pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

格闘技にたとえてみる!

ネットも普及し、テレビなどのメディアも含めて、ありとあらゆる健康/医療情報が溢れかえっています。

たとえばがんの治療は、エビデンスに基づいた治療ガイドラインがある一方で、ネットで検索するとナントカ免疫療法など、さまざまな怪しい治療法が出てきます。

患者さんは本当に混乱すると思います。
現在、自分はがん領域からは完全に離れており、情報のアップデートもまともにできていないのですが、怪しい情報に翻弄された患者さんの不安を取り除くためにがん専門医が尽力なさっていることかと思います。

ガイドラインにのっとった標準医療など期待できない?最新のナントカ療法は副作用もなく有効???

本当にそうでしょうか…?

さて、ここから「治療法」を格闘技にたとえてみます。
(年末に久しぶりに格闘技やってたんですね。生で見たかった…。)

ガイドラインに沿った治療法は、いわば格闘技のトーナメントで優勝した猛者だと思います。
エメリヤ・エンコ・ヒョードルとしておきましょう。
臨床試験というリングで戦って勝ち抜いた実績があります。

保険適応のない、巷で話題の民間療法などは、自称ケンカ無敗のおにいちゃんって感じでしょうか。
見た目、本当に強そうです!体格良さそうだし、イレズミなんか入ってたりして…。怖い!!
格闘技素人からしたら、これは強そうだぞ!となります。

ただし、リングの上で戦った実績がありません。
ケンカした相手が誰かもわからないですし、ルールもわかりません。
映像も残ってないですし、残っていても不鮮明だったり、なんかよくわかりません。

公式なリングの上での試合のような完璧な映像/記録が残っていないのです。
記録があるとしてもその中身に疑義が生じるようなものが多かったりします。本当のところどうなの?と疑われるようなお粗末な内容だったりすることもあるでしょう。

ヒョードルとどっちが強いかはだいたい想像がつきますね。
実際戦ったら、ヒョードルに撲殺されるだろうな…と。

いざリングにあげて闘わせてみたら、ヒョードルどころか素人(プラセボ)が相手でも引き分けでした…というオチもありうるでしょう。


もしかしたら、まだリングで戦ったことのない最強の男が存在するかもしれません。
ヒョードルと互角に戦えるかも!?
ただし、それが実証されていない以上、医療者はやはりヒョードルが強いと考えます。
あの冷たい目ですさまじいハンドスピードで殴りかかってくる…最強すぎる!

自分の中ではPRIDEが終わったところで時が止まっているので、いまだにヒョードルが最強だと思ってるんですが、もう負けちゃったんでしたっけ?治療法においても同じですね。新しい薬ができて、王者が入れ替わることもあるでしょう。

では、どうやって公式のリングの上で戦ったか?という点ですが、やはり文献を探すということになるでしょうか。
ネットで検索し、有効性についてたくさん記載があっても、引用文献がなければリングの上で戦ってないかも?と慎重になったほうがよいかと思います。