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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

Charlson Comorbidity Index(チャールソン併存疾患指数)

文献を読んでいるとわからないスコアや指標などがたくさん出てきます(泣)

チャールソン併存疾患指数(CCI;Charlson Comorbidity Index)について調べてみました。

A new method of classifying prognostic comorbidity in longitudinal studies: development and validation. - PubMed - NCBI
J Chronic Dis. 1987;40(5):373-83.

併存疾患と予後を検証した縦断的研究(longitudinal studies)

スコア 疾患
1 心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢動脈疾患、脳血管疾患、認知症、慢性肺疾患、膠原病(connective tissue disease)、潰瘍性疾患、軽度の肝疾患、糖尿病
2 片麻痺、中等度~重度の腎疾患、末期臓器障害(end organ damage)のある糖尿病、がん、白血病、リンパ腫
3 中等度~重度の肝疾患
6 転移性固形がん、AIDS

例)慢性肺疾患、リンパ腫の患者;1+2=3点

score 患者数 10年生存率(actual;実際) 10年生存率(predicted;予測)
0 213名 99% 99%
1 156名 97% 96%
2 136名 87% 90%
3 109名 79% 77%
4 42名 47% 53%
5 29名 34% 21%

 
ということなんですが、1987年のデータということでかなり古いです。
疾患そのものの治療法もかわっており、この10年生存率はあまり参考にならないような気もします。

こちらは去年の文献
Validation of the Charlson Comorbidity Index in acutely hospitalized elderly adults: a prospective cohort study. - PubMed - NCBI
J Am Geriatr Soc. 2014 Feb;62(2):342-6.
急性入院高齢患者においてCCIは短期/長期の死亡率を予測するか?
研究デザイン:前向きコホート研究
対象者:65歳以上の急性入院患者(平均年齢77.8歳±7.9、男性45%)n=1313

年齢と性別を調整した死亡率
CCI 5点以上vs0点

3か月 1年後 5年後
死亡率の差(オッズ比OR) OR3.6(95%CI 2.1-6.4) OR7.1(95%CI 4.2-11.9) (OR52.4(95%CI 13.3-206.4)

残念ながらアブストラクトには各スコアごとの死亡率は記載されていませんでした。
併存疾患が多いほうが死亡率が高くなるのは当たり前で、CCI5点以上と0点を比較すれば死亡率は有意に高くなりますよね。
その程度の差もいまいちイメージがつかみにくいです。


Updating and validating the Charlson comorbidity index and score for risk adjustment in hospital discharge abstracts using data from 6 countries. - PubMed - NCBI
Am J Epidemiol. 2011 Mar 15;173(6):676-82
CCIを再評価し、スコアをアップデート。

2004年カナダ、18歳以上の55929名、退院後1年以内の死亡率の調整ハザード比(table2)

variable(変数) ハザード比 update weight original charlson weight
65歳以上 4.4 - -
チャールソン併存疾患      
Myocardial infarction心筋梗塞 0.99 0 1
Congestive heart failureうっ血性心不全 1.91 2 1
Peripheral vascular disease末梢血管疾患 1.10 0 1
Cerebrovascular disease脳血管疾患 1.10 0 1
Dementia認知症 2.39 2 1
Chronic pulmonary disease慢性肺疾患 1.28 1 1
Rheumatologic diseaseリウマチ疾患 1.30 1 1
Peptic ulcer disease消化性潰瘍 1.08 0 1
Mild liver disease軽度の肝疾患 1.94 2 1
Diabetes without chronic complications 1.12 0 1
Diabetes with chronic complications慢性合併症を伴う糖尿病 1.22 1 2
Hemiplegia or paraplegia片麻痺または対麻痺 2.26 2 2
Renal disease腎疾患 1.43 1 2
Any malignancy, including leukemia and lymphoma白血病やリンパ腫を含む悪性腫瘍 2.28 2 2
Moderate or severe liver disease中等度~重度の肝疾患 3.83 4 3
Metastatic solid tumor転移性固形腫瘍 6.01 6 6
AIDS/HIV 3.69 4 6
Maximum comorbidity score 24 29

17の併存疾患のうち、5つは1年間の追跡において、死亡率と関連せず、修正スコアは0点を割り当て。

6か国の院内死亡率と併存疾患スコアとの関係(table5)

country 0 1 2 3 4 5 6以上
オーストラリア(n=252200 65歳以上47%)
update 1.2 3.1 6.8 9.2 13.6 18.3 20.0
original 1.0 4.6 4.9 12.9 9.9 12.5 18.8
カナダ(n=1894843 65歳以上42%)
update 1.7 6.1 11.1 14.9 19.0 23.6 24.7
original 1.5 6.0 8.5 12.0 13.4 17.1 24.8
フランス(n=779336 65歳以上33.6%)
update 0.9 2.4 8.0 13.5 15.4 22.7 31.9
original 0.6 4.4 6.4 12.6 16.4 22.3 28.3
日本(n=2361957 65歳以上57%)
update 2.6 4.6 6.9 9.9 13.4 17.8 20.0
original 2.4 4.4 5.9 8.6 9.0 16.1 19.6
ニュージーランド(n=670908 65歳以上37%)
update 0.5 2.2 4.5 10.0 10.3 16.6 7.8
original 0.4 2.9 3.0 7.2 5.7 8.2 8.0
スイス(n=788355 65歳以上37%))
update 0.9 4.6 8.7 15.2 18.4 21.7 31.4
original 0.7 4.4 7.6 12.4 16.1 18.6 31.2


<結論>
アップデータされた併存疾患スコアは先進国6か国における院内死亡率を予測する上で、より優れた指標となる。



死亡率と関連しないとされ5疾患がアップデート版では削除されましたが、院内死亡率を予測する上で大きな問題はなかったようです。
アップデートにてスコアが小さくなった疾患は治療が進歩した分野であるという見方もできるかもしれません。
認知症は死亡率との関連によりスコアの重み付けが増しています。認知症治療薬が承認され、広く用いられるようになったとはいえ、満足のいく効果が得られているとは言えず、患者の家族への負担も問題視されています。

併存疾患だけで予後を予測するのは難しいように思いますが、このようなスコアを把握しておくことで、大まかな予後の予測がイメージできるかもしれません。

高齢者においてはADLなども予後を予測する因子として知られており、歩行速度と生存率との関連が指摘されています。
Gait speed and survival in older adults. - PubMed - NCBI
JAMA. 2011 Jan 5;305(1):50-8

元気に歩ける方は予後が良さそうだなというのはなんとなくイメージできますね。とくに高齢者の場合、パッと見の印象が結構大事では?という気もします。
高齢者の予後予測因子のスコアなどの文献があれば後日とりあげてみたいと思います。