1年くらい前に問題になったH2ブロッカーにおける発がん性物質NDMAの混入について、該当薬剤のがんの発生リスクを後ろ向きに検証した疫学調査の結果が発表されました(SNSで知りました。ツイッターすげぇ!)。
なんと、日本から!
すばらしいですね!
こういう研究、素敵です!
全文フリーではないので、アブストオンリーの情報にはなりますが、ビジアブにまとめておきました。
Risk of Cancer in Association with Ranitidine and Nizatidine vs Other H2 Blockers: Analysis of the Japan Medical Data Center Claims Database 2005-2018
Drug Saf. 2020 Nov 27. PMID: 33247391.
日本の健康保険組合のデータベース(the Japan Medical Data Center claims database)を用いた研究です。健康保険組合のデータということはレセプトのデータですかね?
調整ハザード比が載っていますが、どんな因子を調整したんでしょうね。そのあたりは論文のアブストではなく本文の方に書いてあるのでしょうけど、データベースから得られる情報に限るのではないかと思います。収集できない情報は調整しようがないですからね…。レセプトデータから得られないけど、がんの発生に大きく寄与する情報ってどんな情報でしょうね。
たとえば「喫煙の有無」はレセプトデータからは得られないかな?得られない情報についてはどうしようもないんですけど、H2ブロッカー同士の比較なので、喫煙率が大幅に偏るなんてことはないんじゃないかなぁ~という気はします。
追跡期間の中央値は2.4年ということで、がんの発生に要する十分な期間といえるのかどうかは議論の余地がありそうですが、もちろん論文の著者も承知の上で、アブストでこのリミテーションに関して言及しています。
20~30年継続したらどうかと言われるとなんとも言えませんが、2~3年の服用であればそんなに心配することはなさそうだということを示唆する研究結果なのかなと思いました。
研究にはリミテーションがつきものですが、データを出すというところが素敵ですね!