Montelukast versus inhaled mometasone for treatment of otitis media with effusion in children: A randomized controlled trial. - PubMed - NCBI
Electron Physician. 2017 Jul 25;9(7):4890-4894.PMID:28894551
背景として、
In otitis media with effusion(OME), several medications are recommended, including antibiotics, antihistamines, and inhaled and oral corticosteroids, but the treatment response is controversial
ということで検討してみたと。
脱線しますが、controversialって最近ふつうに会話の中でもよく使われてる感じでしょうか。「その意義についてはcontroversialだね」って自分も日常で使いそうになるけど、職場でそんな単語つかったら「は?」てなりそうなので自粛してます。でも他職種とやりとりする上ではそういう言葉も知っておかないとついていけないと思うんですけどねぇ。
さて研究の概要を。
ランダム化:あり
盲検化:なし(研究者・評価者は盲検化)
P:2~6歳の滲出性中耳炎otitis media with effusion
E1:モンテルカスト4ml/1日1回 59名
E2:モメタゾン点鼻 40名
C:無治療 44名
O:tympanometry
介入期間:1ヵ月
スポンサー:Hormozgan University of Medical Sciences
ティンパノメトリー:鼓膜の動き易さ(弾力性)を計るもの
患者除外基準
ステロイドやモンテルカストを使用している患者、または両剤で過敏症の既往のある患者
慢性肺疾患、心疾患、免疫不全
アレルギー性鼻炎
サンプルサイズの計算なし
脱落(lost)がなんとゼロ。
介入中断も無し
結果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5587009/table/t2-epj-09-4890/
ほとんど差はないように見受けられます。
オープンラベルですが、アウトカムが鼓膜の弾力性ですから、プラセボ効果の影響は少ないのかなという気がします(根拠なし)。不眠とか痛みとかはプラセボ効果がそこそこ影響しそうですけど。
まあ、でもどっちみち差がないですからね…。
考察を見てみましょう。
Although OME can be asymptomatic, without treatment it may lead to auditory problems or learning disorders.
滲出性中耳炎は症状がないこともあるが、治療しないと、聴覚障害や学習障害につながる恐れがあるそうです。
過去の研究にも言及されているようなので、いくつかピックアップ
こちらは2~12歳対象でモメタゾンで有効性を示したスタディ
A double-blind randomized placebo-controlled trial of topical intranasal mometasone furoate nasal spray in children of adenoidal hypertrophy with o... - PubMed - NCBI
Am J Otolaryngol. 2014 Nov-Dec;35(6):766-70. PMID:25151658
治療期間が長いです
0, 8 and 24 weeks
これはモンテルカスト 2~12歳
The effect of montelukast sodium on the duration of effusion of otitis media. - PubMed - NCBI
Clin Pediatr (Phila). 2004 Jul-Aug;43(6):529-33.PMID:15248005
アモキシシリン+モンテルカスト(29名)vsアモキシシリン+プラセボ(31名) 30日間
the duration of the effusion of otitis mediaを減らせるかどうかを検討
抗菌薬にかぶせての使用ですね。
At a 4-week follow-up visit, 5 ears (16%) were free of effusion in the placebo group and 17 (58%) in the montelukast sodium group
フォロー4週ですが、有効だった模様。
各研究結果も割れてるようですね。
小児の滲出性中耳炎については国内のガイドライン(2015年版)がありますが、LTRAは記載がないので推奨か非推奨か不明(評価できないということでしょうか?)、ステロイド点鼻はアレルギー性鼻炎の合併がない限り有効性は認められていないとのこと。
なるほど。
ということは今回のモンテルカストvs点鼻ステロイドvs無治療のRCTの結果はまあ想定内って感じですかね。
ただ注意すべきは「アレルギー性鼻炎の患児は除外されている」ことでしょうか。アレルギー性鼻炎合併の滲出性中耳炎には有効なんですかねぇ。ちょっと調べてみたいところですが、また今度にします(←二度と取り上げないフラグ)。