pharmacist's record

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【ALLHAT】ドキサゾシン(αブロッカー) vs クロルタリドン(サイアザイド系利尿薬)

「『1日1論文、医学論文の活かし方』で取り上げられた論文をビジアブ化してみよう祭」の第2弾ということで、ALLHATを読んでみました。

書籍で取り上げられたCaブロッカー、ACE阻害薬、利尿薬の比較ではなく、早期終了となったαブロッカー「ドキサゾシン」の論文ですけどね(汗)。

ALLHATはもともと、サイアザイド、Caブロッカー(CCB)、ACE阻害薬、αブロッカーの4群比較でしたが、αブロッカーは試験中断となりまして、αブロッカーとサイアザイドの比較について論文化されています。

そのビジアブがこちら

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Major cardiovascular events in hypertensive patients randomized to doxazosin vs chlorthalidone: the antihypertensive and lipid-lowering treatment to prevent heart attack trial (ALLHAT). ALLHAT Collaborative Research Group
JAMA. 2000 Apr 19;283(15):1967-75. PMID: 10789664.


ぐぬぬ。かなりビジーになってしまいました(汗)
Myビジアブは魅せることより、内容把握に重きを置いているので、これでヨシ!(←自分勝手)

プライマリアウトカムの冠動脈疾患死と非致死的MIは有意差なしでしたが、心不全が倍増などとちょっと雲行きが怪しい感じとなり、このまま試験をつづけてもドキサゾシンの有益性が上回ることはないであろうってなことで中止となったようです。

αブロッカーのドキサゾシンがふるわなかったというのは知ってましたが、いざ論文を読んでみると、ドキサゾシンの方が、SBPが2~3mmHg高く推移していたんですね。これが結果にどう影響したのかはちょっと気になるところ…。狭心症脳卒中が微増なのは、もしかしたらこの血圧の差も影響しているのか!?(このあたりは論文のディスカッションで言及されているので、興味があれば原著をご覧ください)

あと、この論文、有害事象の報告が載ってないんですよね~。やっぱαブロッカーは立ちくらみが多いのか?とか、電解質異常はサイアザイドで多いのか?とか、比較データが見てみたかったんですが、パッと見、掲載されていないようです。


さて、現在、高血圧治療の第一選択薬としてαブロッカーは含まれていないと思いますが、ALLHATの結果がイマイチだったことも理由のひとつとして挙げられるんじゃないでしょうか。この研究から20年近くが過ぎ、本態性高血圧にαブロッカーが1stで処方されることはほぼなくなりましたね(少なくとも自分は見かけない)。
あくまで1stで使われなくなってきたというだけで、コントロール不良の方には他剤に上乗せする形で処方されています。

サイレントキラーとも呼ばれる高血圧・・・。自分は塩分摂取量がえぐいので気をつけないとなぁ~。
ラーメン、つけ麺、ラーメン、つけ麺!