pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

終末期の高齢者に対する処方について -欧州エキスパートコンセンサス-

土曜の夜ですね。
業務関係書類を持ち帰ったはいいが、バッグの中で眠っている土曜の夜。

今週はほんとに…
なんかあまり食べられなかった。
痩せる!痩せる!と騒いでいたころと比べて、ベルトの穴2つ分くらいズレましたね。
結局ね、自明のことなんですよ。世界中のだれもが全員知っていること。
食べる量が減れば痩せる。
それだけのこと…(by プフ)

ブログなんて書いている場合じゃないのですが、ぼんやりと眺めていたSNSを流れていった論文をキャッチ。そして、リリース。

Adequate, questionable, and inadequate drug prescribing for older adults at the end of life: a European expert consensus.
Adequate, questionable, and inadequate drug prescribing for older adults at the end of life: a European expert consensus. - PubMed - NCBI
Eur J Clin Pharmacol. 2018 Jun 23. PMID:29934849

終末期のことって、まったくわかりません。
なので、こういった専門家がどんな薬を適切な処方だと考え、どんな薬を不適切な処方と考えているのかっていうアンケート調査的なこの文献、自分にとっては勉強になるような気がしました。

この研究の目的は、
終末期(余命3ヶ月以内)の高齢者(75歳以上)に対する薬を下記の3つに分類
often adequate 適切
questionable 疑わしい
often inadequate 不適切

ヨーロッパの専門家40名(臨床経験10年以上が85%)の評価はどうなのかァァ!?っていう調査

新規処方と、服用中の薬の継続は区別してアンケートをとった模様

各薬剤を5段階スケールでランク付けしてます
For each drug class, participants indicated their opinion on a 5-point, non-numerical Likert scale: “Always inadequate,” “Often inadequate,” “Questionable,” “Often adequate,” and “Always adequate”.

このFigをみたほうがわかりやすいですね
https://media.springernature.com/original/springer-static/image/art%3A10.1007%2Fs00228-018-2507-4/MediaObjects/228_2018_2507_Fig2_HTML.png

定義をまとめましょう
[often adequate]
"often"or"always"adequateと答えた専門家が75%以上
(5段階で良いほう上位2段階までを75%が占める)

[questionable]
"questionable","often inadequate","always inadequate"と答えた専門家が75%以上
(5段階で悪いほう3段階を75%が占める)

[often inadequate]
"often"or"always" inadequateと答えた専門家が75%以上
(5段階で悪いほ2段階を75%が占める)

服用中の薬の継続について

table2より
[Often adequate]
ブチルスコプラミン
吐き気止め
便秘薬
全身性ステロイド
甲状腺ホルモン
オピオイド鎮痛薬
オピオイド鎮痛薬
てんかん
抗不安薬・鎮静・睡眠薬ベンゾジアゼピン
レボドパ
吸入サルブタモール
吸入ステロイドICS
吸入イプラトロピウム

[Questionable]
胃酸関連薬剤(PPIは除く)
SU剤(スルホニルウレア)
経口糖尿病薬(SU、メトホルミンを除く)
ワルファリンVKA
DOAC(NOAC)
低用量アスピリンLDA
他の抗血小板薬
貧血治療剤
ジギタリス製剤
その他の強心配糖体
αブロッカー
サイアザイド・非サイアザイド利尿剤(Low-ceiling diuretics)
カリウム保持性製剤(スピロノラクトンを除く)
非選択的βブロッカー
CCB
ACEi/ARB
フィナステリド
抗がん剤antineoplastic drug
内分泌療法
免疫抑制剤
痛風治療剤(アロプリノール、コルヒチンを除く)
全身性閉塞性気道疾患治療薬

[Often inadequate]
ビタミンD
カルシウム製剤
配糖体以外の強心薬Cardiac stimulants other than glycosides
高血圧治療薬(αブロッカーを除く)Antihypertensives, excluding α-blockers
末梢血管拡張薬Peripheral vasodilators
脂質補正薬Lipid-modifying agents
Immunostimulants
ビスホスホネート
その他の骨粗しょう症治療薬
認知症治療薬


