とうとう待ちわびていた本が出版されます!
(↑Amazonリンク。売り切れそうなので自分はポチッて注文しました!!)
キターーーー!!!!て感じですね。
岸田先生と川口先生ということは…、
↑このゴールデンコンビ!!
(この本、めっちゃおもしろかったですよね!?)
岸田先生が副作用の推論の連載をどこかでやっているらしいとは伺っていたのですが、やっと本になったようです。
自分が副作用評価について知っているのは…
薬で音感が狂うことがありますか? / 地域医療ジャーナル
以前、地域医療ジャーナルの記事で紹介したLiverpoolのツール[1]
あとは、Naranjoの有害事象評価スケール[2]
[1]Development and inter-rater reliability of the Liverpool adverse drug reaction causality assessment tool.PLoS One. 2011;6(12):e28096.PMID:22194808
[2]A method for estimating the probability of adverse drug reactions.Clin Pharmacol Ther. 1981 Aug;30(2):239-45.PMID:7249508
(ぶっちゃけ文献[1]が全文フリーで、ついでにNaranjoの内容も載ってます。)
どうやらNaranjoを改良したのがLiverpoolのようですね
Naranjoを抜粋すると、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3237416/table/pone-0028096-t001/?report=objectonly
①過去に同じような報告があるか
②被疑薬の投与後に症状があらわれたか
(そりゃそうでしょって話ですが…汗。個人的にはここでのポイントは"有害事象発現時期が過去の事例と一致しているか"だと思います。)
③薬の中断もしくは拮抗薬の投与で症状は改善したか
④被疑薬の再投与で同様の有害事象が誘発されたか
(副作用リチャレンジ!? というより、患者さん自身でいったん中断し、もう一回飲んでみたらやっぱり○○症状が出たの!という場合に疑わしさが増すといったところでしょうか)
⑤その症状を引き起こす薬剤以外の要因があるか
⑥その有害事象はプラセボにより発現したか(現実的じゃないですね…)
⑦血中濃度は中毒域に達していたか(これも薬局では実施不可能。薬局での評価に使える項目ではないです)
⑧その症状は、被疑薬の増量で悪化し、減量で軽減したか
⑨以前、被疑薬もしくは類似薬で同じような症状をきたしたか
(これは参考になりますね。あきらかに関係なさそうな副作用疑いの相談の際、過去に何度もその薬飲んでますね…ていうパターンも多いかと思います。服用歴をチェックや!!)
⑩その有害事象は客観的な根拠で確認されているか
こんな評価ツールもあるものの、結局副作用は除外診断なので診断に関する知識がないと話にならないですよね…
Naranjoの項目の⑤「有害事象を引き起こす薬剤以外の要因があるか」というのがありますが、薬の知識だけではここがわからないんですよね。
⑤はスコアの重みも大きいので、やはり重要とされているのでしょう。
ちなみに個人的にはその薬によってその症状を引き起こす絶対リスクを過去文献から引っ張るというのが鉄板だと思っております。
添付文書に副作用の頻度が載っていますが、これはあまり参考にしていません。
そもそも副作用頻度という言い回しが誤解を招きますよね。
違っていたら"すみません"なのですが、添付文書の記載ってadverse event(有害事象)であってadverse drug reaction (ADR) とは限らないのでは…?
よって、文献を引っ張って、実薬での頻度とプラセボでの頻度を比較する必要があると思っています。
あと、なんじゃそりゃ?ていうような稀な症状の訴えだと調べ方がかわるかも。
PMDAの 副作用が疑われる症例報告に関する情報
医薬品医療機器情報提供ホームページ 副作用が疑われる症例報告に関する情報
みなさま使ってるでしょうけど、これを調べたりするかなぁ。
あと、やっぱり、薬名+症状(英語)でググる…とか。
こんな報告ありますか?って製薬メーカーさんに問い合わせることもありますね。
さて…、
せっかくですので自分が経験した事例を。
「オセルタミビル(タミフル®)で頭痛の訴え」
直感として、関係なさそうだなと思いましたが…
(そもそも、インフルエンザの主症状に頭痛がありますので…。Naranjoの⑤がバッチシ当てはまる)
一応、添付文書見てみると、副作用の項目に頭痛(0.1%以上)と記載がありました。ソッと閉じました。うーん。あまり参考にならない。
やはりパブるしかない。
Oseltamivir for influenza in adults and children: systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments. - PubMed - NCBI
BMJ. 2014 Apr 9;348:g2545.PMID:24811411
予防投与の研究から得られた知見であるからこそ有用と判断したこの一文。
"In prophylaxis studies, oseltamivir increased the risk of headaches on-treatment (risk difference 3.15%, 0.88% to 5.78%; NNTH 32, 18 to 115)"
あららら…
これはもしかすると…という感じで一気に頭がフル回転。
折り返しTEL(日曜日だったので 涙)にて、さらに詳しい情報を収集。
ここから先、どんな情報を収集してどうような対応をしたかは想像におまかせします。
重要なのは、
「被疑薬を続けるべきかどうか」です。
副作用かどうかを100%正しく判定することなんてできないですよね。
副作用かどうかを考えるというよりは、「その薬をこのまま続けたらどうなるのか、やめたらどうなるのか」を考えることが重要でしょう。
安全性だけでなく有効性の再評価も必要となってくると思います。
さて、悩ましい副作用疑いのケース…、どうやって考えればいいのか…
副作用の推論の良本があればなぁ~と切望していたのですが、とうとう岸田先生の新作が発売されるようですので、早押しクイズかのごとく瞬時にポチりました(売り切れになる予感がする!)。
今回、副作用の考え方について、個人的な考えを述べましたが、かなり浅い部分もあるかと思いますので、岸田先生の本で勉強していただけるとよいかと思います!
まだ本を読んでいないのにオススメするのもおかしな感じはしますが、このゴールデンコンビの前作がおもしろかったので今回も間違いないでしょう!