Effectiveness of Earplugs in Preventing Recreational Noise-Induced Hearing Loss: A Randomized Clinical Trial. - PubMed - NCBI
JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2016 Jun 1;142(6):551-8
目的:music festivalsで音楽を聴いたあとの一時的な聴力損失防止の耳栓の効果を評価
研究デザイン:A randomized, single-blind clinical trial,ITT解析
(単盲検ということですが、詳細はアブストには記載なし。評価者ということですかね?被験者を盲検化するのは不可能ですから…)
P:アムステルダムの野外フェスに参加した聴力正常なボランティア(ソーシャルメディアで募集)
E:4時間半の音楽フェスで耳栓(earplug)装着 25名
C:4時間半の音楽フェスで耳栓なし 26名
O:preventing temporary hearing lossの評価として、"a temporary threshold shift (TTS) on the audiogram, primarily for frequencies at 3 and 4 kHz."
※temporary threshold shift (TTS;一過性閾値変動):ある周波数で聴覚閾値が変化すること
平均年齢:27歳
耳栓あり(n=25) | 耳栓なし(n=26) | relative risk | NNT | |
---|---|---|---|---|
3 and 4 kHzの周波数のTTS | 4/50ears(8%) | 22/52ears(42%) | RR5.3(95%CI, 2.0-14.3) | NNT2.9 |
tinnitus耳鳴り | 3/25名(12%) | 10/25名(40%) | difference28%(95%CI 3.6%-49.0%) | NNT3.6 |
<感想>
と、いうことなんですが…
閾値変動とはいったい…。
騒音性難聴
医療 Vol. 62 (2008) No. 3 P 170-173
「騒音性難聴の自覚症状は耳鳴り・耳閉感・難聴。とくに4kHz付近の周波数に限局した聴力低下をきたすのが特徴。4kHz付近の聴力低下では会話にはほとんど影響がないが徐々に高音域に進行する」
というわけで、どうやら3~4kHzの周波数の聴力低下がないかどうかをプライマリアウトカムとして評価しているということのようです。これはいわゆる代用のアウトカムな気もしますが、「耳鳴り」は真のアウトカムといえそうです。NNTは3.6ということで、かなりの有効性といえます。
で す が !
何を求めて野外フェスに行くのでしょうか!?
耳栓して野外フェス???意味がわかりません!
たしかに耳鳴りは嫌ですけど、楽しさ半減では本末転倒。
「野外フェスを楽しめましたか?」というアンケートもセカンダリアウトカムとして入れておくべきでしょう(笑)。
耳栓なしのほうが優位だと思います。
ちなみに耳栓という介入試験の参加に同意しなかった患者は除外(そりゃそうでしょうけど)。その割合は86名中35名です。
将来的な難聴をアウトカムとした研究でNNT一桁だったら(そんな長期的な研究があるのか知りませんが)かなり重大なアウトカムといえますので、耳栓しよっかな?という人が出てきてもおかしくはないですが、一時的な耳鳴りや聴力低下の予防のために、よし耳栓しよう!ていう人は少数派だと思います。
そもそもそんな人たちは野外フェスには行かないですよね。
耳に負担をかけていると、将来的に難聴になりやすくなるかもしれないという懸念はありますが、自分は最高の音を味わいたいので、全身で爆音を浴びたいですね!