pharmacist's record

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AGのある先発品をすべてAGに変更していたら差額はいくらになる?(H29年度NDBオープンデータ)

一部の医薬品についてはオーソライズジェネリック(AG)が発売されています。AGがあっても、なんだかんだ先発品の人気(変更不可処方箋)って根強いよなぁ~と夜空を見上げながら、思いにふけっていたのですが、ふとひらめきました。
AGがある先発品をぜんぶAGに変えていたら医療費はどれくらい浮いたのであろうかと!

NDBオープンデータを見れば、だいたいわかるじゃん!と思って、計算してみました。
「そんなことに時間を使っていないで仕事しろ!」と誰かが怒っているような気がしてヘンな汗が出てきましたが、火がついてしまったからにはもう止められないのです。 「わたし、気になります!」

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(総額はこのあとすぐ!)

参照したのは、第4回NDBのデータ、内服薬外来(院外)です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221_00003.html

該当のエクセルファイルの「総計」の数値が年間の使用錠数ですよね。
で、薬価の記載もあります。

先発の薬価とAGの薬価の差を出して、先発品の錠数とかけ合わせてみました。そうすれば「先発品で出した分をすべてAGにかえていたら、いくら浮いたのか」がわかりますよね

2016年からAGが売られていたものだけ抽出しました。2017年の途中から、ロスバスタチンやオルメサルタンのAGが登場していますが、これは途中出場なので除外。
エクセルファイルにないものは計算してません。他にもなにか漏れがあったりするかもしれませんが、そこはご愛嬌ということでm(__)m


すべての薬剤の差額を合算してみると、とんでもない額になりました。
440億!!

ちなみに、H29年度の調剤医療費の薬剤料は5兆7413億円だそうです。
https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/17/gaiyou.html

440億って高額すぎて、なにかの間違いかな?と思いましたが、全体の額からすると1%以下なので、ぜんぶAGに変えていたら、これくらいの額が浮いてたのでしょうね。

実際には、患者負担が1~3割あるので、保険で賄う額はもう少し低くなりますが、小市民の私からみると大きな額に感じてしまいます。

AGといっても、いろいろあって、製法、原薬、製造ラインなどすべて先発品と一緒のものもあれば、製造ラインは別だったりするAGもあります。
「原薬も製造ラインも、ぜ~~~んぶ一緒のものじゃないと認めん!」という考え方の人もいるかもしれませんが、さすがに「(ジェネリックは)AGも絶対ダメ!」という方は少数派なんじゃないでしょうか…。それにもかかわらず、AGと先発品の使用割合は半々くらいです。先発品の方が使用量が多いものもあります。

これは2017年度のデータですが、その後、AGの発売が増えてきた印象があります。
2018年以降はどうなのでしょうか。
AGがあるにもかかわらず先発品で調剤されている割合がどれくらいあるのか、そしてその差額はどれくらいになるのか…。気になりますねぇ…。「わたし、気になります!」

(もし計算ミスがあったらマジですみません。確認はしたのですが。。。土下座)