小児にトリプタン製剤は使用可能? - pharmacist's record
このテーマは以前とりあげましたが、コクランレビューがでていました。
Drugs for the acute treatment of migraine in children and adolescents. - PubMed - NCBI
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Apr 19;4:CD005220.
研究デザイン:RCTのメタアナリシス
P:children and adolescents with migraine
E:片頭痛薬(急性期の治療薬)
C:プラセボ
O:The percentage of pain-free patients at two hours
childrenの定義は12歳未満、adolescentsの定義は12~17歳
バイアスについては、アブストしか読めないので詳細はわかりませんが、まあコクランなので大丈夫かな…?
評価者2名で独立してスクリーニングやデータ抽出を行い、元論文の評価はGRADEに基づいていることはアブストにも記載されてます。
27RCT、9158名
7630名が薬を投与され、その年齢幅は8.2歳~14.7歳
ほとんどがトリプタンのRCT
<結果>
エビデンスの質は低いもののイブプロフェンは3RCTでRR1.87(NNTB記載なし)
アセトアミノフェンは80名の小規模RCT1つのみで、統計的有意差なし
トリプタン(全体的に質は中等度 半数程度がスマトリプタンの論文)
12歳未満、3RCT
有効性:RR 1.67(95% CI 1.06 to 2.62, NNTB 13)
有害事象:RD(risk difference) 0.06(95% CI -0.04 to 0.17, NNTH17)
12~17歳、21RCT
有効性:RR 1.32(95% CI 1.19 to 1.47, NNTB 6)
有害事象:RD 0.13(95% CI 0.08 to 0.18, NNTH 8)
<感想>
トリプタンは過去に調べたときは、小児ではプラセボの応答率が高い傾向にあり、統計的にはいまいちな印象でしたが、この2016年コクランではNNTBは小児で13、青年で6。
青年のほうが効きやすいのかな?と思いましたが、エフェクトサイズは小児と青年で差がないという記述もありましたので、そう大差ないのかなと。
NNTBだけ見るとアリかなとも思いましたが、NNTBとNNTHとのバランスを考えると、微妙な感じもします…。
ちなみにトリプタンの中ではスマトリプタンのデータが多いようです。
アブストだけなのでもうちょっと詳細なデータがみたいところですね。
とくに有害事象の内訳は見たいです。
イブプロフェンとアセトアミノフェンは有害事象についてアブストではまったく触れられておらずNNTHの記載がないですね。プラセボと差がなかったということなのでしょうか…。だとしたら、忍容性が良いということでまず最初はイブプロフェンで様子見、というのが妥当な選択かなぁと思いました(アセトアミノフェンもいいと思いますが、有効性についてはイブプロフェンのほうがエビデンス豊富なのかなと)。