83 beats/min; 95% CI, 2.0 to 3.6)
DBP (0.63 mm Hg, 95% CI, –0.10 to 1.35).

血圧はほんのちょっとだけ上昇しそう
心拍は2.8BPMはやくなる。
BPMって言われると、DJしたくなる人、手を挙げて!(ふーた先生はおそらく手を挙げたはず)

コントロールされてる高血圧患者を対象とすると、
SBP (1.20 mm Hg; 95% CI, 0.56 to 1.84 mm Hg).

高用量のほうが、また即放錠のほうが、血圧は上昇する。とのこと
男女差は、どうやら女性のほうが影響が小さいらしい

アブストはここまで。

フルテキストもざっと目を通しておきますか。
サーチタームが載ってますね
pseudoephedrine combined with the text words hypertension, blood pressure, heart rate, adverse effects, and clinical trial
最近のSR&MAだともっといろんなワードで検索してるような気が…、検索ワードがシンプルだなぁという印象。(あくまで個人の見解)

All references of reviewed articles were scrutinized for additional articles missed by the computerized database search.
参考文献も精査した模様

これらの基準(randomization, placebo control, at least 1 group receiving a sympathomimetic medication, and extractable outcomes reported.)でスクリーニング。

Jadadの6項目は以下のとおりで、2名が独立して評価、不一致についてはコンセンサスで仲裁(Disagreements were arbitrated by consensusとの記述だが、第三者の名前が出ていないので2人で話し合って決めたということか…?コンセンサスって複数の合意という意味合いだと思うが2人でもコンセンサスって表現するのかな…もっと複数っていうニュアンスだと思っていたが…)。

description of randomizationランダム化
adequacy of blinding盲検化
description of withdrawals and dropouts試験脱落
appropriateness of statistical analysis統計分析(具体的になにをさすんだろう…。サンプルサイズの計算とかかな…)
description of inclusion and exclusion criteria組み入れ基準/除外基準
and method of assessing adverse treatment effects有害事象の評価


用量、治療期間、剤形などの情報を抽出

用量別、剤形別などいろいろサブ解析しますよってことが書いてある

元論文の質ごとの解析もするよ、とのことですが、
high- and low-quality (Jadad score <6)
と…。満点以外は低品質ということですかね。


859試験ひっかかり、それを厳選していった模様
非英語文献も6個みつかってますが、ざっくり除外しちゃってます。
バイタルサインのデータがなくて60試験除外されており、さらにバイタルサイン変化無しとしか記載されていない20試験が除外されてます。
(↑このあたりバイアスとなりそうですね。本当にまったく変化がなかった試験が20あって、それが除外されてたら、差がつく方向へ偏ります。一方、バイタルのデータがない試験のFundは企業でしょうか、公的機関でしょうか…。このあたりも気になるところ)

24試験集まりましたが
Australia, Switzerland, United States, England, Italy, Austria, Germany, Belgium, and Finland
アジアはない模様…

また、このうちの16試験はクロスオーバー試験で、ウォッシュアウト期間は1~14日、平均7日

試験期間はどれくらいでしょうか
平均4.6日(1~28日)
短いですね…。1日ってどういうこと?
1ヶ月をこえる試験はない模様

Jadadスコアの平均は5.9
前述の項目はほぼしっかりできている試験が選ばれているようですね。ただクロスオーバーが多いですが。

で、Resultはアブストのところで記載したとおり。

平均値としてほんのちょっと血圧上昇と言われても、"平均値"ですからね…
グンッ!と上昇した人がいなかったかどうかが知りたいんですけれども…

と思っていたら、フルテキストには記載がありました

平均血圧20mmHg以上の増加:2名

ムムム、これはなかなか。
(分母が1000名くらいでしたっけ。いやプラセボを抜いたら、もっと少ないのかな?それとも"24 studies involving 1108 patients exposed"て記載があるから、プソイドエフェドリン投与群の人数だけでこの人数なんでしょうか…)
どちらにしろこれはちょっと無視できない数かも

