pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

新型コロナウイルスは人工ウイルスではない Lancet2020

いろいろと作業がひと段落してしまい、連休やることがなかったので洋画を見ました。
米国のリーマンショックを描いた映画なんですけど、大きなお金を動かす投資家たちが、「はじめまして」と挨拶するときに握手をしているのを見て、ふと思いました。

米国CDCはこの習慣をどう思っているんだろうと。

日本はあまり握手をするという習慣がないですが、洋画をみていると、いたるところで握手握手。
インフルエンザなどの感染症の蔓延を防ぐには、握手という習慣はあまりよくないのでは…という気もしたのですが、どうなんでしょうね。
CDCの人たちも「はじめまして」の挨拶をするときに握手をするんですかね。


そんな思いつきはさておき、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の情報が日に日にアップデートされていますね。

COVID-19:ロピナビル/リトナビル、ウミフェノビルに症状軽減・ウイルス陰性化の効果みられず : 呼吸器内科医
http://rs.yiigle.com/yufabiao/1182592.htm
中国の後ろ向きの研究(n=134人)では、カレトラ(ロピナビル・リトナビル)の効果は認められなかったようです。後ろ向きの研究なのでなんとも言えませんが、劇的な効果はないのかも。

RCTも走っているようなので、結果を待ちたいところです。



新型コロナウイルスについては、数多くのフェイクが流れました。一般の方々はさぞ混乱したことでしょう。アルコール消毒は効かないとかいうデマが流れて、即座に厚生労働省が反応したのは記憶に新しいところ。


アルコール消毒が効かないという誤った情報を発信したのは元医療従事者らしいです。
カオスですね。

フェイクニュースのファクトチェックについてはこちらを参考にしてください。
fij.info


一部では、人為的につくられたウイルスではないか!なんて話も挙がっていたようです。
新型コロナウイルスに「HIVエイズウイルス)」のタンパク質が挿入されていることをインド工科大学の科学者たちが発見。」
→峰宗太郎先生「HIVのあるタンパク質のごく一部の配列に似てはいるが、似ている部分は非常に短く、偶然に生じた配列である可能性がある」「類似が指摘されている配列は、とても短いアミノ酸配列であり、多くの生物から同じような配列は見つかる」

ランセットにはこんなレターが掲載されました。とてもアツいレターです!
Statement in Support of the Scientists, Public Health Professionals, and Medical Professionals of China Combatting COVID-19 - PubMed
Calisher C, Carroll D, Colwell R, et al. . Lancet. 2020;S0140-6736(20)30418-9.

意訳
「このパンデミックに対して、中国の医療専門家たちが熱心に取り組んできたことを評価している」
「ウイルスの起源に関する噂や誤報の影響を懸念している」
「ウイルスが自然発生的なものではなく、人工的なものであるという陰謀論を我々は強く非難する」
「複数の国の科学者が原因物質であるSARS-CoV-2のゲノムを分析・公開し、他の多くの新興病原体と同様に、このコロナウイルスも野生生物に由来すると結論づけており、これは各学会からも支持されている」
陰謀論は恐怖や噂、偏見を生み出し、ウイルスとの戦いにおける世界的な協力を危うくするだけだ」

多くの研究者たちが人工的なものではないと評価しているようです。

そして、レターの終盤がアツいです。
ぜひとも原文で。

We want you, the science and health professionals of China, to know that we stand with you in your fight against this virus.We invite others to join us in supporting the scientists, public health professionals, and medical professionals of Wuhan and across China. Stand with our colleagues on the frontline!

アツい!!

どうも一般の方々からは、研究者とか科学者っていうとデータばかりで人の気持ちに寄り添わないだとか冷たいイメージをもたれている印象があるのですが(←気のせい?)、陰謀論を真っ向から否定し、患者さんの対応やウイルスの研究で疲弊しながらも中国でがんばっている人たちに対して、こんなあたたかいメッセージを送ってるんですよ。アツいでしょ!

メディアのニュースをみていると、いたるところで考え方の違う人たちが衝突し、ときに恐ろしい恫喝みたいなのも目にします。意見が違っても建設的な議論ならいいのですが…。新型コロナウイルスも人間たちの衝突を見て、「いやいやあんたらの敵はオレたちじゃないの?」って思っているでしょうね。

自分もちょっとげんなりしていたのですが、上記のレターを見て、やっぱりサイエンスはすばらしい!と思いました。嫌な情報の洪水は放置して、粛々と正しい情報を入手して日々の業務に還元していきたいですね。