先日、SNS上で理論と現象の対立といった話があり、本日の学会でその話題にも触れるということでしたが、寝坊して聞き逃してしまいました…笑
全国配信していたというのに…。
この件について自分の考えをまとめてみます。
理論:薬理学や薬物動態学
現象:臨床研究の結果(EBM)
こういうことでしょうか(違ってたらすみません!)
この2つの側面が対立する??
うーん、難しくてよくわかりませんが…。
理論に興味を示す方が多いように思います。大学でも理論が中心ではないかと。
最近、自分は現象に興味があり、そちらを中心に学んでいるのですが、時に、理論と解離した現象が生まれることがあります。
たとえば有名なACCORD試験
Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. - PubMed - NCBI
N Engl J Med. 2008 Jun 12;358(24):2545-59.
厳格血糖コントロール群のほうが総死亡が多かったという結果
目標HbA1c値は強化療法群HbA1c6%未満、標準療法群HbA1c7~7.9%
結果、1年後の中央値は強化療法6.4%と標準療法7.5%となり、総死亡のハザード比1.22(95%CI 1.01-1.46)
プライマリアウトカム(非致死的MI、非致死的脳卒中、心血管死)は有意差なし、ハザード比0.90(95%CI 0.78–1.04)
と、まさかの総死亡増加により、試験が途中で中止となっています。
厳格に血糖コントロールしたほうが良いだろうという理論に沿って治療したら悪い現象が起こったという例です。
このように理論と現象はときに対立しているかのような結果が生まれることはあるのですが、だからといって理論は無視していいのかというとそうではありません。
この研究の有害事象として、
低血糖(医療介助を必要とする)が強化療法群538名(10.5%)、標準療法群179名(3.5%)
体重増加(10kg以上)が強化療法群1339名(27.8%)、標準療法群713名(14.1%)
悪い現象を生んだ別の原因(理論)が浮上してきます。
想定とは違う現象が生まれた原因を考えようと、再び理論に立ち返ることが大事なのではないでしょうか。
自分の考えとしては、
・理論と現象は解離しているかのような結果をもたらすことがある。それを踏まえて双方について学ぶことが大事。
・理論と現象を切り離して考えるのではなく、理論→現象→理論といったりきたりすることで別の重要な理論が見つかることがある。
こんなところでしょうか。
理論と現象は密接に関連していると思いますが、その関連性が見いだせない場合も多いので、完全に解離しているように見えることもあります。
医学は奥が深いですね。