高血圧患者5名は、血圧が145/94 mm Hgを超えた
19名がDBP89を超え、16名がSBP139を超え、、、
などなど細かいデータも記載されていますが、
ほとんどの試験において、「ベースラインの血圧の記載がない」「プラセボ群も血圧上昇していた」「心拍増加の症例について絶対値の記載がない」といった元文献の記述が不十分であることについても触れられています。

このメタアナリシス、患者の平均年齢は 34.9 years (range, 20-63 years)です。これがもっと高年齢を中心としたものだとしたら、血圧上昇例はもっと多くなるかもしれないと思いました。また、高血圧の患者数はどれくらいだったのか…。正確なn数は不明ですが、Five trials with 7 treatment arms investigated the effects of pseudoephedrine treatment in patients with stable, treated hypertension, という記載があるので、安定した高血圧患者はそこそこ含まれていたようです。

なにはともあれ、アブストを見て、血圧平均1mmHg上昇かあ~、ぜんぜん問題ないじゃんって終わらせてしまっていいのか…というとちょっと慎重になったほうがいいのかもしれません。

Stroke associated with sympathomimetics contained in over-the-counter cough and cold drugs. - PubMed - NCBI
Stroke. 2003 Jul;34(7):1667-72. Epub 2003 Jun 5.
こういう報告もありますからね。PPA(Phenylpropanolamine)はたしか日本の市場から消えたんでしたっけ?
PPAが報告が多いもののプソイドエフェドリンでも報告があります。
血圧が極端に跳ね上がるような症例で、こういう転帰を辿るおそれがあるということでしょうか。
元のメタアナリシスのディスカッションにおいても、交感神経刺激作用による極端な反応は、1000例ちょっとの小さいサンプルサイズで検出できない可能性があると指摘されています。

まあ、このメタアナリシスは2005年の報告ですので(脳卒中の報告は2003年)、その後もスタディはどうなっているのか調べたほうが良さそうですね。
(だれかかわりにやってくれないかなぁ~…)

あ、そういえばこのメタアナリシス、1ヶ月以上の使用期間の試験はなかったので、冒頭の長期使用の安全性についての答えにはなってないですね…。
長期安全性については、別の研究で検討したほうがよさそうです(フリダシに戻る…)。

アレルギー性鼻炎に対するロイコトリエン拮抗薬(LTRA)の上乗せ効果は?

CQ「抗ヒスタミン薬(H1RA)を服用しているアレルギー性鼻炎患者へのロイコトリエン拮抗薬(LTRA;leukotriene receptor antagonist)の上乗せ効果は?」

花粉が猛威をふるう季節となりましたが、LTRAの効果ってどうなんだろうということで簡単にPubってみます
LTRA使うような人って、たいていH1RAは入っているので、併用vsH1RA単独のRCTを探してみたいところです。

手当たり次第ピックアップしていきます

Montelukast in allergic rhinitis: a systematic review and meta-analysis. - PubMed - NCBI
Clin Otolaryngol. 2006 Oct;31(5):360-7.
PMID: 17014443

2006年、季節性アレルギー性鼻炎のSR&MA、アブストのみ
鼻症状スコアをプラセボと比べて3.4%減少させる
(いまいちピンとこない。3.4%って?TNSSとかのことだろうか…。相対的なスコア減少率だとしたら微妙すぎる)
ステロイド点鼻薬やH1RAほど有効ではないためセカンドラインだとのこと。使うならH1RAと併用で使えと。


Leukotriene receptor antagonists for allergic rhinitis: a systematic review and meta-analysis. - PubMed - NCBI
Am J Med. 2004 Mar 1;116(5):338-44.
PMID: 14984820

