せん妄の診断といえばConfusion Assessment Method(CAM)が有名です
Clarifying confusion: the confusion assessment method. A new method for detection of delirium. - PubMed - NCBI
Ann Intern Med. 1990 Dec 15;113(12):941-8.
CAMの基準は
①急性発症と変動する経過
②注意力低下
③支離滅裂な思考
④意識レベルの変化
これらのうち、①と②は必須、③と④のどちらかを満たすこと
この論文においては、5分以内にできるせん妄の診断として紹介されています
Confusion assessment method: a systematic review and meta-analysis of diagnostic accuracy. - PubMed - NCBI
Neuropsychiatr Dis Treat. 2013;9:1359-70
こちらは一昨年のメタ解析(22studies、n=2,442)
訓練されたスタッフにより10分以内に実行可能であることを実証
<結果>
感度 | 82%(95%CI 69%-91%) |
特異度 | 99%(95%CI 87%-100%) |
特異度が高いですが、CAMは時間がかかるという不便さがあるように思います。
せん妄を疑ったときの身体所見として異常な手の動きの確認が有用であるという論文が出ました。
A prospective observational study to investigate the association between abnormal hand movements and delirium in hospitalised older people. - PubMed - NCBI
Age Ageing. 2015 Jan;44(1):42-5
高齢者における異常な手の動きとせん妄の関連を調べた前向きの観察研究
対象:高齢者ケア病棟に緊急入院した高齢者437名
<方法>
CAMを使用して毎日せん妄の有無を評価。
下記の異常な手の動きを毎日観察し記録。感度と特異度を算出
carphology (aimlessly picking at bedclothes):あてもなく布団をつまむ
floccillation (plucking at the air):宙をつかむような動作
<結果>
437名中110名にせん妄出現、21例に異常な手の動きが観察
感度 | 14% |
特異度 | 98% |
LR+ | 6.8 |
LR6.8ということで、異常な手の動作がみられたらせん妄の可能性があります。
例えば高齢の患者さんの様子がおかしいといった訴えがあった場合、ご家族にこのような異常な手の動作がないか確認すると良いのではないでしょうか。
異常な手の動きがないからといってせん妄は除外できませんが、もし観察された場合、せん妄が疑わしくなります。