うつ病にエビデンスのあるベンゾジアゼピンBZ系ってなんだったっけ?とふと思い出して、探してみたところ、アルプラゾラムのレビューがありました。
Alprazolam for depression. - PubMed - NCBI
Cochrane Database Syst Rev. 2012 Jul
コクランのシステマティックレビュー
選択基準:外来患者のうつ病(成人)に対するアルプラゾラムの有効性や忍容性をプラセボor他の抗うつ薬と比較したRCT
vsプラセボ7RCT(n=771)、vs三環系・四環系抗うつ薬20RCT(n=1765)
治療期間は4~6週
<結果>
vsプラセボ
抑うつ症状の減少の平均差MD:-5.34(95%CI -7.48 to -3.20; I(2)=68%)
50%改善の臨床反応のリスク差RD:0.32(95% CI 0.22 to 0.42; I(2)=0%)、NNTB=3(95%CI 2to5)
治療の脱落についてはアルプラゾラムとプラセボで有意差なし
TCAなどの従来の抗うつ薬と比較して効果はほぼ同等かやや落ちる程度で、脱落はやや少なかったということで、他の抗うつ薬の投与が難しい場合にはアルプラゾラムも検討の余地がありそうです。
このデータから、抑うつ傾向にある場合のBZ系としてアルプラゾラムが最も有効だとは断言できませんが(アルプラゾラム特有の効果によるのかは不明)、BZ系を用いるならアルプラゾラムを試してみると良いかもしれません(※作用時間や代謝経路など、個々の患者に合致しているかどうかの検討も必要)。
※
作用時間
短時間型 | エチゾラム(デパス)、クロチアゼパム(リーゼ) |
中間型 | アルプラゾラム(コンスタン)、ロラゼパム(ワイパックス) |
長時間型 | ジアゼパム(セルシン)、オキサゾラム(セレナール)、クロルジアゼポキシド(コントール) |
超長時間型 | ロフラゼプ(メイラックス) |
・ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラムなどが効果発現が早い(半減期の短さとは合致しない)
・半減期が長い薬剤は蓄積に注意が必要だが、中止時の離脱症状が現れにくいという利点はある。
・CYPが代謝に関与する薬剤が多く、アルプラゾラムはCYPで代謝されるが、ロラゼパムはグルクロン酸抱合なので年齢や腎機能・肝機能の影響を受けにくい