2004年SR&MA、こちらもアブストのみ
Resultすっ飛ばして結語
プラセボより有効、H1RAと同じくらい、ステロイド点鼻薬より劣る

このSR&MAはACPジャーナルクラブで取り上げられています。
10年たってるので無料閲覧可能
Review: leukotriene-receptor antagonists are less effective than intranasal corticosteroids for allergic rhinitis. - PubMed - NCBI
ACP J Club. 2004 Sep-Oct;141(2):45.
PMID: 15341465

こちらのほうがわかりやすい。

アウトカムは2つ
鼻症状スコアを%で比較してますが、この説明が、
Composite daytime nasal symptom score (expressed as a percentage of the maximum possible symptom score)
最大スコアのパーセンテージ。

もう1つは鼻炎・結膜炎のQOL
0~6点。0点が症状なし

11試験、n=4210

結果

鼻症状スコア 標準化された鼻結膜炎QOL
LRAs vs placebo −5% (−7 to −3) 0.3 (0.24 to 0.36)
LRAs vs nasal corticosteroids 12% (5 to 18) Not evaluated
LRAs vs antihistamines 2% (0 to 4) 0.11 (0.04 to 0.18)
LRAs plus antihistamines vs LRAs −3% (−6 to −1) −0.17 (−0.56 to 0.22)
LRAs plus antihistamines vs antihistamines −4% (−6 to −3) −0.06 (−0.27 to 0.15)
LRAs plus antihistamines vs intranasal corticosteroids 3% (−6 to 11) Not evaluated

(ACP J Club. 2004 Sep-Oct;141:45より)
どの程度、効くのか…がいまいちピンときませんが上記のとおり

LTRAはプラセボよりは効くけど、ステロイド点鼻には劣る
H1RAにはやや劣る
LTRAへのH1RA上乗せ(またその逆)は有効っぽいけど、QOLは有意差無し
LTRA+H1RAはステロイド点鼻薬と症状スコアで有意差はないが、やや劣る傾向にある。

大雑把にまとめちゃうとこんな感じでしょうか…。
やはりINS強し…。


こちらは2018年
Oral Antihistamines Alone vs in Combination with Leukotriene Receptor Antagonists for Allergic Rhinitis: A Meta-analysis. - PubMed - NCBI
Otolaryngol Head Neck Surg. 2018 Mar;158(3):450-458
PMID29337654
アブストのみ
RCTのメタアナリシス
タイトルにSRとは書いてないけど、PubMed, EMBASE, and Cochrane Central Register あたりからサーチしている
GRADE approachで評価したとのこと。

[LTRAs + H1RA] vs[ H1RA alone] のRCTが対象
まさに冒頭のCQに合致する

効果をweighted mean difference (WMD) で測定
SMDじゃなくていいのかな…
各試験の測定尺度の単位が同じだったのでしょうか…。

8 RCTs were included (n = 1886),

Compared with H1 alone, H1 + LTRAs were superior to improve overall daytime (WMD, -0.11; 95% CI, -0.19 to -0.03, high quality) and composite (WMD, -0.12; 95% CI, -0.23 to -0.01; low quality) nasal symptoms
LTRAの上乗せ効果はわずかながら認められた模様

そのあとの一文にびっくり
Specifically, H1 + LTRAs had better efficacy against composite nasal rhinorrhea, sneezing, and daytime itching but not congestion
あ、あれ…あれれ?
LTRAは鼻閉に効くという認識でいたけど、鼻閉は改善してないというまさかの展開。
これはいったい…。

ちなみにその効果は、季節性より通年性で顕著であったと。
そして、夜間症状については有意差なし。


SR&MAはこのくらいで終わり
次から単試験
Montelukast plus cetirizine in the prophylactic treatment of seasonal allergic rhinitis: influence on clinical symptoms and nasal allergic inflamma... - PubMed - NCBI
Allergy. 2004 Mar;59(3):280-8.
PMID: 14982509