途中で飽きてきて、訳が適当になりました。。。
どうも分類がよくわからない。。コード名みたいなのが書いてあるけど、日本じゃ馴染みがないし…。

アロプリノールを除く、PPIを除く、メトホルミンを除く、っていう記載がありましたが、じゃあ結局その除かれたアロプリノールやPPI、メトホルミンはどんな評価だったのか気になるところ。この3区分に入らなかったということですかね。
"適切"・"不適切"・"疑わしい"の3つに分類しないで、5段階スケールでの評価の結果全体をドーン!て載せて欲しかったのは私だけでしょうか?


これは服用中の薬について、ですので、"不適切"に分類された薬剤が、減薬の対象として参考になりそうです。

高血圧の薬は結局のところどうなんだ?"不適切"に入っているAntihypertensives, excluding α-blockersてのはいったい…。ACEi、CCBとかは"疑わしい"という1個上のランクに入っているし…。何を指しているんだろう…。
Lipid-modifying agentsが"不適切"に入ってますね。そして、骨粗しょう症治療薬もことごとく"不適切"扱い。もちろん認知症の薬も…。最近、フランスがすごい決断に出て話題になりましたよね(http://solidarites-sante.gouv.fr/actualites/presse/communiques-de-presse/article/l-interet-therapeutique-des-medicaments-de-la-maladie-d-alzheimer-n-est-pas#nb1)。

意外だったのはSU剤が"不適切"扱いではなかったところ
そして、各方面から悪者扱いされてるBZDが"適切"に。個人的には、BZDが悪者なんじゃないよ、BZDの不適切な使い方が悪なんだよっていう気がしなくもない。。。どしゃぶり(メンタル的な暴風雨)のときは傘さしたいよね。でも雨がやんでるのにずっと傘さすの?ていう感じでしょうか。専門じゃないのにテキトーなこと言っちゃいけませんが、大雑把に言えばそんなイメージを抱いています。
あるいは、すでにオンされてる終末期患者の場合は、断薬でヘンに離脱症状とか出ちゃうことを恐れて、ということなのかもしれませんね。


新規処方について
微妙に異なる結果となっていますが、もうめんどくさくなってきたので、原著をお読みください。
フルテキストフリーですから。。。

なんだかんだで、BZDは"適切"に分類
"適切"に分類されてるのは対症的薬剤が多いですね。

抗凝固系はこちらではことごとく"不適切"扱い。まあ、終末期で新規に導入すべきような薬ではないでしょうね。
ビタミンB12葉酸が"不適切"としてリストアップされてますけど、そもそもこのような薬をいまさら導入しようっていうシチュエーションがいまいち想像できない。。まあこの領域の臨床経験ほぼゼロの私ですので、なにひとつ想像できないんですけどね。



さて、ごらんのとおり、これは自分用メモであり、かなりテキトーですので、原著をご確認ください。
門外漢には参考となる資料ですが、薬の分類とかがちょっとわかりにくかったですね。結局、PPIはどこに分類されたんだろう…。リストアップされてない薬剤も多い気がする。しばしば目にしたother ○○○っていうのもわかりづらい。○○○以外ぜんぶってこと!?みたいな。

まあこれっておもしろい企画なので、日本の緩和ケアの先生を対象にアンケートとってみて欲しいですね。
こんなのエビデンスじゃねぇえ!って方もおられるかもしれませんが、終末期の患者さんを対象にRCTを行うハードルってのもありますからね。エキスパートオピニオンを知りたいです~。

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追記
ぼんやり原著を見返してたら、Fig2の一番下、画面見切れてて、白枠を見てなかったです…。
リストアップされてないのは、意見の一致がみられないNon consensusってことですね。まあ、そりゃそうだろって話ですが。あたりまえだろって話ですが。

昨夜、いかに適当に書いてたんだって感じですね。まあ酔ってたからしょうがない。飲んでたのはのんある気分なのになんで酔ってたんだろう。。