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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

アムロジピンとベニジピンの違い

同系統の薬で処方変更があった場合、患者さんの情報を元にどのような処方意図かを考えます。

今回は、CCBのベニジピンとアムロジピンの違いについて調べてみたいと思います。

患者さんが気にするのは「どちらのほうが強いか?」
この質問を受けたことのない薬剤師はいないのではないでしょうか。

ベニジピンとアムロジピンの降圧効果を比較した試験はなさそうな気がしますが、とりあえずPubMed検索で検索してみます。

Comparison of the antiproteinuric effects of the calcium channel blockers benidipine and amlodipine administered in combination with angiotensin re... - PubMed - NCBI
Hypertens Res. 2009 Apr
オープンラベルのランダム化比較試験

P:n=47
各データの平均値[年齢65歳、BMI23~24、血圧153/87、sCr3mg/dL、eGFR22ml/min/1.73m2、HbA1c6.3(n=11 DMあり)]

選択基準
①140/90mmHg以上の高血圧
②CKD(ステージ3~5)
③eGFR60未満
④タンパク尿/クレアチニン300mg/g以上
ARB最大用量(オルメサルタン40mg/日、テルミサルタン80mg/日)8週間以上投与

除外基準
①20歳未満
②高血圧緊急症
③重症心不全狭心症、6か月以内の心筋梗塞脳卒中
ステロイド免疫抑制剤投与
⑤腎性高血圧、内分泌性高血圧
⑥高血糖やDKAなど入院に繋がった重度なDM

E:<130/80mmHgを目標にベニジピン4~16mg/日 6か月投与
C:<130/80mmHgを目標にアムロジピン2.5~10mg/日 6か月投与
O:降圧効果と抗タンパク尿効果を比較するためにデザインされたと記載あり(primary outcome/endpointという表現の記載はない)
ITT解析されている
COIはないと明記されている

<結果>
降圧効果について

ベニジピン アムロジピン
final dose 11.7±0.87 mg /day 7.6±0.56 mg /day
6ヵ月後のSBP(収縮期血圧 136.1±1.8 mm Hg 133.4±1.3 mm Hg
6ヵ月後のDBP(拡張期血圧 78.6±1.7 mm Hg 75.2±1.6 mm Hg
BP<140/90 達成率  58.3% 65.2%
BP<130/80 達成率 37.5% 43.4%

1ヵ月後の時点では、アムロジピン群のほうが有意にSBP低下。2~6ヵ月後では同等。
DBPは低下については同等

腎保護効果について

ベニジピン アムロジピン
尿タンパク/Cr mg/g 2565±299.9 3187±372.2
尿タンパク減少率(6ヵ月後) −29.4±5.9% −7.8±6.9%

sCr値やeGFRにおいては有意差なし


ざっくり言うと、アムロジピンのほうが血圧の安定化は若干優れている印象で、尿タンパク減少を期待できるのはベニジピンという結果です。
ディスカッションにおいて、慢性糸球体腎炎や高血圧性腎硬化症よりも糖尿病性腎症では糸球体内圧が高いので、糸球体内圧を下げるベニジピンは糖尿病性腎症に適しており、糖尿病患者ではアムロジピンよりベニジピンのほうが良いのではとの記述もありますが、この研究結果は代用のアウトカムなので決定的とは言えないのではないかと思います。
ディスカッションで言及されているCARTER試験(シルニジピンvsアムロジピン)も気になるところですが、こちらも尿タンパク抑制を比較した代用のアウトカムの試験のようです。


もう1つ、ベニジピンvsアムロジピンの文献がありました。
Renal-protective effect of T-and L-type calcium channel blockers in hypertensive patients: an Amlodipine-to-Benidipine Changeover (ABC) study. - PubMed - NCBI
Hypertens Res. 2007 Sep
アムロジピンからベニジピンへの変更で、
尿タンパク/尿中クレアチニン:0.35+/-0.82g/g → 0.22+/-0.55g/g
尿タンパク抑制作用があると結論



ベニジピンの腎保護効果はとても気になるところなので、もう1つ文献をピックアップ。
Effects of calcium antagonists in hypertensive patients with renal dysfunction: a prospective, randomized, parallel trial comparing benidipine and ... - PubMed - NCBI
Nephrology (Carlton). 2004 Oct
ランダム化比較試験(盲検化の記載なし)
P:腎障害のある高血圧患者
E:ベニジピン
C:ニフェジピン
O:複合アウトカム(sCrの1.5倍上昇、末期腎不全への進行、透析、腎移植、死亡)
フォローアップ1年
<結果>
両群ともに血圧低下を示し、両群の血圧に有意な差は無し

ベニジピンn=15 ニフェジピンn=15
sCr上昇 3名 10名
透析 1名 5名

小規模RCTですが、差がついています。盲検化されていないようなので、透析導入についてはその詳細が知りたいところです。ニフェジピン群では、少しはやめに透析導入したのではないかと邪推したくなるくらい明確に差がついていますね。

CCBのサブダイプによる臨床効果の違いは重要だと思うので、盲検化した大規模なRCTを実施して欲しいところです。


簡単にCCBについてまとめると

アムロジピン ベニジピン シルニジピン ニフェジピンCR アゼルニジピン
type L型 L/T/N型 L/N型 L型 L/T型
t1/2 35~37hr 1.7hr(血中濃度と相関せず効果持続) 5.2hr -(二層性で2回ピークあり) 19~23hr
定常状態 6~8日 4日 2日(腎機能低下6日、高齢者7日)
狭心症の適応 あり あり(狭心症では分2投与) なし あり なし
小児の適応 6歳以上の小児 なし なし なし なし
併用禁忌 なし なし なし なし アゾール系、抗HIV薬など
特徴 バイオアベイラビリティが高い 尿タンパク抑制 交換神経抑制作用あり(頻脈起こしにくい)、尿タンパク抑制 妊娠20週以降の妊婦に使用可能(L,CRのみ) 尿タンパク抑制

適応は2015.9時点

L型:糸球体の輸入細動脈を拡張
T型/N型:糸球体の輸入細動脈だけでなく輸出細動脈を拡張
と、言われており、糸球体の内圧を抑えることで、腎保護効果を有すると考えられています。

腎疾患を有する高血圧に対するN型やT型チャネルのCCBの抗タンパク尿効果はJSH2014でも言及されていますが、その臨床効果はまだ未知数といったところでしょうか。今後の研究に期待したいところです。