フルテキスト無料と見せかけて、これ有料ですね。

P:60名の季節性アレルギー性鼻炎
E/C
placebo, montelukast only, cetirizine only, or montelukast plus cetirizine
の計4群
O:(プライマリとの明記はアブストにはないが)自己評価の症状スコア
治療期間:6 weeks prior and 6 weeks after the beginning of grass pollen season

Montelukast plus cetirizine were more effective than cetirizine alone in preventing eye itching, rhinorrhea, and nasal itching
併用はセチリジン単独より有効だったと。鼻閉症状はどうだったんでしょうか…
(まあ、さっきのSR&MAにはこのあたりのRCTが含まれていたのでしょうけど)


Concomitant montelukast and loratadine as treatment for seasonal allergic rhinitis: a randomized, placebo-controlled clinical trial. - PubMed - NCBI
J Allergy Clin Immunol. 2000 May;105(5):917-22.
PMID: 10808172
全文フリー(お暇な方は是非!自分は…スルー…
n=460
これは症例数多くていい感じ
P:季節性アレルギー性鼻炎
E/C
montelukast 10 or 20 mg, loratadine 10 mg, montelukast 10 mg with loratadine 10 mg, or placebo
O:プライマリは daytime nasal symptoms score (average of congestion, rhinorrhea, itching, and sneezing).

併用群は各単独群より良かったそうです。
詳細は原著を…


Efficacy and tolerability of montelukast alone or in combination with loratadine in seasonal allergic rhinitis: a multicenter, randomized, double-b... - PubMed - NCBI
Ann Allergy Asthma Immunol. 2002 Jun;88(6):592-600.
PMID: 12086367
アブストのみ

こちら単盲検RCT
montelukast 10 mg (n = 155), loratadine 10 mg (n = 301), combination montelukast 10 mg and loratadine 10 mg (n = 302), or placebo (n = 149),
症例数けっこう多いですね

The primary endpoint was the daytime nasal symptoms score (mean of congestion, rhinorrhea, pruritus, and sneezing).

どの群もプラセボには勝った。
しかし、ロラタジンへのモンテルカスト上乗せ効果はなかった模様
the effect of montelukast/loratadine compared with loratadine alone, the primary comparison, was not significantly different




Quality of life in patients with persistent allergic rhinitis treated with desloratadine monotherapy or desloratadine plus montelucast combination. - PubMed - NCBI
Kulak Burun Bogaz Ihtis Derg. 2014 Jul-Aug;24(4):217-24.
PMID: 25046070
全文フリー

タイトルだけ見ると、
モンテルカスト・デスロラタジンvsデスロラタジンのQOL比較評価て感じで興味をそそるのですが、アブストを読んでたら…むむむ…。
six-week randomized, double-blind, cross-sectional study
ランダム化して盲検化した横断研究っていったい…。

全文フリーなのでひらいてみたのですが、併用群と単独群(n数は各群20例)の前後比較データが表になっていて、そっとPDFを閉じました。


Clinical studies of combination montelukast and loratadine in patients with seasonal allergic rhinitis. - PubMed - NCBI
J Asthma. 2009 Nov;46(9):878-83.
PMID: 19905912

こちらはDB-RCTかな

飽きてきたので、一部分だけ抜粋
All treatments were significantly better than placebo; montelukast+loratadine had a significantly greater effect on CSS than montelukast alone but no difference compared to loratadine was detected


さて、ズサーッと流し見てきた結果、
INS>H1RA>LTRA
ていう図式が見え隠れしたのは自分だけでしょうか。
LTRAは鼻閉には良い、みたいな定説も怪しくなってきて、これはこれできちんと検討しなおしたほうがいいんじゃないかという気もしますね。
そのような傾向があるとしてもそこまで劇的に効くのかどうか…
PMID: 10808172のフルテキストなんかを見ると、症状別に平均スコア変化がグラフになっていますが、症状スコアを平均化してしまっているので、劇的に症状が改善した人が何割いるのかっていうのも気になるところですね。